コンタクトレンズの規制緩和と自己責任 ビューティーレンズ 市場リーダーに変調 

投稿No:8279

市場リーダーを追うフォロワーは、シェア拡大のチャンスを狙っています。

コンタクトレンズの市場競争

支払日の話題は、最近のコンタクトレンズの市場シェアの動向と、ビューティーレンズの安全性について、取引先の皆さんから情報を教えてもらいました。

各社とも情報の源は、厚生労働省と調査会社のGfKです。

二つの情報は、インターネット上でも閲覧できます。

GfKの最新情報は、直近でも3か月前の情報です。

WEB上で得られるGfKの情報は、業界全体を説明する概況です。

気になるのは、個別企業の市場シェアです。GfKから調査資料を購入している企業には、WEB上の資料より、もっと詳しい情報が届いています。

この情報は機密扱いなので、取引先のわが社に対しては、情報の提供には制限があります。

市場リーダーの変調

GfKの調査では、この春のコンタクトレンズの需要期には、眼科を中心とする医療系の販売ルートに大きな市場シェアの変化が起きているようです。

市場リーダーは、依然として外資系の使い捨てレンズのメーカーです。

市場シェアは4割近くまで占めている、いわゆるガリバー企業です。

それが、少し変調を起こしています。

変調が表れているのは、主に医療ルートの中心である眼科からです。

市場リーダーの企業が、インターネット経由で直接ユーザーへコンタクトレンズを販売する手法に対して、眼科医会の反発が強くなっているからです。

市場リーダーの驕りもあるようです。

医療性に矛盾するビューティーレンズの市場シェア拡大

GfKの情報で、気になるのはビューティーレンズの市場シェア拡大です。

ビューティーレンズとは、ずばり美容目的のコンタクトレンズで、サークルレンズだとか、カラーコンタクトレンズのことです。

コンタクトは高度管理医療用具です。

コンタクトレンズを高度管理医療用具と捉える、眼科医師の先生方には、美容目的のビューティーレンズには違和感を感じています。

医療と言えないビューティーレンズの販売の一端を担うことに、医師としては、心理的な抵抗があります。

ビューティーレンズは医療性の高い販売機関から離れていっています。

そうなると、ビューティーレンズで起きる眼障害の治療、予防、定期検査などのケアは、誰が責任を負うのか、十分な議論がなされないで、市場拡大が続いています。

カラーレンズ(カラコン)とサークルレンズ

一般的に、カラーレンズ(カラコン)はレンズをつけることで瞳の色が違う色に見えるようにデザインされたレンズです。

たとえば、鮮やかなグリーンやブルーの瞳を演出するので、変化と個性を与えることができます。

一方、サークルレンズは瞳を自然に大きく見せるようデザインされたレンズのことを指すことが多く、日本人の瞳の色に合わせた黒や茶色系統のレンズが多くなっています。

瞳よりやや大きくサークル状に着色されているため、瞳を自然に大きく際立せます。
(出典 Alcon 目の情報ナビ)

ビューティーレンズ使用者の特徴

ビューティーレンズ購入者はクリアタイプのコンタクトレンズ購入者に比べて価格の安いインターネット店を利用する割合が高いのです。

ビューティーレンズがクリアタイプと比べて高単価であるということも、より安い価格で購入したいという消費者心理に影響しているようです。

ビューティーレンズ使用者の55%はクリアタイプのコンタクトレンズと併用しています。

併用者においては、購買行動に関して非併用者と異なる動きがあります。

購入店舗についてはクリアタイプと同じチャネルで購入しようとする傾向にあり、価格による店舗移動の可能性も低いのです。

併用者は「高くても安心なブランドの製品を使うようにしている」

「着用には眼科医などの専門家のアドバイスが大切」という意識を持ち、非併用者と比較して『安全性』をより重視する傾向にありました。

クリアタイプのみの使用者がビューティーレンズを使用していない理由としても、『安全性』への不安が多く挙げられています。

ビューティーレンズの使用に関する正しい知識や情報を、より消費者に浸透させていくことが『安全性』への不安を軽減することになり、今後の新規ユーザー獲得や既存ユーザーの囲い込みにもつながっていくと言えるとしています。

(出典 GfK ジャパン2016年4月25日「コンタクトレンズ利用実態調査」)

厚生労働省の通告

おしゃれ用カラーコンタクトレンズは医薬品医療機器法の規制対象です。

平成21年11月4日より、視力補正を目的としないカラーコンタクトレンズ(以下、おしゃれ用カラーコンタクトレンズ)については、視力補正用コンタクトレンズと同じように高度管理医療機器として医薬品医療機器法の規制対象となっています。

これに伴い、おしゃれ用カラーコンタクトレンズの製造・輸入にあたっては厚生労働大臣の承認が、販売にあたっては都道府県知事の販売業の許可、販売管理者の設置が義務づけられています。

おしゃれ用カラーコンタクトレンズの適正使用について

おしゃれ用カラーコンタクトレンズも、通常の視力補正用コンタクトレンズと同じように適正に使用しなければ眼障害を引き起こす可能性があります。

厚生労働省では、眼科受診の勧奨や使用方法(装用期間、ケア方法等)の遵守などの適正使用について呼びかけています。

規制緩和と自己責任

厚生労働省が注意喚起しているのは、このビューティーレンズのユーザーに対して、高度管理医療機器としての認識です。

実際のところ、コンタクトレンズが高度管理医療機器であることを知らないで使っているユーザが増えていることも確かです。

規制緩和によってコンタクトレンズの販売と購入は、過去に比べて大幅に緩和されました。

規制緩和の条件は、自己責任にあります。

自己責任とは、自分が選んだ行動の責任は自分で取ることです。

コンタクトレンズを買いやすくして、どこでそ買って、どのように使用するのかは、自分自身の選択なので、結果の責任は自分自身にあります。

コンタクトレンズの購入・販売には条件を緩やかにしますが、その代わりに何か問題が起きたら、それは監督官庁ではなく、売り手と買い手のそれぞれの責任ですよ、ということです。

厚生労働省はコンタクトレンズの適正使用に対する情提提供の徹底を呼び掛けています。

角膜内皮細胞の減少

長期的なリスクとして、角膜内皮細胞の減少傾向があげられます。

一度減少した角膜内皮細胞は、回復しません。

コンタクトレンズの購入・定期健診が医療機関から離れていくことには危険性があると言われています。

ビューティーレンズの製造・販売企業は社会的責任として、自己責任の存在をユーザーに積極的に告知する責任があります。

薬害訴訟の時のように、将来、コンタクト訴訟になったときに備えて、監督官庁は先手を打って防衛しています。

二度と厚生労働大臣が、監督責任のお詫びをしないで済むような制度に換えたのです。

責任を問われるのは、製造・販売企業であることを認識しなければ、誰が社会的責任を担うのか、ユーザーには分かりません。

市場リーダーが変調をきたしているので、市場リーダーに続くフォロワーの企業は、今がチャンスといろいろな販売戦略を立てて、少しでも自社の市場シェアを伸ばすように綿密な作戦を立てていることが伝わってきました。

春の需要期が終わると、次は夏の賞与や、夏の旅行シーズン外出が増える時期のボーナス商戦です。

市場リーダーの変調が続くと、さらに市場シェアに変化が生まれる可能性があります。

2019年5月31日(金)

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