沖縄のやんばるでGoogleマップにもない滝を見つけました。その名を、『魚泊の滝』と命名します。
沖縄のやんばる地区にある魚泊の滝は、地元の人しか知らない、まだ公式に紹介されていない滝でした。 第144回沖縄訪問(10)
片山正喜さんを先頭に、松葉博雄は後から付いて、これから60mの落差のある崖を、ロープにつかまりながら降りていきます。
なかなか危険な坂道です。
これでは気軽な観光コースにはなりません。
土地の人達が、昔から浜に降りる為に、自分たちだけの道を作ったようです。
赤土なので、雨が降ると滑ってしまいそうです。
亡くなった愛犬リーは、この道を、片山正喜さんについて降りていたそうです。
十分に気をつけながら、転落死の死亡記事が琉球新報に掲載されないように、ゆっくりゆっくり崖を降りました。
崖の下は、あまり人が来ない砂浜です。右にも左にも、切り立った崖があり、この浜辺に降りるには、今の道しかなさそうです。
誰も来ない浜だから、魚は豊富そうです。
今日は台風の為のうねりがあるので、海には入りませんが、いつの日か、この浜辺から目の前のリーフに向かって、シュノーケリングをしたいです。
渇水が続いているので、わずかな水量しかない、やせた川を伝って源流に歩いて行きます。
浜昼顔のツタが、誰も踏み荒らさない為、自然な状態で伸びています。
川をさかのぼっていくと、段々と大きな岩が行く手を阻んでいます。
崖を降りるのも大変でしたが、岩を乗り越えて、川上に上っていくのも大変です。
障害物競走のように、岩を乗り越え乗り越え、川の深みに入らないように気をつけながら、進むこと数十分、行く手に滝が見えました。
この滝が、『魚泊の滝』です。
この夏は雨台風が来ていないので、川の水は少なく、滝の水量も、細い糸をひくようなやせた滝になっていますが、水量が多い時にはきっとものすごい瀑布があると思います。
やっと見つけた、地元の人に聞いた、魚泊の滝です。
魚泊の滝の水は、野点にすると、とても美味しく頂けました。 使った備前焼の茶碗は、片山正喜さんの秘蔵の茶碗です。
沖縄観光マップにも出ていない、地元の人しか知らない、まだ名前も付けられていない滝を見つけて、片山正喜さんと、しばし感慨に浸りました。
渇水期の今だからこそ、細い滝ですが、これが大雨になると、さぞ大きな滝に変わる事と思います。
水も綺麗です。目をこらしてじっと見ていると、魚が泳いでいるのも見えました。
片山正喜さんは、ここで野点をする準備が出来ています。
このような新しい発見の前に野点とは、風流なものです。
野点に使うお水は、当然、魚泊の滝で採取した水です。
これをコンロの火でお湯にして、抹茶を使って、お手前をします。
片山正喜さんが持って来たお椀は、備前焼のお椀です。
これは片山正喜さんが、潜水工事の仕事をしていた頃、仕事先の岡山でふと見つけたお椀です。
所有者の店のおばさんに、このお椀を譲って欲しいと頼んでみると、
「このお椀は、私のお気に入りで、毎日使っているお椀なので売らない」と言われたそうです。
どうしてもこの備前焼のお椀を欲しいと思った片山正喜さんは、
「それなら○○万円で譲って欲しい」と、
具体的な驚く値段をおばさんに持ちかけると、おばさんはにっこり笑ってうなずいたそうです。
以来、この備前焼のお椀がお気に入りで、日々愛用しているそうです。
それなら、銘を付けなければなりません。
織田信長や、豊臣秀吉は、気に入ったお椀には、銘を付けていました。
帰り道も大変な道でした。
途中見つけたのは、私有地の中にある展望台です。木で組んだ展望台です。
のどが渇いて、宮城共同組合魚泊支店の売店で飲み物を買って、一息つきました。
台風23号の接近で、空はどんよりとしています。
もう一度先ほどの断崖の上に立って海を見ていると、これからこの海が大荒れに荒れるのかと、予想も付かない穏やかさです。
男女の仲も、平穏な時もあれば、家の中がひっくり返るほどの大喧嘩があるようなものです。
片山正喜さんに、一つお願いをしました。
それは、会社の事務所で使っている、水槽に付着する苔を食べてくれる、タニシを採取する事です。
この辺りに働き者のタニシがいて、以前、タニシを事務所の水槽に入れると、水槽の苔を掃除をしなくてもタニシが食べてくれて綺麗になりました。
ヤンバルの地理に詳しくなると、どこに小川があるのか、頭の中に入っています。
片山正喜さんの頭の中の道路マップに沿って、タニシをとりに小川にやってきました。
小川は、水が少なく、容易にタニシがとれました。
2013年10月3日(木)