クルマエビの放流 効果は検証できていません 栽培漁業 淡路市大磯港
投稿No:9528
今年もクルマエビの放流を行っていました。豊かな海の実現に向けて 栽培漁業
稚エビの放流
淡路島の大磯港へ行ってみると、今年も
稚エビの放流を行っていました。
網で囲いをつくり、
クルマエビの稚エビを囲いの中にホースで放流しています。
放流した日は囲い網の中で放流場所の環境に慣れさせ、
翌日、網を解放します。
餌や隠れ場所が十分にあるなど、
その後の生活に適した場所に放流しているのです。
これは、栽培漁業の一環です。
この放流が、どのぐらいの効果があるのか
放流している人に尋ねてみました。
エビの放流の効果は検証方法が難しく
今のところ、漁港で漁獲高に頼っているそうです。
2020年に行っていた
クルマエビの栽培漁業の動画です。
エビの大きさがよくわかります。
(過去ブログ:稚エビの放流 クルマエビの栽培漁業)
栽培漁業とは、
卵から稚魚になるまでの一番弱い時期を人の手で守り
その後、自然の海に稚魚を放流し、
成長したものを獲る漁業です。
自然界では生まれた直後の生き残りが悪く、
稚魚まで成長するのは僅かですが、
この時期を人が飼育、一定の大きさまで育てた場合、
生存率が格段に上がります。
クルマエビの場合、
3cm程度に成長したら放流しているようです。
(参考:兵庫豊かな海づくり協会)
クルマエビの漁獲量
しかし、クルマエビは最近は放流しても増えない、
という課題に直面しているそうです。
その理由としては、瀬戸内海の環境変化が影響しています。
(引用:豊かな海 No.56)
数十年前と比べると、
クルマエビの漁獲量は格段に下がっています。
同じように育てて放流しているのに
効果が出ないということは、
瀬戸内海の環境の変化がク
ルマエビを育ちにくくしています。
獲る漁業から育てる漁業へ
近年、海洋資源の保護のほか、様々な理由で、
国際的な漁場規制が進められてきました。
このような中で、日本の沿岸漁業は
“獲る漁業”から”育てる漁業”へと
転換の必要性が高まってきているようです。
今回見たのはクルマエビの栽培漁業でしたが、
様々な魚介類の栽培漁業を行っています。
種苗放流の実施によって
将来の親魚量や漁獲量にどのような違いが出てくるかですが、
やはり放流があることによって、
将来の親魚量、漁獲量が多くなるそうです。
資源の底支えとなることが期待されています。
しかし、いまだに放流魚が
自然環境の中で、どのように応答しているかは
まだまだ解明していないことだらけです。
放流の効果を十分に評価するには、放流後に
しっかりと把握することが重要です。
人口種苗由来の個体を追跡する体制の充実も
資源管理において、非常に重要な項目です。
クルマエビでは
しっぽの一部を切り取って標識にしているようです。
しかし、脱皮や再生により戻ってしまうそうですが、
模様が異なるそうです。
瀬戸内海では、水質が改善した一方で
貧栄養化が進行し、水産資源に悪影響が生じています。
今、瀬戸内海は、魚介類等の生き物が
育ちにくい海となってきているのです。
生物にとって望ましい環境を求め、
様々な取り組みを強化していくことで
豊かで美しい海の再生を進めることが重要だと思います。
淡路市大磯の私の家の前で行われていた
稚エビの放流でいたので、
はじまりから 終わりまで見ていました。
2022年10月24日