店舗賃貸条件の震災暴騰相場に驚き悩む 震災10日~11日後(№11)

店舗賃貸条件 震災暴騰相場に驚き悩む 今西ビルが仮設店舗になりそうです。今西ビルは、神戸市役所の近くにあります。賃貸条件の震災暴騰相場に驚き悩む 神戸震災10日~11日後(№11)

倉庫の整理

今日は先日安否を確認のために

訪ねていった竹内くんが出社していました。

竹内くんは実家が加西市なので、

加西市の実家に一時避難していたということが

わかりました。

眼科の方もだんだんと安否がわかって、

そして復旧のためにと

出社してくれるようになりましたので、

今日は倉庫を整理することから始めました。

「高速道路を走行中、震災に遭遇し

あわや転落の寸前で踏みとどまったバス」

【2005年1月12日放映 読売テレビより】

倉庫に大切なものがあることと、

これを整理しておかなければ店舗の荷物を

移すスペースがないので、

倉庫を整理することが必要となります。

倉庫のドアを開けてみて驚きました。

強そうに見えるスチール棚がまるで

骨が折れたように骨折状態でその上に置いていた

荷物は、棚が崩れたためにあたり一面に散乱しています。

書類、荷物、商品、在庫品が重なって

グチャグチャになり、

中に一歩も入ることが出来ません。

今日のところは倉庫の整理は

人が出入りできる状態にまでにしかできませんでした。

噂から知る安否情報

一方、支援のほうはメニコンからは

安永幹夫さんが線路を歩いて今日も

応援に来てくれました。

廊下で、携帯コンロで沸かしているお湯で、

缶ジュースを温めて飲む、

このような方法で寒さからなんとか暖をとりました。

外から得られる情報は今はとても大切なので、

大阪から経由して神戸の情報が入ってきます。

気になる店舗の情報、お互いが知っている方、

同業者の方の中で罹災をしている方や

負傷を負った方がいないか等が会話の中心になります。

今のところ亡くなった方や

生死に関わるような深い傷を負った方は

おられないとのことでした。

1995年1月26日(木)

運が良い例、悪い例

今日から中国縦貫道は復旧しました。

震災時は早朝であったため、

交通機関の活動はまだ動き始めたばかりの時間帯でした。

それが大きな被害が出なかった原因のひとつのようです。

しかし、その時間に運悪く高速道路を走っていた車もありました。


イメージ画像
【2002年1月12日放映読売テレビより】
1995年1月27日(金)

後から知って驚くほど幸運としか思えない状況もありました。

それは京都のバス会社が

高校野球の学生を乗せて震災に遭遇した時のことです。

高速道路は橋脚を繋いで道路を延ばしている部分があります。

その継ぎ目の部分が崩壊し、

まさにバスは道のない空間へと飛び込み、

そのまま大地に墜落してしまうところでした。

運転手さんの瞬間の判断で思い切りブレーキを

踏み前方部分だけ空中に浮いてしまいました。

後方部分の重量でなんとかバスの身を道路に残したような、

まるでアクション映画のような状態でバスと乗員は助かりました。


イメージ画像
【2002年1月12日放映読売テレビより】

 

その後、運転手さんが身に付けていたお守りの神社は

「落ちない」という縁起で受験生には

受験前にお参りをする方が増えたそうです。


移転先店舗の確保が続いています。

エクセレントビルを借りたいと思い、

相手先の東洋信託さんに電話して、

なんとか貸していただきたいとお願いしました。

取引先であるメニコン、東レからも

口添えを依頼をしてもらうようにしました。

東洋信託さんのお話では、

ビルの部屋を借りたいという希望者方が多いようです。

メニコン、東レからもわが社が借りたいので、

貸してあげてほしいとの依頼があったことは聞いていました。

しかし、すでに貸与先を考えている相手があるので

そちらの方に貸すことになりました

と、貸すことが出来ないというお断りのお話でした。

三宮では空き室を確保することは

難しいので元町の方にも歩いて探しに行きました。

めぼしいビルはどこも空いていませんでした。

毎日毎日、空き室を探しに歩いているうちに

だんだんと寒さもあって足が痛くなってきました。

どこを回ってもめぼしいビルはふさがっていて、

もう難しいことに気がつきました。

院長と相談し、候補の中の一つである

今西ビルならどうだろうか、ともう一度検討しました。

賃貸条件の震災暴騰相場に驚き悩む

今西ビルは市役所の南西側にあり、

少し三宮からは距離があります。

利点は市役所まで続く地下道を通れば、

今西ビルまで道が続いていることでした。

移転する仮設店舗へ顧客を誘導するときに、

ハガキでの案内が書きやすいほうが誘導しやすいのです。

人通りも比較的多く、付近には市役所、

商工中金ビル、銀行などがありました。

賃貸条件は、

緊急事態を反映した非常時相場の賃貸条件でした。

敷金、家賃、敷き引き条件、明け渡し条件、

退室事前通告など驚くほどの強気の条件でした。

この条件提示に悩みました。

考え込みました。しかし、今は非常時です。

移転先を確保する時に条件交渉は出来る状態ではありません。

借りることが出来る人からビルを貸していっている状態です。

なんとか移転先を見つけなければ

再建の手が付けられない状況があり、暗いムードが続いています。

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