戦略サファリで類型化してみると、メニコン・メルスプランの戦略は進化している。
投稿No:8711
メニコン メルス戦略チーム チームリーダー 横井宏祈さんと意見交換
メニコン メルス戦略チームとの意見交換
蝉の声がわんわんと響く夏空の中、メニコンの安倍優部長と、
名古屋からメルス戦略チーム・チームリーダーの
横井宏祈さんが来られました。
メニコン メルス戦略チームとの意見交換が、本日の目的です。
経営戦略の内容は、紹介できませんので、
メルスプランはどのような経営戦略なのか、記載します。
メニコンの経営戦略 メルスプラン
メニコンのコンタクトレンズ定額制サービス
「メルスプラン」は2001年から開始しました。
2013年6月に会員数が100万人を超え、
現在130万人超の会員を有しています。
この5年間、年4~5%増ペースで着々と会員数を増やしています。
2018年3月期のメルスプランの年間売上高は383億400万円。
連結売上高が766億7200万円なので、
半分をメルスプランが稼いでいる計算になります。
2019年3月期は400億円に達しました。
国内のコンタクトレンズ関連事業に限れば7割に上り、
圧倒的な中核事業になっています。
2020年3月期の連結決算は、
売上高が前期比4・5%増の845億円となり、
上場以来5年連続の増収で過去最高でした。
メルスプランは 経営戦略・10類型のどれなのか?
2001年から始まったメルスプランには、
わが社も開始当初から加盟店として経営戦略に参加しました。
結果として、加盟店各社の賛同が、戦略の成果を高めています。
ヘンリー・ミンツバーグ(Henry Mintzberg)は、
経営戦略を彼の著「戦略サファリ」で
動物の名称を使って類型しています。
この類型に基づくと、メルスプランの経営戦略は、
どれに該当するのか、考えました。
1.デザイン・スクール― コンセプト構想プロセスとしての戦略形成
動物:クモ/主体:CEO
クモが自分の巣を作るように、経営者(CEO)は、
事業の戦略を設計しているというコンセプト
です。戦略の策定はトップダウンで、
戦略マネジメントであり、現場は戦略に従います。
メルスプランには、この色合いがあります。
2.プランニング・スクール― 形式的策定プロセスとしての戦略形成
動物:リス/主体:プランナー
戦略はトップダウンで行われるのではありません。
戦略とは、設計書の通りに進めるのではなく、
現場や市場の流れを読んで、柔軟に進めていくものだと考えます。
この戦略は、メルスプランとは色合いが違います。
3.ポジショニング・スクール― 分析プロセスとしての戦略形成
動物:水牛/主体:プランナー
ポーターが主張したのが、ポジショニングです。
80年代はポジショニング戦略が脚光を浴びました。
ファイブフォースと3つの戦略、バリューチェーンです。
メルスプランでは、ニッチ戦略が該当します。
4.アントレプレナー・スクール― ビジョン創造プロセスとしての戦略形成
動物:狼/主体:アントレプレナー
エクセレントカンパニーを研究したトムピーターは、
働き方・価値観などの、
心情的なチャレンジをする起業家精神問題に焦点を当ててきました。
メルスプランでは、
一部の人がエクセレントカンパニーの要因を指摘していました。
5.コグニティブ・スクール― 認知プロセスとしての戦略形成
動物:狼/主体:アントレプレナー
「コグニティブ」とは認知(認知心理学)のことです。
企業が業績をあげるには何が必要か?
個人にスポットを当て、人間の研究をしています。
メルスプランとは色合いが違うようです。
6.ラーニング・スクール― 創発的学習プロセスとしての戦略形成
動物:サル/主体:従業員たち
1990年代のジャパンアズナンバーワンの時代、
日本企業は教科書通りの戦略は行っていませんでした。
組織が一丸となり動いていたことが
業績に直結したいう調査結果になり、
本当の戦略は「強い組織を作ること」に
スポットがあるようになりました。
従業員一人一人の知識や経験を
有効活用にする仕組みや文化がある企業を目指していました。
野中郁次郎さんのナレッジマネジメントが注目された時代でした。
メルスプランの戦略には、
強い組織をつくっているので、色合いが近い面があります。
7.パワー・スクール― 交渉プロセスとしての戦略形成
動物-ライオン/主体:力
モノ作りでは、アメリカは日本に負けていました。
アメリカはリングを変えて、
第三次産業を主体とする時代を作ってきました。
2000年直前から、IT主体の時代なり、
市場環境のスピードが物凄く速くなってきました。
第三次産業型の超肉食ビジネスモデルが力を持ち、
影響力を行使できる状態こそが戦
略ではないかという議論が生まれるようになりました。
メルスプランの戦略は、
レンズというモノづくりが欠かせませんが、戦略としては、
ビジネス特許にITの活用が織り込まれています。
8.カルチャー・スクール― 集合的プロセスとしての戦略形成
動物:クジャク/主体:文化
よい企業文化を作ることが強い組織を生み、
それ自体が戦略になるという考えです。
コミュニケーション能力や
企業風土にスポットが当てられたタイミングで誕生しました。
メルス戦略にも、加盟店を組織化して、
メルスの安全哲学文化を
共有していこうという戦略が育ってきました。
9.エンバイロメント・スクール― 環境への反応プロセスとしての戦略形成
動物-ワニ/主体:環境
生き残る組織とは環境に適応した組織である。
過去に成功した戦略が、今の時代には成功するとは限らない
過去の実績と未来は分けて考えるべき。
本当に大事なのは、時代の流れに従うことであるという考えかたです。
メルス戦略が誕生して10年、15年と経過すると、過去の実績と分けて、
未来のために、
M&Aによる企業買収で加盟店を増やす戦略が採れれてきました。
10.コンフィギュレーション・スクール― 変革プロセスとしての戦略形成
動物:カメレオン/主体:不明
「どの戦略論が正しいかなんて答えはないさ!全ては状況次第さ。
必要な時代に応じて必要な戦略を選べばいいだけじゃない!」
とミンツバーグは言い切りました。
メルス戦略にとは、色合いが違うようです。
参考文献 戦略サファリ 第2版 -戦略マネジメント・コンプリート・ガイドブック
ヘンリー ミンツバーグ 著
資料出典 インプロ部 戦略論
画像出所 メニコンHP
2020年8月5日(水)