塩を多めに使えば、上手く漬かることは分かっていても、減塩しないと塩分過多になります。
味を取るか、身体をいたわるか、吉田松陰の「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ 大和魂」の心境です。 四国八十八ヶ所巡り (12)
四国の八十八ヶ所巡礼を終え、国指定重要文化財田中家住宅を見せて頂いた後は、四国から淡路島に戻ります。途中、播磨灘を臨むあたりで、夕日が沈んでいきます。
松葉博雄は運転中で、ハンドルから手が離せないので、奧さんが代わりに後ろ向きになって、夕日の写真を写しました。なかなか良い出来栄えです。
大磯に着いた頃は、更に日は沈んで、山の稜線をこえて、太陽の最後の燃え尽きるようなこぼれ陽を見ました。
こうなってくると、だんだんと気温は下がり、周りは暗くなり、もはや夕闇が迫ってきました。
しかし、松葉博雄は、ねぐらに戻るカラスのように、日が沈んだからといって、このまま寝るわけにはいきません。四国で買ってきた白菜とかぶらを漬けるのです。
いつものように、ハクサイとカブラの下処理です。水でしっかり洗って農薬を流し取ります。
蕪の表皮は、大根の皮を削る道具を使って、皮を剥がし、包丁を使って切り口を何本も入れておきます。
かぶらに切り口を入れて、しばらくザル籠の水切りです。
プラスチックの漬け物桶にビニール袋を入れて、この中にこれから白菜とカブラを入れていきます。
漬け物を漬けながら、今日一日の事を考えてみます。
普段は、北海道産の昆布を使うのですが、今日は鳴門産のこんぶを使います。
難しいのは塩加減です。塩は、漬け物の素材の重量の3%が目途ですが、これを更に減塩をするために2%程度に塩を少なくします。塩が少なければ、健康には良いのですが、漬け上がりには悪くなります。
そこで、塩の代わりに唐辛子を多く振るとか、ゆずを多めに使うとか、コンブを増やすとか、ほかの調味料で塩の代わりをしようとしています。
こうすれば、上手くいくということが分かっていても、そうはできない事情があって、仕方がないので代わりにこうするということは、日本の歴史によくあることです。
かつて幕末に、吉田松陰は「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ 大和魂」と詠みました。漬け物の塩加減と、吉田松陰が憂いた日本の国の将来のことと、一緒にはなりませんが、なんとなく、今の心境に似ています。
寒い屋外の、漬け物の作業を終えると、次は温かい家の中で、渋柿の渋抜きです。
渋柿の首のところに穴を開けて、そこに沖縄で買った焼酎、久米島の久米仙を2、3滴たらします。
久米島の久米仙は、アルコール度30%なので、ややアルコール度が弱いように思いますが、今はこれしかありません。
奧さんの希望で、渋柿の一部を、つるし柿にして屋外に吊っておきました。寒風にさらされて、渋柿はすぐに甘柿に変わるはずです。
この渋柿、アルコール度のやや低い久米仙を使っているので、うまく渋が抜けるか心配です。
2014年11月27日(木)