年輪を数える 里山と年輪の関係 淡路景観園芸学校(79)マスターコース25
投稿No:9508
年輪を数える 里山と年輪の関係 園芸学校(79)マスターコース25
2020年に伐採した木を
保存しておいて、その木を使って年輪を調べる実習をしました。
(過去ブログ:実習林で伐採実習)
伐採した木は7mも8mもあるので、3分割または4分割して
木にはどの部分かがわかるように
マジックインキで記号を書いて
ほかの木と混ざらないように番号を付けて区別していました。
年輪を測るには
分割した木を5cmくらい端を切って年輪を数えます。
年輪を数えるには
数えやすいように、電動のやすりで
表面を平らになるように磨きました。
1本の木から3~4か所の年輪を数える部分を
取り出し、班別に分担して年輪をえました。
年輪を数えるのは
やってみると大変な作業です。
力仕事ではなくて目を使う仕事です。
年輪は50年経てば50の年輪を刻んでいます。
1年ごとの年輪を数えて
その木の年数を推定していくのです。
私の班では4人で年輪を数えていましたが
一つの幹の年輪が一致することはありません。
数え方によって年数がちがうのです。
こうなると平均値をとるしかありません。
根っこの部分と、上に伸びていく途中の部分では
年輪が変わってくるのは当然です。
枝別れした場合、枝がわかれたところから
年輪が始まります。
こうして何年目にどのくらい木が
成長したのか、ますめのグラフに縦軸は木の高さ、
横軸は年輪の年数として、
1本の木の経年変化を見ていきます。
するとこの木はおよそ1970年代に
成長が始まり、2020年の伐採時に
成長が止まったことがわかります。
グラフを書いて分かったことは
里山が利用されなくなったことです。
化石燃料が家庭に使われる前は
家庭の燃料は里山に入って
木を伐採してこれを料理や風呂を
沸かす燃料として使っていました。
1970年代以降は里山に入って
木を切って燃料にしなくなりました。
代わりに電気ガス重油などが燃料に代わってきたのです。
里山を頼っていた時代は
20年ぐらいのインターバルで
木を切っていたので里山の樹木もそんなに
高く太く育つことはありませんでした。
木を切らなくなると樹木はどんどん成長し
枝を張り、葉が茂って太陽の光が
地面に届かなくなりました。
鳥が運んできた樹木の種も
太陽光が地面に当たらなければ発芽もしません。
今回の調査で、
日が当たり地面が、暖かくなったことで
地面に眠っていた色々な種子が発芽をして
新しい木が育ってきたことがわかりました。
年輪を数える実習は里山が
いつ頃から人の手が入らなくなったことと
因果関係があることが
年輪を数えることでわかりました。
2年ほどかけた実習演習でしたが
改めて里山の変化が実感できました。