「今夜の晩ご飯は何がいいですか?」と尋ねられたら、「はっきりと、何が食べたいか、答えてください。」それで夫婦げんかを避けられます。

アンコウ鍋の肝、すき焼きの肉、水炊きのかしわ、寄せ鍋のカニは、松葉家では長男が先、次男はその後、相撲部屋の番付の上の人が、先にいただくしきたりのようでした。

「今夜の晩ご飯は、何がいいですか?」と、旦那さんなら、こんな質問を、何度も受けたことがあると思います。その時、はっきりと、意志を持って、「これが食べたい!」、と言える人は、問題意識が高い人です。

大抵の旦那さんは、「何でも良い。」と答えるのが、世間の一般的な旦那さんの答えです。

ところが、晩ご飯が出てくると、何でも良いと言っていながら、ぶつぶつと、不満を言う旦那さんも多いのです。

任せると言っていながら、実は、任せていないのです。これには、奥さんも、むかっとします。そこで、ケンカの始まりです。

このような、先行きを読めば、今夜は何を食べたいですか?と、問われたときに、松葉博雄は、今夜はアンコウ鍋が良いなと、はっきりと答えて、しかも、あんこうを売っているお店にまで、ついていって、どの鮟鱇が良いか、現物を見て、指を指して、はっきりと意思表示をしました。

さらに、あんこう鍋が始まると、アンコウ鍋の味付けを、自らが行って、自分の好きな味に仕上げました。

こうなると、夫婦げんかにはなりません。

さらに、一緒にいただく白菜と、小カブの漬け物も、寒い中で、塩加減をして、松葉博雄が桶に重しを置いて漬けた、漬け物です。

さて、お味はいかがでしょうか?

奥さんは、とっても美味しいと、味の評価は「優」でした。

鮟鱇鍋で、一番美味しくて、取り合いになるのは、肝です。

そこで、肝は、4分割し、鍋に入れる前に、鍋からとるときに、一人2切れですよと、暗黙の了解事項を作り、一人が3切れや、4切れにならないように、お互いに譲り合って、あんこう鍋をいただいています。

松葉博雄が幼い時、両親の教育方針は、長男が一番で、美味しいところは、長男がいただくという、家族内ルールがありました。

このルールが発揮されるのは、一人一人が、お皿に盛りつけられていない、誰がどのぐらいいただくのかが、はっきり分かりにくい、すき焼きや、水炊き、鍋物などのときです。

こんな、幼い頃の思い出を、うちの家では、こんなルールでしたよと、奥さんに、昔話を話しながら、今夜のアンコウ鍋をいただいています。

松葉博雄の奥さんの育った環境は、みんな等しく、平等に、お肉でも、あんこうのきもでも、いただいていたそうです。

こうして、昔話をしていると、それぞれの家には、それぞれの文化があり、それが、いわゆる「家風」と呼ばれることが、納得出来ます。

2015年2月1日(日)