南城市 百名伽藍の天空の湯、自然の時の流れの中に身を任せる、自然人のような気持ち
百名伽藍の浴室は天空の湯です。西行庵、円空庵と、方丈庵、一休庵、長明庵、良寛庵と命名されています。百名伽藍の天空の湯につかると、自然の時の流れの中に身を任せる、自然人のような気持ちになりそうです。 第158回沖縄訪問(20)
百名伽藍で、
宿泊用のお部屋を見せてもらっています。
白隠の間(はくいんのま)を見学し終えると、
次は別の部屋に移動です。
宿泊客同士は、
出来るだけ顔を合わさないように、
各部屋がセパレートになっています。
ここは沖縄の南部の地区なので、
部屋の周りの小さな坪庭にも、
沖縄らしい植物が植えられています。
多分、内地から百名伽藍に宿泊に来た方は、
この坪庭をみるだけでも、
南国の雰囲気を感じられると思います。
一つ一つの部屋には、百名伽藍らしく、
仏教に関わる固有名詞が表札のように掲げられています。
一つは、西行法師の名前をとった西行庵です。
西行法師は、侘びや寂びを大事にした、
物の哀れを求めた方です。
「都にて 月をあはれと おもひしは 数よりほかの すさびなりけり」
月を“あはれ”と思っていたのは
物の数ではない すさび(遊び,暇つぶし)であった
と詠んでいます。
西行庵も、円空庵も、
庵となっていても、実はお風呂なのです。
一組ずつお客様が個別にお風呂に入れるように、
独立したお湯を用意して、
ここから海を見たり、月を見たり、
沖縄の空気を感じるように、
ゆったりとしたお風呂になっています。
中に入ってみます。
浴槽は檜造りです。
庵の中には、仕切りは何もありません。
ここに来れば、ただただお風呂に入る事が、
浮き世を忘れて自然に溶け込む場所のようです。
お風呂での問題は、
外から見られることですが、
西行庵も、円空庵も、前は海で、
外から見られることはないようです。
百名の浜辺は遠浅で、潮が満ちてくると
、苔が生えた岩が消えていき、
潮が引くと、また岩は水面から現れてきます。
終わりのない潮の満ち引きは、
人生は次々に引き継がれて、
命が過去から現在、
そして未来へ続くように、
悠久の時の流れのようです。
今は明るい昼間ですが、
やがて日が沈んで、
周りが暗くなってくると、
この西行庵や、円空庵の雰囲気は、
一変するようです。
足下の小さなフットライトに明かりがつくと、
幽玄の世界が始まります。
一刻一刻の時間の流れが、
自然の変化として感じるようになり、
この浴槽に浸っていても、
自分も自然の流れの中に、
抱かれている事が伝わって来そうです。
天空の湯は、全部で6つあります。
名前はそれぞれが、
西行庵、円空庵、方丈庵、一休庵、
長明庵、良寛庵と命名されています。
6つの内5つは著名な僧の名前ですが、
方丈庵だけは、僧の名前ではないようです。
天空の湯の一つ一つは、
名前は違っていても、
コンセプトは全て同じようです。
誰にも気兼ねなく、
ゆっくりと沖縄の海を見ながらお湯につかり、
まわりの環境をゆっくりと愛でる事ができます。
6つの天空の湯を一巡して、
百名伽藍の天空の湯が、
一度はお湯に浸かってみたい
憧れのお風呂のように感じましたが、
このお風呂のお湯は、
天然温泉ではないそうです。
2016年4月21日(木)