コンタクトレンズ 激安のカラクリ 低価格競争の罠 ビジネスの光と陰【社長経営学】シリーズ29
投稿No:9719
コンタクトレンズ激安のカラクリ 低価格競争の罠 ビジネスの光と陰【社長経営学】シリーズ29
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激安のカラクリ
ここで、神戸のコンタクトレンズ 小売販売業界の
厳しかった戦いを振り返り、
もう少し詳しく分析しましょう。
新聞折込のチラシ広告による集客効果を調べると、
チラシを配るたびに来客人数は増えますが、
最初は順調でも次第に逓減していき、
やがて低迷していきます。
「金の切れ目は縁の切れ目」と言う様に、
価格に反応する顧客とは
関係が長続きしないことがわかりました。
真っ正直に価格競争をしていたつもりですが、
分析してみると、
競争相手の安さの原因にはからくりがありました。
コンタクトレンズを安くしても、
激安ができる背景には、
健康保険医療報酬で
値引き分を補填できていたのです。
これでビジネスの光と陰、奥深さを学びましたが
私たちにはまねできませんでした。
当時はコンタクトレンズの健康保険の医療報酬には、
およそ7千円の医療報酬が請求できました。
コンタクトレンズ ディスカウンターの経営者はここに着目して、
他科目の医師をアルバイトに雇い、
ほんの数秒で検査が終わる診察で
数を稼いていました。
激安コンタクトの広告で
患者さんを集め、
健康保険医療報酬が目的の眼科医師も現れました。
価格競争は、ますます激しくなりました。
低価格競争の罠
これを受けて、我が社もチェーン店への対抗策として、
価格を下げた折り込み広告を配りました。
安くすると確かにお客さんは集まりますが、
収支勘定が合わなくなりました。
広告制作費、折り込み費がかさむのに対して、
商品を安くしているので販売利益が少なくなります。
例えば、
最初100円で広告を打っても、
次は95円に、それに慣れると80円に価格を下げて
広告効果を高めようとします。
競争企業も応戦して80円は75円になり、
延々と安売り競争が続きました。
最安値は半額の半額、
つまり75%の割引率までが現れました。
安くなるほど
お客様は嬉しいのかもしれませんが、
医療サービスの質は低下して行き
値引き商品が売れるほど仕入れが嵩み、
経営の首を絞めていきます。
競争を促進する外国企業の期待通り、
販売価格が下がると販売数量は増えて、
外資系メーカーの売上と支払いは増えていきました。
こうして国内市場は、製品特許に守られた
外国企業の寡占状態になっていきました。