明石海峡大橋を通過する大型船舶 LNG(液化天然ガス)船 “LNG MARS”

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明石海峡大橋を通過する大型船舶 LNG(液化天然ガス)船 “LNG MARS” 液化天然ガス(LNG)とは?

明石海峡大橋を通過する大型船舶 LNG(液化天然ガス)船 “LNG MARS”

明石海峡はとても狭い海峡で、

そこを1日に700~800隻の船が航行するのですから、

渋滞しているように見えても不思議ではありません。

それぞれの船は事故の無いよう

細心の注意を払い、その操舵には

高い技術が求められます。

こちらがヒヤリとするほど

近くをすれ違う船を見ることもあり、

簡単に曲がったり避けたりができない船の操縦は、

とても難しいだろうと思いました。

大阪湾海上交通センター 明石海峡航路

大阪湾海上交通センター 

明石海峡航路へアクセスすると、

大型船入航予定情報 – 明石海峡航路が閲覧できます。

大型船に関心があれば、船名と、

どれ位トン数の、どんな船が、

何時頃、明石海峡を通過するかが分かります。

ほぼ正確なので、感心しました。

今回、目を惹いたのは、

138,000 トンの大きなLNG船です。

液化天然ガス(Liquified Natural Gas=LNG)とは、

気体である天然ガスを冷却することで液体化したものです。

天然ガスは、動物や植物の死骸が非常に長い年月をかけて

分解されることで生成されたものと考えられています。

世界中に豊富に存在するため、

安定供給可能なエネルギー源として注目されています。

天然ガスはマイナス162℃程度にまで冷却すると液体になり、

気体の状態に比べて

体積が600分の1にまで減るという特徴があります。

このため、LNGは天然ガスの

大量輸送・貯蔵に大変適していると言えます。

LNG輸入の重要性

日本におけるLNGの輸入は

1969年から開始されましたが、

当初の国内エネルギー供給に占める割合は

1%に過ぎませんでした。

しかし以後は急激に増え続け、

今では石油(42.9%)に次ぐ石炭(25.0%)に匹敵する

24.2%を占めるまでになりました。

2012年のLPGの輸入全量は8,687万トン。

全供給量の97.2%に当たります

(国産天然ガスは253万トン、2.8%)。

とりわけ、東日本大震災で

原子力発電によるエネルギー供給の割合が

11.3%(2010年)から0.4%(2013年)にまで

縮小されたことから、

LNGの重要性はさらに高まっていると言えます。

液化天然ガスの用途

輸入量の7割近く(68.2%)が火力発電所の燃料として

電力用に使用されており、

のこる3割強(31.8%)が都市ガス用として使われています。

日本向けのLNG輸入価格は、原油価格に連動していますが、

原油価格変動の影響を緩和するための

調整システムを織り込んだ価格フォーミュラを導入し

ているため、原油に比べると

その変動が緩やかなものになっています。

とはいえ、常に原油価格に

左右されていることには違いありません。

天然ガスの取引量

日本に輸入されているLNGは、

オーストラリアやマレーシア、ロシア、

ブルネイ、インドネシアといった

アジア大洋州その他の地域からの輸入が

約7割(71.4%)を占め、

カタールやオマーン、イエメンといった

中東からの輸入が残る3割弱[28.6)%と、

石油に比べて中東への依存度が低いことも特徴です。

天然ガスの輸送手段はパイプラインで直接ガスを送る方法と、

天然ガスを液化してLNG(液化天然ガス)として、

巨大なタンカーで運ぶ方法があります。

日本は利用する天然ガスのほとんどを輸入に頼っており、

オーストラリアなどからLNGタンカーを使って運ばれてきます。

国内消費量の増加に伴い、

輸入量はこの10年間で約1.2倍に増加しています。

世界のLNG取引の状況

世界のLNG貿易量(2018年)

世界のLNG輸入量の7割はアジアが占めています。

中でも日本は世界のLNG輸入量の

約4分の1を占める世界最大のLNG輸入国となっています。

出典:BP「Statistical Review of World Energy 2019」を基に作成

日本の天然ガス輸入量

日本のLNG輸入量は10年前に比べ大幅に増加しており

特にオーストラリアやカタールからの輸入が増加しています。

今後、シェールガス革命により

生産の拡大している米国からの輸入など、

LNG調達先の多様化を図っていきます。

※数値は都市ガス用途以外も含みます。

※四捨五入のため、合計値があわない場合があります。

出典:財務省貿易統計 LNG

大阪ガス向けLNG船 “LNG MARS”と命名  2015年05月15日

LNG船 “LNG MARS”は、

株式会社商船三井と

大阪ガスインターナショナルトランスポートが発注し、

三菱重工業長崎造船所で建造されました。

LNG MARS の概要

(1)全長 : 288.0m
(2)全幅 : 48.94m
(3)満水喫水 : 11.55m
(4)LNGタンク : モス独立球形ストレッチタンク方式(連続タンクカバー付)
(5)総トン数 : 138,000 トン
(6)タンク容量 : 約153,000m3(*)
(*)LNGタンク総容積155,000m3のうち実際にLNG積載が可能な容量
(7)主機関 : 再熱式蒸気タービン
(8)航海速力 : 19.5ノット
(9)建造造船所 : 三菱重工業長崎造船所
(10)船舶管理会社 : 商船三井

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2021年2月1日(月)