旅する蝶・アサギマダラが淡路島に飛来 — 海を越える奇跡と、守りたい松帆海岸の自然
旅する蝶 アサギマダラの飛来ニュース 守るべき淡路島の自然 アサギマダラをめぐる現状
秋になると、SNSやニュースで
「アサギマダラが飛来した」
という投稿をよく見かけるようになります。
つい先日も、岡山県美作市でアサギマダラが
確認されたというニュースが話題になりました。
この蝶を一度でも見たことがある人なら、
その美しさが忘れられないでしょう。
羽に光が透けると、淡く青く輝く――
まるで空の色を閉じ込めたような神秘的な蝶です。
🦋 “旅する蝶” アサギマダラの不思議な旅路
アサギマダラは「旅する蝶」と呼ばれています。
体重はわずか数グラム。
けれど春になると
南西諸島から本州・東北地方へと北上し、
秋になると再び南の島々へと帰っていきます。
なかには、なんと台湾まで渡る個体も。
数百キロ、時には千キロを超える距離を、
小さな羽で飛び続ける
その姿はまさに“自然界の冒険者”です。
🌺 淡路島で出会ったアサギマダラとスナビキソウ
私がアサギマダラの存在を深く知ったのは、
淡路景観園芸学校で学んでいた頃でした。
(過去ブログ:アルファーガーデンで 昆虫採集)
5月になると、絶滅危惧植物
「スナビキソウ」の白い花が
海岸に咲き始めます。
その花こそ、アサギマダラを引き寄せる蜜源です。
アサギマダラは、北上の途中で
フジバカマやスナビキソウの花にとまり、
蜜を吸い、羽を休めながら旅を続けます。
まさに淡路島は、旅の途中で
羽を休める“オアシス”なのです。
以前、淡路島最北端の「松帆地区」で、
スナビキソウの花に舞う
アサギマダラを見に行ったことがあります。
その光景は、言葉を失うほど美しく、
静かな海風の中を青い蝶
がふわりと舞っていました。
⚠️ アサギマダラの命をつなぐ海岸の危機
しかし、そのスナビキソウが生える松帆海岸は、
パソナグループの所有地と接しています。
以前、重機が搬入され、
貴重なスナビキソウの群生地が
失われかけたことがありました。
スナビキソウは、
兵庫県のレッドデータブックにも
記載されている希少植物です。
同様に、アサギマダラが好むフジバカマも、
全国で準絶滅危惧種として扱われています。
アサギマダラが旅を続けられるのは、
こうした花々の存在があるからこそ。
海を渡って淡路島にたどり着いた蝶たちが、
蜜を吸い、夜を過ごすブッシュも、
すべてがつながった“ひとつの生態系”なのです。
🌿 淡路島の自然を未来へ
アサギマダラが飛来する季節になると、
「今年も戻ってきた」と嬉しくなります。
けれど同時に、その背景にある
自然の繊細なバランスも忘れてはなりません。
淡路島の海岸で、
再びアサギマダラが舞う光景を見られるように、
この島の自然を守り続けたいと思います。