大磯港でアシアカエビの放流 大磯港の干潟は アシアカエビにとって理想的な環境のようです
投稿No:10399
大磯港でアシアカエビの放流 大磯港の干潟は アシアカエビにとって理想的な環境のようです
淡路の大磯の自宅前に
大きなトラックが止まっていたので
なにをしているのかと思い
見に行ってみました。
どうやら今年も
稚エビの放流の季節がやってきたようです。
毎年この場所で
稚エビの放流をしています。
網で囲いをつくり、
クルマエビの稚エビを囲いの中に
ホースで放流しています。
放流した日は囲い網の中で
放流場所の環境に慣れさせ、
翌日、網を解放します。
作業している方に
詳しく話を聞いてみました。
どうやら、アシアカエビ、
通称クマエビを放流しているそうです。
アシアカエビは仲間を襲うほど
獰猛な性質があり、その姿を熊になぞらえて
「クマエビ」と呼ばれるように
なったそうです。
そのアシアカエビをなんと
70万引きも放流しているそうなのです。
しかし、放流された70万匹の
アシアカエビの稚エビも、
すべてが大きく育つわけではありません。
小さなうちは
魚やカニなど多くの天敵に狙われ、
環境の変化や餌の取り合いでも
命を落としてしまいます。
そのため、成長して漁獲の対象となるのは
ほんの一部にすぎません。
しかし、そのわずかな生き残りが海の資源となり、
地元の漁業を支えているのです。
放流からおよそ2年が経つと、
稚エビは体長約10センチほどに成長し、
その頃に漁獲されて
人々の食卓にのぼることになります。
数年前も
このエビ放流に出くわして
動画を撮らせて頂いたことがあります。
トラックの荷台のタンクの中に酸素を供給しながら、
稚エビをバキュームで吸い込んで
ネットで囲われた海に放します。
この稚エビは
どこから来ているのでしょうか?
聞いてみました。
このアシアカエビの稚エビは
放流するまでは、
佐野漁港で育てられているそうです。
県や市からの依頼で
行われているものではなく、
近隣の漁業組合が協力し合い、
自らエビを購入して育て、
放流しているのだそうです。
ではなぜ、毎年この大磯で
放流しているのでしょうか?
大磯は、明石海峡大橋ができる前までは
フェリーボートの港として使われていました。
しかし橋の完成後に港の役割を終え、
人の手が入らなくなると、
川から流れ込む砂利が堆積し、
やがて干潟へと姿を変えました。
干潟とは、潮の満ち引きによって
水没と干出を繰り返す
砂泥地の海岸地形のことです。
この干潟はクマエビにとって理想的な環境です。
干潟にはプランクトンや
小さな生物が豊富に育ち、
稚エビの餌場となるうえ、
柔らかな砂泥地はクマエビが身を潜める
隠れ場所にもなります。
クマエビは身を守るために砂に潜る習性があり、
この環境が生き延びる確率を
高めているそうなのです。
こうした理由から、大磯の干潟は
クマエビの生育に最適な場となり、
毎年ここでの放流が続けられているのです。
稚エビの放流は、
畑に苗を植えることと同じです。
小さな苗がやがて育って
実りをもたらすように、
稚エビも海という大きな畑で成長して、
やがて食卓に届くのです。
こうした取り組みがあるからこそ、
クマエビは毎年漁にかかり、
クマエビをおいしくいただくことができます。
放流は、海を育て、
漁を守るための欠かせない取り組みなのです。