小松弥助寿司の評価は、名人とか、仙人とか、人間国宝とかで絶賛です。北陸加賀 山中温泉(8)

小松弥助寿司で教えられたことは、本物の味を提供出来れば、広告をしなくてもお客様が集まるということです。 北陸加賀 山中温泉(8)

小松弥助 寿司

小松弥助でお寿司を食べるには、長いときは半年前から、普通は二ヶ月先ほど予約が埋まっています。なかなか予約はとれません。

今回、長女の企画で、お父さんに弥助のお寿司を食べさせてあげたいという気持ちが通じて、弥助の予約がとれました。

お店に入る前に、アパホテルのロビーで少し待って、席が空いてから、三人の並ぶ席に案内されました。

小松弥助寿司の 主人は 森田一夫さん

弥助の主人、森田一夫さんの仕事ぶりが、横から見える席です。

噂にたがわず、弥助の主人、森田一夫さんは、とても温厚そうな方です。

小松弥助寿司の始めは、お酒のあて、鮨 どちらにしますか?

松葉博雄一行が席に座ると、早速優しそうな言葉で、お酒のあてか、寿司か、どちらかを尋ねます。

どちらも頂きたいのですが、どちらかと言われると、お寿司をお願いしました。

お寿司になると、お膳が出て、お膳の上にはガリの盛られた小皿が乗っています。

飲み物はビールをお願いしました。

一般的には、お寿司屋さんのカウンターには、ホシザキのガラスケースの冷蔵庫がありますが、弥助のカウンターはさっぱりしていて、職人の仕事ぶりを隠す物は何もありません。

カウンターには、染め付け皿が置かれ、このお皿に、順次にぎり寿司が置かれます。

カウンターの中は、弥助の主人と、お弟子さんが一人いるだけです。

ホール係の女性は、カウンターを囲った客席の後ろに控えています。

小松弥助寿司の会話 どこから来たん?

森田一夫さんこと、弥助さんは、「どこから来たん?」と、目で笑いながら、松葉博雄との会話が始まります。

神戸から来ました。「へぇ~神戸?わても神戸。」と、自分を小指で指さしながら、神戸の須磨ですねんと続きます。

カウンターのお客様と、短い会話をしながら、次から次へと、すしを握っていきます。

小松弥助寿司 最初はイカ

最初はイカです。お皿に置くとき、そのままと言って、イカを置きました。言葉を足せば、何も付けずに、醤油もつけずに、そのままイカを食べてちょうだいという意味です。

これは絶品、一つ目のイカから、神戸からはるばる来て良かったという、絶妙な味です。

小松弥助寿司 次は あぶりとろ

「これはどうですか?」と言って出てきたのは、あぶりとろです。

このあぶりとろの柔らかいこと、しゃりが隠れて見えません。

炙りトロを口に入れて、味をかみしめて、右と左の奧さんと長女の顔を見れば、二人とも、う~んと、うなっている様な顔です。

この美味しさに参りました。

弥助さんと目が合うと、どうや~?と、尋ねられたような気がしました。

小松弥助寿司 次は 甘エビ

次は甘エビです。甘エビは、醤油をつけて食べてちょうだいと言われ、少しだけ醤油を甘エビの背中につけて口に入れてみました。

これも参った参ったという味です。

なんとも、表現のしかねる美味しさです。

弥助さんは、手の動きに無駄がありません。

時々は、客席のお客さんの反応を見ていますが、はじめから勝負はあっているので、剣道で言えば、お面を打ち込んで、相手がうなっている様子を、ゆとりを持って見ている感じです。

小松弥助寿司 次は づけ

づけはそのままです。優しそうな目で、お客さんと向き合っていますが包丁を持って、魚をさばいている姿は、厳しい求道者のようです。

なんだか、弥助さんには、道を極めた人のオーラを感じます。

箸休めに 水なす 

水なすが、箸休めに出てきました。

これもふんわりとした柔らかさで、遠くから弥助の寿司を追って、食べに来た真剣なファンの、張り詰めた緊張を緩ませるような、優しさのある水なすです。

カウンターの席は満席で、カウンターの後ろにテーブル席もあります。

この満席のお客さんに、それぞれ次はなんの寿司か、何も見なくても、頭では全員の次の寿司ネタが決まっています。

そこで松葉博雄は、音楽を聴くように、曲の始まりから終わりまでのように、寿司のお任せの始まりから終わりまで、どんな寿司ネタが出るのか、頭で覚えておくことにしました。最初は、イカでした。

白身鯛は、これまでよりも、わさびがしっかり利いていました。

でも大丈夫です。ビールがあるので大丈夫です。

わさびをどのくらい利かせるのか、弥助の胸三寸にあります。

わさびで、うなり声が上がれば、少し遊ばれているのかもしれません。

小松弥助寿司 次は、バイ貝

次に出るのは、バイ貝です。さっきまで、あれこれ考えていたことが、このバイ貝を食べている間に、どこかに行ってしまって、もう頭の中は、このバイ貝のお寿司の美味しさにすっかり占領されています。

横から見ているので、弥助のご主人の弥助さんの動きは、しっかり見えています。

鼻歌を歌っているように、リズミカルな動きをしています。

左手でしゃりを握り、右手で寿司ネタを握り、お皿に出すまで、両手の動きは止まりません。

ものまねのように、この両手の動きをまねしてみると、5分もすると左腕の筋肉が張ってきました。

この事を隣の席の奧さんに、左手の筋肉が張ってきたと、小さな声で耳元で言うと、そんなまねしなくて良いと言われました。

弥助さんの両腕の筋肉の張りはすごいなぁと思います。

これまで、16の時から寿司職人を目指して、修行してきたそうです。

今は80歳を超えて、60年以上も、普通は使わない左手を使っているのですから、相当な筋トレをやったと同じ効果が腕に出ています。

日本一の、寿司名人の小松弥助さんから、直接手渡しで巻物を頂いて、いたく感動し、しばし口に入れることなく、眺めていました。 北陸加賀 山中温泉(9)

小松弥助寿司の評判は、全国的です。

著名人もわざわざ、この金沢に、弥助寿司を食べる為のみ足を運んでいます。

弥助寿司の弥助さんは、本名は森田一夫さんですが、あまりにお客様が多くて、現在では開店時間を11:30~16:00までに制限しています。

カウンターに座っているお客様との会話を聞いていれば、ほとんどの方はリピーターです。

お客様の中には、どれだけ弥助に通っているかを、会話の中でアピールしている方もいました。

煮蛤です。甘い醤油だれで頂きます。

カウンター席の皆さんは、誰もがお寿司を口に入れると、一瞬目を閉じて、深く考えているようにも見えます。

どうだい?美味しいかい?と、弥助の親父さんの念押しもあります。

短い、一言一言のフレーズで、お客さんとの距離が縮まっているように聞こえます。

ここまで来るまで、どれほどの厳しい、寿司職人としての修行があったのか分かりませんが、きっと一つの道を究める為には、相当な厳しさがあったはずです。

その厳しさが感じられないほど、目には優しさがあります。

お客さんは、弥助のご主人に声をかけてもらうのが嬉しいように見えます。

松葉博雄の事は、先に名刺を渡して、自己紹介をしました。

そうでもしなければ、あまりに熱心に料理の技を見ていたり、根掘り葉掘り質問をすると、この人、どこの料理人かいなぁ?と、見られるかもしれません。

お客さんのお腹の満腹具合と、懐具合もあるので、弥助のご主人は、次のステップに進むか、さりげなく会話の中で、お客さんの意志を確認しながら進みます。

一通りおまかせが終わると、オプションに入ります。松葉博雄の奧さんは、ウナギとキュウリの巻を注文しました。

弥助さんはにっこり笑って、コンロのウナギを取り出し、きゅうりと一緒に巻いて、奧さんに渡してくれました。

この時も一言あります。美味しいよ。と、客との会話です。

奧さんは、寿司名人の弥助さんから、直接手渡しで巻物を頂いて、いたく感動し、しばし口に入れることなく、眺めていました。

こはだをお願いしました。こはだは、予想以上に小さなこはだで、丁寧な包丁さばきで二枚に下ろされていました。

穴子は、ゆずをおろし金ですって、茶道具の茶筅を使って、ゆずの粉を穴子に振りかけています。

実に芸の細かい味付けです。これに塩を振りかけて、そのまま頂きます。

ウニの握りは、これまでのウニなら、しゃりを海苔で巻いて、丸い海苔の空間に、箱のウニを乗せる、こんなウニの握りを食べてきましたが、弥助のウニの握りには、海苔でウニをガードするような細工はしていません。

しゃりを小さく握り、その上に、まるできな粉を乗せておはぎを作るように、しゃりとウニの境界がはっきりしていません。手を使って、こぼれないように掴まないと、崩れてしまいそうな柔らかさです。

これもうまいよと、出されたのはネギトロです。

弥助のネギトロの作り方は、上等なトロをまな板の上でたたいて小さくし、そこに白ネギを細く切った、白髪ネギを一緒にしています。

海苔の香りの良いのも、相当な選ばれた海苔です。

海苔の香りで包まれたネギトロは、弥助の親父さんが目で笑った意味を、口の中で知らされます。

オプションは、客席の皆さんがそれぞれの好みを注文するので、これまでのおまかせのように、はじめと終わりが一巡するような寿司ネタではありません。

それを、メモ用紙もなしに、次から次へとオプションの寿司を握っていきます。

2時間足らずの初めての小松弥助寿司でした。

この間、回遊魚がこちらにやってきたとき、捕まえようとするように、弥助名人がこちらの席に近づく度に会話を重ね、弥助名人の寿司の心を掴もうとしました。

その結果、色々な事が分かりました。個人的な事も分かりましたが、これは記述を差し控えます。

お店を出て、アパホテルのロビーで待っていると、小松弥助寿司の女将さんが、精算にやってこられました。

「お名刺も頂戴し、ありがとうございます」と、ちゃんと自己紹介したことが奥様に伝わっていました。

お父さんに、弥助寿司を食べられる内に食べさせてあげようという企画は、大満足でした。また来たいと思います。

2013年8月24日(木)

2013年8月24日(土)