車エビの養殖は、儲かるけどリスクの高いビジネスです。宜野座のエビ養殖場とレストラン

投稿No:8257

クルマエビの養殖は投資効果は良いが、病原菌感染で全滅することもあり、リスクが高いビジネスです。 第173回沖縄訪問(3)   

車エビ養殖 沖縄宜野座

宜野座をドライブしていると、くるまえびの養殖場がありました。

名前は、(有)宜野座養殖場です。

車エビの養殖場の前には、行列が出来ていました。

なんだろうかと思って近づいて見ると、エビ養殖場が経営するレストランです。

車エビの養殖には伝染病感染リスクが

沖縄には、各地に車エビの養殖場を見てきました。

しかし、10年も養殖を続けていると、突然伝染病に感染して、養殖場のエビは全滅し、養殖場は閉鎖していました。

どのような伝染病に感染するのか、調べてみました。

クルマエビは生産効率が良い(よく儲かる)

クルマエビ類は、生産効率が良いことや市場価格が他の養殖対象種と比較して良いことから開発途上国を中心として養殖が盛んに行われています。

国際連合食糧農業機関(FAO)の統計によると2006年には世界の養殖エビの総生産量は310万トンに達し、その生産量は年々増加し、全養殖生産量の約1割で、生産額では15%(約1.2兆円)を占めています。

車エビ養殖の盛んな地域は 東南アジアや中国

生産量が最も多いのは太平洋東岸が元々の生息地であるバナメイエビLitopenaeus vannamei で、東南アジアや中国においても養殖主要種です。

2005年の世界の水産物の輸出量でみるとエビ類輸出量は全体の5%で、輸出額では全体の約16%を占めています。

エビ類は食資源としても産業としても世界的に重要であることは明らかです。

クルマエビの養殖は儲かるが リスクも高い

しかし、クルマエビ類の養殖生産は問題なく右肩上がりというわけではなく、種々の細菌やウイルスによる病原微生物感染症が多発し、経済的に多くの被害を関係企業に与えています。

感染症の発生により、バナメイエビの2013年末の国際価格は2012年に比べてほぼ2倍になり、日本のマーケットにも多大な影響が出ています。

近年、クルマエビ類養殖産業は一部の国において危機的な状況に直面しています。

それは、Early Mortality Syndrome(EMS)と呼ばれる原因未知の疾病で、微生物感染症であることが疑われていました。

微生物感染症(EMS)の死亡率は100%

このEMSは稚エビに発生し、死亡率はほぼ100%になります。

EMSは2009年に中国で最初に報告され、次いでベトナム、タイ、マレーシア等の東南アジアにも広がって来ています。

今年になってメキシコでEMSの発生が報告されています。

また、EMSのなかには肝すい臓の壊死を特徴とする疾病がみられ、これはAHPNS(Acute Hepatopancreatic 

Necrosis Syndrome)と呼ばれていました。

肝すい臓の壊死を特徴とする原因は腸炎ビブリオ菌

このAHPNSの原因は腸炎ビブリオであることが米国アリゾナ大学 ドナルド・ライトナー(Donald Lightner) 博士等により明らかにされました。

この報告後は、感染症としてAHPND(Acute Hepatopancreatic Necrosis Disease:急性肝すい臓壊死病)の名前が使用されるようになりました。

腸炎ビブリオはヒトの食中毒細菌でもありますが、養殖エビから分離された腸炎ビブリオはヒトの食中毒細菌とはタイプが異なることから、人に感染することはないと報告されています。

しかし、ほ乳類に対する病原性試験を実施したという報告はありません。

車エビ養殖減産は腸炎ビブリオ菌予防対策が無いため

減産の原因はEMS/AHPNDで、大手のエビ養殖業者が、EMSの対処法が確立していないので、エビ養殖を中断しているのが大きな要因であるとのことです。

エビ養殖場環境中には非病原性の腸炎ビブリオが普通に棲息することから、病原性株との区別が不可能であり、高感度な診断法の確立と、環境中に棲息している腸炎ビブリオがなぜエビ類に病原性を示すようになったかの解明が急務であると考えられます。

高感度な診断法が確立されれば、EMS/AHPNDの原因菌を養殖池から排除する方法の開発や、早期発見により被害の拡大を防ぐ等の対策が期待されます。

東京海洋大学 大学院海洋科学技術研究科の研究グループの研究成果

東京海洋大学 大学院海洋科学技術研究科の研究グループはタイ水産局ならびにカセサート大学と共同で、EMS/AHPNDのエビより分離された病原性が確認された腸炎ビブリオのゲノムを解読し、特徴的な遺伝子群の存在を解明しました。

本研究では病原性3株と非病原性3株について、次世代シーケンサーにより全DNA配列を読み取り、6株を比較解析することで病原性株に特異的な配列を抽出することに成功しました。

今回見つけられた配列上には、これまでにヒトの病原株も含めて腸炎ビブリオでは報告されていない病原性関連遺伝子群の存在が明らかとなりました。

病原性株にのみにみられたDNA配列の一部をターゲットとしたPCRプライマーをデザインし、病原性株のみをPCR法で特異的に検出する方法の開発を開始し、現在、その精度を確かめるためにタイ水産局とワライラック大学研究者等がタイ国内で実験中です。

車えび養殖池から 原因菌を排除可能に

病原性株のみを特異的に検出できる迅速診断法の確立が可能になり、エビ養殖場あるいはエビ種苗にEMS/AHPND原因菌が存在あるいは感染しているかどうかを明らかにすることが出来ます。

これにより、養殖池からのEMS/AHPND原因菌を排除する方法や、早期発見により被害拡大を抑制する技術開発が可能になります。

病原性メカニズムを明らかにすることは、抗菌剤を使用しないで病原菌のみを排除あるいは防除する手法や、免疫賦活剤等によるEMS/AHPND発生の抑制法開発に繋がります。

(出典 東京海洋大学 「エビ養殖業に光明エビの感染症(EMS/AHPND)の原因菌のゲノム解読に成功」より一部抜粋)

養殖車エビ レストランは行列ができる人気

養殖場で育てた車エビを、レストランで料理して、食べさせてくれています。

行列が出来るほど、人気のお店なので、私と奧さんも車を道路脇に寄せて、行列に並ぶ事にしました。

宜野座養殖場のすぐ前には、川が流れていて、川の脇の方に、海水と淡水が交わるところに、繁殖するマングローブの林がありました。

レストランの入り口の近くには、海水を使った小さな生け簀があり、生け簀には、コバルトスズメが泳いでいました。

屋外で熱帯魚のコバルトスズメが飼育できるのですから、海水魚の愛好家にはすばらしい環境です。

まだオープン前でした。

入り口のところで、先着順に名前を書きます。

携帯電話の番号を書いておけば、呼び出してくれるようになっています。

養殖車エビ池は 感染防止のため見学禁止

養殖場に行ってみたかったのですが、外からの雑菌の侵入を防ぐために、見学お断りになっていました。エビの病原菌感染は、上述の、東京海洋大学の研究にあるように、感染が原因が指摘されています。

この他に、養殖池の環境汚染も指摘されています。

養殖車エビの環境汚染

養殖期間が長くなると、池の水は必然的に富栄養化し、次第に水中の溶存酸素濃度、アンモニア濃度、pHなどの昼夜における変動が激しくなります。

時には酸素が欠乏してクルマエビの大量斃死を招くことも指摘されています。

車エビは、夜行性で日中は砂に潜って身を隠し、夜間の限られた時間に砂上に出て索餌や繁殖行動をするという特異な性質を持っています。

日中潜っている池底の砂層には、車エビの代謝産物(アンモニアや二酸化炭素)、糞、残餌、崩れた餌、微生物の死骸などが入り込むため、その嫌気的分解により間隙水中の酸素が欠乏し、アンモニアや硫化水素などの有毒物質が発生するとともに、砂はヘドロ化し、クルマエビの生息環境が悪化していくのです。

このような生息環境の悪化は、クルマエビにストレスを与えてその抗病力を低下させ、病害により斃死する数を増やすため、歩留まりを低下させる原因となっていると言われています。

(出典 株ヒガシマル 「クルマエビの養殖方法および養殖システム」)

車エビ養殖場 沖縄では各地に

沖縄のあちらこちらで、車エビの養殖場があります。

どこの養殖場も、何年か養殖を繰り返している内に、養殖の池は病原菌に侵され大変り、環境悪化で、やがて使えなくなっています。

養殖車えび トクトクコース

順番が来て、やっとテーブルに座る事ができました。

オススメセットを注文すると、車エビの12匹を一人分として、テーブルに持って来て見せてくれました。

これをいくつかの食べ方に分けて料理してもらいます。

調理の方法は、テーブルの席で焼いて食べる方法です。

おしりから、竹串で口まで貫通されている海老は、まだ生きていて、痛みに悶え苦しんでいます。

海老の生命力は、なかなか強くて、竹串を刺したくらいでは、絶命していません。

もう一つの方法は、生の刺身で食べる方法です。

これは甘くて、美味しかったです。

首をとって、頭だけ置いていた海老は、胴体から切り離されても、まだ頭の触覚は動いていました。

もう一つの食べ方は、天ぷらです。

これは、天丼にして食べる方法を勧めています。

ご飯の上に海老を並べて、その上から天つゆをかけると、天丼の出来上がりです。

これらのとくとくコースは車海老120g5~9尾で2100円でした。

奧さんは、大満足です。

海老も、いろいろな食べ方が味わえて、海老の味が堪能出来ました。

オープン前から、行列ができるのも納得しました。

まとめ

車エビの養殖は、儲かるけどリスクの高いビジネスです。

10年も養殖を続けていると、突然伝染病に感染して、養殖場のエビは全滅し、養殖場は閉鎖することになります。

感染症の発生により、バナメイエビの2013年末の国際価格は2012年に比べてほぼ2倍になり、日本のマーケットにも多大な影近年、クルマエビ類養殖産業は一部の国において危機的な状況に直面しています。

それは、Early Mortality Syndrome(EMS)と呼ばれる原因未知の疾病で、微生物感染症であることが疑われていました。

病原性株のみを特異的に検出できる迅速診断法の確立が可能になり、エビ養殖場あるいはエビ種苗にEMS/AHPND原因菌が存在あるいは感染しているかどうかを明らかにすることが出来ます。

これにより、養殖池からのEMS/AHPND原因菌を排除する方法や、早期発見により被害拡大を抑制する技術開発が可能になります。

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2019年5月2日(木)


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