車えびがいっぱい クルマエビの栽培漁業 大磯港で放流(動画)

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車えびがいっぱい クルマエビの栽培漁業 大磯港で放流

車えびがいっぱい 大磯港で放流(動画)

淡路市大磯の岸壁から海を見てると、海でなにか作業をしていました。

何をしているのか、近寄ってみました。

トラックに積んだ、何かをホースを使って、海に流しています。

なにを流しているのか、尋ねたら、幼エビだそうです。

大磯港に網で囲いをつくり、車エビを囲いの中にホースで放流していました。

稚エビの放流は兵庫県漁業振興事業のひとつだそうです。

しばらくお話を聞きながら見学させてもらいました。

稚エビはとっても小さいので、いきなり海には放せません。

ネットを張ったいけすの中で、海に慣れさせます。

海老は砂地に潜る習性があるので、ネットの囲いの中は、砂地を選んでいました。

砂地に潜るのも、環境適応の一つです。

トラックの荷台のタンクの中に酸素を供給しながら、

稚エビをバキュームで吸い込んでネットで囲われた海に放します。

車えびがいっぱい クルマエビの栽培漁業 常にリスクと隣り合わせ

魚の養殖はあちこちで行われており、特に難しい、不可能に近い、と言われていた

マグロの完全養殖に成功した近畿大学水産研究所の試みは有名です。

孵化に成功しても、すべての稚魚が成長できるわけではありません。

養殖場から放流した後は、天敵がたくさんいる海で生きていかなくてはなりません。

車エビの天敵は大きな魚、特にフグです。

また、砂に潜る習性のある車エビは、養殖の際に砂にウィルスが繁殖して全滅することもあります。

海ならその心配はないものの、捕食される可能性があります。

どう転んでも、減ってしまった個体数を増やすことはとても大変なことです。

途方もなく長い年月がかかります。

こうした並々ならぬ努力の上に、私たち消費者への供給が成り立っているのです。

そう思うと、本当に資源を無駄にしてはいけないと思います。

ちっちゃくて全く見えませんが、ここにたくさん稚エビがいます。

車えびがいっぱい クルマエビの栽培漁業 大きな循環の中にいると知る

消費者である私たちも、こうした取り組みを自分の目で見ることで、

その大きな循環の中にいることが分かります。

苦手な野菜を実際に畑で自分の手で収穫したら食べられるようになった、

という子供の話は聞いたことのある人も多いでしょう。

ご自分のお子さんやお孫さんがそうだ、という人もいると思います。

車えびがいっぱい クルマエビの栽培漁業と養殖漁業

栽培漁業と養殖漁業の違いはなにでしょう。

栽培漁業とは、卵から稚魚になるまでの、一番弱い期間を人間が手をかして守り育て、

無事に外敵から身を守ることができるようになったら、

その魚介類が成長するのに適した海に放流し、自然の海で成長したものを漁獲することです。

養殖漁業は、出荷サイズになるまでを水槽やいけすで育てます。

魚の子供の頃から大人になるまで、人の管理下で育てられています。

一番大きな違いは、栽培漁業では魚を海に放流しますが、

養殖漁業は魚を水槽などで育て、放流はしないというところです。

漁業・養殖業の生産量のうち養殖業は約25%を占(し)めています。

参考 水産庁水産白書 http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/index.html

車えびがいっぱい クルマエビの栽培漁業 漁業資源の乱獲と現状

淡路の大磯港にドライブがてら立ち寄ったところ、

偶然車エビの稚エビの放流をしている皆さんに出会いました。

昨今、乱獲によって海洋資源の枯渇が深刻化しています。

世界中に起きた日本食ブームで、今まで刺身や魚介など見向きもしなかった国にまで日本食レストランが乱立し、

成長しきらない魚も獲ってしまいます。

日本近海に上がってくる前に獲られてしまうので、日本の漁業にも深刻な影響が出ています。

車えびがいっぱい クルマエビの栽培漁業 まとめ

普段何気なく食べているものが、食卓へ上るまでの過程はどうなっているのか。

それを知ることで、食への興味や感謝の気持ちが湧いてきます。

子供達への「食育」の大切さが見直されるようになってずいぶん経ちます。

様々な試みも、時間が掛かるがゆえに需要と供給のバランスが崩れてしまっているものも少なくありません。

その資源を大切にして、枯渇させない努力があちこちで行われていることを、

子供達にも知ってもらいたいと思います。

車えびがいっぱい「クルマエビ」を放流する(その1)

栽培漁業センターでは、主に漁港で水揚げされた親クルマエヒ(約30cm)から採卵し、

放流サイズ(約1.5cm)まで飼育します。

写真は、栽培漁業センターの飼育水槽の様子です。

クルマエビを放流する際には、放流効果(放流したエビがどのくらい漁獲されたか)を 調べるためにエビに標識をつける場合があります。

ここではクルマエビ標識放流の作業を紹介します。

ここで写真で紹介しているのは平成16年に大阪府・和歌山県・徳島県・兵庫県の4府県が共同で行った 標識放流の様子です。


(写真)放流する稚エビ

(放流する稚エビ)
大きさが6~7センチの稚エビに標識をつけて放流します。

(写真)クルマエビに標識をつける作業

 

(稚エビに標識をつける) クルマエビに標識をつけます。

実は、標識をつけるといっても稚エビに色のついた目印をつけるのではなく、

尾肢(びし)と呼ばれるしっぽの一部をハサミで切りとります。

(写真)ハサミでクルマエビのしっぽの一部を切り取る

(写真)しっぽの一部を切りとったクルマエビ。

 

(尾肢を切った稚エビ) 左にある写真は尾肢を切った稚エビと切っていない稚エビです。

今回は、頭を上にして背中側から見た場合、左側の尾肢(赤い矢印で示した部分)を切って放流します。

放流した後、切った尾肢は再び生えてきますが、下の写真のように左右で模様が違ってきます。

これで、市場で漁師さんが水揚げしたクルマエビを調べたときに放流したエビかどうか区別します。

(写真)切りとった部分が再生したしっぽ。左右で模様がちがう。

(写真)水槽に収容されたクルマエビ

 

(水槽に収容する)尾肢を切ったエビは放流まで水槽に収容しておきます。

車えびがいっぱい「クルマエビ」を放流する(その2)

(写真)稚エビを輸送用のカゴに移す

 

(稚エビをカゴに移す)水槽に収容してあった稚エビを輸送用のカゴに入れます。

(写真)稚エビの入ったカゴを車に積む

 

(稚エビを車に乗せる)稚エビの入ったカゴを今度は車に積んだ輸送用の水槽に収容します。

放流は7月頃に行われるので、 稚エビが弱らないように水槽の海水は氷を入れて17~18度ぐらいに温度を下げておきます。

(写真)車の中の水槽にカゴを収容する
 
 
(写真)放流場所に設置した囲い網

 

(稚エビを放流する)稚エビは砂浜へ放流されます。

放流場所には左にある写真のような囲い網を設置しておき、その中へ 稚エビを放します。

放流した日は囲い網の中で放流場所の環境に慣れさせ、翌日、網を解放します。

7月に放流したエビは、その年の秋頃には

約15~17センチの大きさに成長して漁獲されるようになります。

(写真)囲い網の中で稚エビを放流する

 

資料出典 (公財)大阪府漁業振興基金栽培事業場(栽培漁業センター) 栽培漁業センター

大磯港で行われていた、幼エビの放流は、ほぼこの手順で行われていました。

2020年8月10日(日)