農家の直売推奨と直売の弊害 淡路島北淡町大坪だんだんファーム

投稿No:8853

農家直売の推奨と直売の弊害 農家が直売りの時代 淡路島 北淡町 だんだんファーム

農家の直売の推奨と直売の弊害

郊外をドライブしていると、各地に農作物の直売所があります。

馴染があるのは道の駅、JA直売所、○○ファーム等です。

農家が直売するように後援、支援しているのは国土交通省や農林水産省です。

つまり、税金で補助しているようです。

他方、農家の直売には問題が指摘されています。

まるで、光と影のような関係です。

奥さんと私は、ドライブ中の直売所は大好きなので、見つけると寄っています。

農家の直売 道の駅は国土交通省の管轄で税金投入施設

道の駅は基本的に自治体が事業主体となって、

施設そのものは税金によって開発されていきます。

作った施設を指定管理制度を活用した第3セクターなどに任せて、

経営してもらうというモデルが主流です。

道の駅のほとんどは、初期投資は税金で作られています。

したがって、「その部分」については稼ぐ必要がないという前提になってしまいます。

そのため、事業計画の段階から、

あまり売上げが上がらなくても「成立する」というような環境になってしまいます。

立派な施設を税金で作って、おカネはかかっているのに、

経営上、売上げのハードルが楽になる、という歪んだ状況がここに生まれます。

農家の直売 道の駅の事業主体は自治体です。

「道の駅うずしお」に行きました

道の駅の施設の運営を委託された業者や産直施設への納入者は、

事業主体としての意識が希薄になりがちです。

結局、最終責任は自治体なわけですから。

「行政の事業を受けて施設を経営している」、

「誘われたので、産直施設に商品を納入している」、

という「受け身の姿勢」を生み出す構造も大きな問題になります。

初期投資だけでなく、経営が行き詰まれば行政に救済を求める。

さらに、産直市場での売れ行きが悪ければ

「わざわざ出荷しても、どうせ売れない」と、

農家は商品さえ持って行かなくなってしまう。

こうなると、ますます経営は悪化します。

出典 東洋経済オンライン

農家の直売推奨と直売の弊害  淡路市北淡町 だんだんファーム

「大坪だんだんファーム」は、神戸から明石海峡大橋を渡り、

淡路島に入って車で15分ほど南へ下ったところにあります。

『淡路島北部にある大坪だんだんファームは、近隣の農家が集まり、

農地を集積させた、大型の観光農園です。

一年を通じてフルーツ狩りやロケーションを楽しんでいただける、

広大なだんだん畑の広がる、大型の観光農園をつくりました。

農業体験や見学をしたり、淡路の自然を感じながらピクニックや散策をしたり、

ファームの味覚を味わったり、大人同士でもご家族とでも

楽しいひとときをお過ごしいただけます。』

出典 大坪だんだんファーム

農家の直売 淡路市北淡町 大坪だんだんファーム

淡路市は、地図で見れば狭い地域ですが、

車で走ってみると海岸線は東海岸と西海岸があり、

東海岸と西海岸を結ぶ内陸部には丘陵地がたくさんあります。

多くは段々畑として開発されて、農地になっています。

当てもなく丘陵地をドライブしていると、

「大坪だんだんファーム」の案内板に出くわしました。

初めての場所なので、行ってみました。

まだできたばかりの、新築のようなきれいなファームです。

このファームの経営は、この地区の人たちが協同して行っているそうです。

道の駅のように、この地域でできた農作物を販売していました。

農家の直売推奨 農林水産省

青果物が実際にどのような経路をたどって消費者の元に届くのか、市場のしくみを解説しましょう。

市場流通のしくみ

直売所を中心とした地産地消の推進 ~経営のさらなる発展へ向けて~
農林水産省 生産局技術普及課

農林水産省・生産局普及課のHPをみると、

農家の直売について以下の7項目を推奨しています。

一つずつ掲示します。

農家の直売 1 自分で作った農産物を地域の消費者に直接売ってみましょう

食料管理法が施行されていた時代は、農家から直接コメを買うことは

禁止されていました。

農家から直接買ったコメは、闇米として扱われた時代があったのです。

法律が変わると、自分で作った農産物は自分で売りましょうと、

農家は積極的に直売りを推奨する時代になりました。

だんだんファームで販売しているお米の値段は、

10㎏で3,600円、5㎏で1,800円、3㎏で1,100円です。

農家の直売 2 直売所を設置しましょう

直売所の設置も推奨しています。

勿論、補助金は用意されています。

大坪だんだんファームも直売所です。

何を売るかと言えば、淡路と言えば玉ねぎなので、主役は玉ねぎです。

玉ねぎは10㎏が1,900円、5㎏が1,000円です。

農家の直売 3 品揃えを確保しましょう(経営の高度化 Ⅰ)

品揃えを確保するのは、出品者の協力が必要です。

消費者も、ワンステップであれもこれも購入出来たら、

売り手と、買い手の利害が一致します。

だんだんファームの品揃えは、十分ではありませんでした。

みかんは小分けしてネットに入れて販売されていました。

1袋500円です。

農家の直売 4 効率的な集荷体制を作りましょう (経営の高度化Ⅱ)

効率的な集荷体制は、言うに易く、行い難しです。

農家の直売 5 農産物の加工などにも取り組んでみましょう (経営の高度化Ⅲ)

農林水産省の方針に沿って、大坪だんだんファームでは、

イートインスペースを設けており、季節のフルーツを使ったメニューがありました。

ちゃんと食べられるイートインスペースもありました。

値段も手ごろで、奥さんはサンドイッチに満足していました。

農家の直売 6 異業種との連携や「6次産業化」 により、地域全体での取組を目指しましょう (より高度な戦略的取組へ向けてⅠ)

土日祝限定でオープンしているようで、季節の果物をふんだんに使ったメニューは

女性に人気がありそうでした。

ホームページには、それぞれの季節ごとのメニューが載せてあり、

神戸の洋菓子店顔負けようなメニューが揃っています。

フルーツなどで、神戸のスイーツの材料を提供できれば、連携に繋がります。

農家の直売 7 地域内の連携強化や地域外への拡大にも取り組んで見ましょう。(より高度な戦略的取組へ向けて Ⅱ)

7項目目は、武家の商法のように、

官僚が描く戦略の詳細を聞きたいものです。

直売体制が先か、顧客が先か、難しい課題です。

顧客がいないのに、体制が先行できません。

農家の直売 8 学校給食へも地元農産物を提供しましょう

項目8は、実行している地域もあります。

人口の少ない過疎地域では、児童が少なく、難しい課題です。

農家の直売 9 地産地消の取組に対する主な支援(平成20年度)

地産地消の推進へ向けた施設整備などの支援

事業名:強い農業づくり交付金(地産地消特別枠)
趣旨 地産地消により地域の消費者と生産者の信頼関係の構築や地域の農業と関連産
 業の活性化を図るため、加工施設、直売施設、交流施設の整備を支援。

事業実施主体 都道府県、市町村、農業協同組合連合会、農業協同組合、農事組合法
人、農事組合法人以外の農業生産法人等

補助対象 農畜産物処理加工施設、直売施設、交流施設

事業実施期間 平成19年度~21年度

交付率 事業費の1/2以内

農家直売の弊害 直売所に不毛な安売りがはびこる7つの理由

良い所があれば、その弊害もあるのが「光と影」です。

直売価格があまりに安すぎると、農業の収益性向上という
 
本来の直売所の目的を離れてしまいます。
 
また、店舗そのものの持続も難しくなってきてしまいます。
 

直売所が安値傾向になるのは、直売所固有のシステムに多くの理由があります。

直売所が直売所であるがゆえに、安値になってしまうのです。

農産物の共同直売所が安値傾向になってしまう構造的な理由を7つほど指摘したいと思います。

農家直売 人気のフルーツ狩り

この地域には温室がたくさんあります。

温室ではいちごを栽培しています。

今日はいちごは売り切れでした。

淡路島には、いちご農園、ぶどう農園、いちじく農園がいくつもあります。

だんだんファームにもフルーツ農園があり、季節ごとにフルーツ狩りを

楽しめるようになっていました。

花の苗をたくさん積んだトラックが止まっていました。

農園の花壇に植えるものか、販売用かわかりませんが、

花壇なら、春はさぞきれいだろうと思いました。

ジャムも売っていました。

これも人気が高いようです。

今年はうっかり忘れそうですが、そう言えばクリスマスシーズンなので、

手作りのリースを販売していました。

こちらも季節の植物を活けてありました。

綿の実がはじけて、雪のようにも見えます。

今日はお店の商品がよく売れたのか、少ししか残っていませんでした。

神戸の洋菓子店が、いちごの仕入れにも来るそうです。

またの機会に来てみたいところです。

農産物直売所 関連記事 アーカイブ

2020年12月27日(日)

農家の直売推奨と直売の弊害 淡路島北淡町大坪だんだんファーム” に対して1件のコメントがあります。

  1. 松田 より:

    道の駅が税金で運営されているとは知りませんでした。

コメントは受け付けていません。