魔除けの「サン」と家族を大事にする沖縄の伝統 第84回沖縄訪問(13)
人参葉の炒め煮、巻貝(テラジャー)の味噌汁、魔よけの「サン」、家族を大事にする沖縄の伝統に感心しました。
【沖縄の心 こころの行方は自然開発か 自然保護か 創造と破壊に悩む沖縄のこころ その13】
朝日会の後は、金城正則さんのお家に行きました。前兼久漁港から、金城正則さんのお家に行くまでに、国道58号線があります。
国道58号線には、絶え間なく、自動車が上りと下りの2車線を走っています。信号がない場所を横断するので、イライラします。思い切って、走り抜けようと思うと、車が近づいてきて危険なので、思い留まります。やっと、58号線を横断して、金城正則さんのお家に着きました。沖縄では、3月なのに、ビワがあります。淡路島のビワを神戸ではよく食べるのですが、淡路島のビワに比べると、沖縄のビワは、1回り小さいサイズでした。
「どんなのかな」と思って、味を利いてみると、これが予想以上に美味しかったです。さて、これから、金城家の台所で、松葉家の家庭料理を伝えます。子ども達が小さいときから大好きな人参葉をこれから炊きます。
人参葉は、成熟した人参葉ではありません。
畑で人参を蒔いて、だんだん大きくなってくると、間引きします。その間引きされた、まだ幼い人参についた人参葉を使います。
今夜の金城家のお客様には、松葉博雄夫妻の他に、冨着勝弘さん、絹子さん、孫の翔瑛ちゃん、娘の知美ちゃんの冨着さんご一家が参加です。
冨着絹子さんが、自宅で作って持ってきてくれた料理が加わります。一緒に食事です。たくさんの人が集まると、賑やかになります。
冨着絹子さんが、お料理を運んだお皿の脇に、ススキの葉で結んだ、おまじないを置いていました。「これは何ですか?」と尋ねてみると、「サンです」と、言われました。沖縄地方の独特の文化なので、ちょっと調べてみました。
「サン」とは、ススキの葉3枚を結んだものです。使い方は、ご馳走を運ぶ時や、お弁当を持ち運ぶ時に添えます。サンを食べ物の側に入れておくと、腐ったりしないと言われています。どうしてかと言えば、このススキの葉は、両端がまるでノコギリのようになっています。幽霊もまじむんもズタズタに傷つくのが怖いので、サンがあると、近づかないと言われています。ひとつより、3つの方が何倍も威力を発揮します。
今日のクレアちゃんは、少しお姉ちゃん振っています。
自分より年下の子がいると、クレアちゃんは、俄然お姉ちゃんになります。1歳と3歳の違いです。
金城家の利絵ちゃんと、冨着家の知美ちゃんは、小学校、中学校で一緒に育っていますから、幼馴染です。今日、とても美味しかったのは、冨着絹子さんが作ってくれた、貝の味噌汁です。
貝は、いつも朝日会で頂いている巻貝(テラジャー)を使っています。作業が大変なのは、テラジャーに付いた外側の付着物を洗い取ることです。付着物を取らなければ、味噌汁に異物が入ってしまうのです。
冨着絹子さんは、冨着勝弘さんのお父さん、お母さんをとても大事にしています。
「冨着勝弘さんが、大好きで、そのお父さん、お母さんだから、大好きです」とお聞きしました。
幼いときから、クレアちゃんと翔瑛ちゃんが親しんでいると、この関係は当然、大きくなっても、仲間ということになります。一緒によく遊んでいます。
クレアちゃんは、滑り台の使い方を翔瑛ちゃんに見せて、滑ってみるように、誘っています。
子ども達がはしゃいでいると、家の中が明るくなります。
しかし、子どもたちは、はしゃぎすぎると、後から熱が出ることがあります。
さて、何時になったのでしょうか?
金城正則さんはお疲れのようで、先に寝てしまいました。10時を過ぎた頃、宴会はお開きです。
冨着絹子さんは、金城家のワンちゃんのアレックスに声をかけて、可愛がってくれています。
アレックスは、人が近づいてくると、嬉しそうです。
「また、会いましょうね」ということで、今夜はおしまいです。
3組の家族が、美味しいご馳走をたくさん頂き、ビールや泡盛をしっかり飲んで、足元がフラフラするほど、楽しい宴会となりました。
今夜も思い切り笑いながら、時折、分からない沖縄方言の意味を尋ね、聞き直しながら、楽しい団欒となりました。今夜もすっかりご馳走になって、ありがとうございました。
2007年3月11日(日)