インド ラジギールの温泉 近隣の村の人たちが入れ替わり立ち替わり ドンドンやってきます。 かけ湯なんかはしません。汚れたまま湯に入るので、 お湯は泥水のように透明性がありません。 皆さん平気で一緒につかっています。インド巡礼記 第15話
インド ラジギールの温泉
私が霊鷲山で瞑想をしている姿を見て、
現地ガイドのアーナンダは面白がって
私の耳元で何かをささやいています。
アーナンダは仏教はインドのジャイナー教と
よく似ていると言います。
ジャイナー教と仏教がどのように似ているのか、
私にはよくわかりませんでした。
アーナンダの言うには、
仏教はいつの間にかヒンドゥー教に吸収されてしまった。
それは、仏教が難しすぎたのも一つの原因だと言います。
ヒンドゥー教は現世利益を尊びます。
原始仏教は人間の心の形成を目的とします。
確かに難しい理論です。
ガイドの後にぞろぞろと付いていくと、
ブッダが沐浴したという池に着きました。
皆さんはここで手を洗い、
少しでもブッダが行ったことに近づくように手を洗ってみます。
正面に日本のお寺が建立したというブッダの像が安座しています。
グループの人たちを見てみると、
奥村氏は五木さんと松尾さん、
そしてその他に2人の計4人の女性を連れて、
彼なりの女性観について話していました。
ブッダはその教団の設立当初は、
女性は教団に入れなかったようです。
そのことについて奥村氏と
4人の女性のやり取りが聞こえてきました。
「どうして、お釈迦様は女の人を入れなかったんでしょうねぇ」
と聞けば、
「そりゃあ、女の人が男のグループに入ったら、
そっちのほうが気になって
修行がおろそかになるんとちゃうやろか」と答えています。
ほんまのところは何だったんでしょうか?
後になって、ブッダは頼まれて
女性を教団に入れることに同意しました。
しかし、その時にポツリと一言、
「あぁこれで、教団もおかしくなる」と言われたそうですが、
これもお経の中にある話しなので、
直接聞いたわけでもなし、真相はわかりません。
次の場所はインドでは珍しい天然温泉が湧くところです。
ここではヒンズー教のお寺の温泉になっています。
もうすっかり仏教は消え去って、ヒンドゥー色となっています。
現地の人達がお風呂に入っているのを見ます。
日本のお風呂に入るマナーとは、大きく違っています。
まず、日本であれば、タオルをお湯につけるな!
とうるさく言われますが、ここでは服を着たままの人や、
風呂で洗濯をしている人も雑多な混浴です。
おおらかというか、太っ腹というか、
細かいことは気にしてないようです。
近隣の村の人たちが入れ替わり立ち替わり
ドンドンやってきます。
かけ湯なんかはしません。汚れたまま湯に入るので、
お湯は泥水のように透明性がありません。
皆さん平気で一緒につかっています。
子供たちは観光客を珍しがって、
じっとこちらを見ています。
風呂の外では、一度脱いだサリーを
もう一度身に着けている人たちがいます。
サリーを洗濯して、風呂に入っている間に乾かしていたようです。
インドの乾燥気候では、
よく絞って吊るしておけばお風呂に入っている間にはもう、
乾いているようでした。
温泉の近くには、広場がありました。
ここには観光客がよく来るようで、
バスも止まってにぎやかな様子です。
山から薪をとってきている女の人たちや、
羊を追う子供、そして象使いがいて、
「一人5ルピーを払って、象に乗らないか」と勧めています。
この広場はにぎやかなものです。
岡山から来た外科医の写真の好きなグループは、
出るもの、見るもの、あらゆるものを写真に写していました。
小言ばかり言ってる林さんは、
象に乗るだけが5ルピーなんて高いとか、
何か欲しそうに私に纏わり付いていやだとか、
ぶつぶつ言っていました。
そろそろ夕暮れ時となり、
これまでの暑い日差しは西に傾き、
陽射しはやわらかくなりました。
日の出ツアーの岡田氏はもうすっかりお客さんになったつもりで、
なんの世話もしないでのんびりと過ごしているように見えます。
アーナンダの呼ぶ声が聞こえてきて、
この後、全員バスに乗り、
バスは田舎の道をガタゴトガタゴト走り抜け、
ブッタガヤに入り、ホテルに着きました。
ブッタガヤのホテルといっても、
木賃宿のようなもので、
立派なホテルを想像しないでください。
狭いホテルに大勢の巡礼客が他国から集まり、
日本人の団体だけでも大勢の人で込み合っていたので、
5人部屋もあり、
私は奥山氏と日の出ツアーの岡田氏の3人で
8番目の部屋になりました。
また夜は寒いです。
皆、今日は疲れているので少しでも早く寝たいようです。
奥山氏は少し風邪気味で風呂には入らないと言います。
私は今日一日のブッダのことを考えながらも、
奥山氏の女性論にも興味を示しつつ、
ビールを飲み、だんだんと眠たくなってきました。