世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし、の気持ち。
桜の花が咲く頃は、小枝に木の芽立ちが生える頃は、気持ちがそわそわしてきます。
桜が咲いていますよ、早く花見に行かないと、すぐに散ってしまいますよと、誰かに背中を押されたように、花見に行きたくなります。
何か考え事をしている間に、仕事のことを第一番に考えてパソコンに向かっている間に、いつの間にか、季節は寒い冬から三寒四温を繰り返し、気付けば近くのおうちの桜は満開です。
そうです。季節は繰り返し繰り返しやってくるのです。
こちらが忘れていても、気温が上がれば啓蟄は過ぎて、身の回りに虫が飛び交うようになり、梅の花が咲いて、密を吸いに飛んできています。
小さな庭の隅のほうに植えていた、山椒の木の新芽も、芳ばしい香りを辺りに漂せながら、春がさらに進んでいることを主張しています。
奥さんは、季節を食べ物に活かそうと、朝の間にちらし寿司を作りました。
ちらし寿司の具材は、レンコン、タケノコ、錦糸卵、イカナゴ、サヤエンドウを散らしています。
お吸い物の上にも、ゆずの皮と、木の芽の新芽が浮かんでいます。
ゆずの皮は、「私の方がいい香りでしょ?」と主張していても、
「ふ~ん、私の方が若くて、ぴちぴちしてるんだから、きっとみんな私の色香の方に注目するもんね」と、木の芽も負けてません。
朝、これから会社に行く前に、気にしてなかった季節を気にしました。
もう山菜が美味しい時季です。
そういえば、わらび、ぜんまいもそろそろ土の中から頭を持ち上げてくる頃です。
外の桜をみて、家の木の芽をみて、目の前のちらし寿司をみて、今からでも春を追いかけようと思います。
今日は3月30日土曜日で、東京では桜が咲いたというのに、神戸の桜の名所は、まだこれからです。
神戸より東京の方が北海道に近いと思っていたのに、桜の咲く早さは、関東の方が先になりました。
季節を追って、家の飾りは、ひな人形から五月人形に変わっています。
お天気にさえなれば、神戸の桜も、今日の土曜日、明日の日曜日あたりがお花見の頃です。
来週の4月5日、6日あたりになると、もう、散り始めかもしれません。
ちらし寿司に触発されて、今日は仕事が終わったら、奥さんと花見に行くことにします。
ねがはくは花のしたにて春死なむ
そのきさらぎの望月のころ
ここまで風流人ではありませんが、仕事の事ばかりしないで、花鳥風月に親しみます。
2013年3月30日(土)