ガッテン! 75年の物語 近視の研究者が私たちに警鐘を鳴らす 東京医科歯科大学眼科教室
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ガッテン! 75年の物語 近視の研究者が私たちに警鐘を鳴らす 東京医科歯科大学 眼科教室
75年の物語 近視の研究者が私たちに警鐘を鳴らす!SP
近視を75年に渡って研究し続けた医師たちの努力で
詳しいメカニズムと適切な治療法が徐々に明らかに!
近視患者が世界的に増えている中で注目を浴びる、
日本の研究者の物語をご紹介します。
自分は病的近視なのかを
簡単にセルフチェックする方法も大公開!』
出典 NHKプラス 番組説明
NHK『ガッテン!』 病的近視について考える
近視はこういったカテゴリーに分けることができます。
弱度近視、強度近視、仮性近視、そして、
最後が「病的近視」です。
この「病的近視」の研究がとても注目されているのです。
現在に至る75年の研究を辿る 東京医科歯科大学 眼科学教室
近視研究の始まりは、東京医科歯科大学 眼科学教室
大塚 任(おおつか じん)名誉教授です。
東京医科歯科大学で研究が始まったのは、今から75年前です。
進まない研究
大塚教授は研究室を立ち上げたものの、患者も来ず、
研究が進まない状況が続いていました。
眼科医も誤った認識
長年、近視になるのは
「水晶体の調節能力が落ち、焦点がずれてしまう」からだ、と
言われていました。
眼球の断面で見ると、
ピンクの部分が毛様体(筋肉)でブルーが水晶体(レンズ)です。
この毛様体が伸び縮みすることで水晶体(レンズ)の厚みを調節し、
ピントを合わせていると考えられていました。
毛様体がレンズの厚みを厚くすることで
近づいてくる対象物にピントが合うと考えるのが定説だったのです。
そのため、水晶体や毛様体筋ががんばったまま固まってしまい、
調整がうまくできなくなって、
近くにピントが固定され、遠くが見えなくなる、
ということが近視のメカニズムだと考えられてきました。
近視のメカニズムの発見
大塚 任名誉教授は、500を超える近視の症例をもとに、
1951年、全く別の原因を突き止めたのです。
この発見が、のちの病的近視の謎の解明に繋がっていきます。
大塚教授は、今までの近視の要因と考えられてきたこととは違う、
もっと別に大きな原因があると証明しました。
それは、毛様体や水晶体が固まるのではなく、
ピントを合わせるために眼球そのものが
奥行きを変えている、ということでした。
このように奥行きが長く変形した眼球は元には戻りません。
大塚教授は、こうして近視の本当のメカニズムを発見したのです。
本格的な病的近視の研究
大塚 任教授の研究を受け継いだのが、
所 敬(ところ たかし)教授です。
所 敬教授は、1974年に「強度近視外来」を設立し、
本格的に近視の研究が始まりました。
病的近視の代表的な症状
①物が歪んで見える
まるで蜃気楼のように歪んでモヤモヤと揺れ、
気分が悪くなるほどの状態になります。
②外から建物の中に入ったときに真っ暗で何も見えなくなる
例えば美術館などでは、
絵に向かって照明が点けられていることは認識できますが、
絵そのものは見えないという状態です。
暗いところでいつまでも目が慣れることがないような感じです。
③視野の欠損
視野の一部が見えなくなります。
夜、暗くなると周囲の様子が分からなくなり、
物や人にぶつかる、段から落ちるなど、日常生活が難しくなります。
一見、これらの症状が近視と関係があるようには思えません。
しかし、このような症状を訴える患者を数年かけて診続けた所教授は、
これらの症状を放置すると失明する可能性があることを
突き止めたのです。
現在も進む研究
東京医科歯科大学 大野 京子教授です。
大塚 任教授、所 敬教授から研究を受け継いでいます。
近視外来を立ち上げた当初、誰も興味を持つ人はいませんでしたが、
最新機器によって眼球の状態を見ることが出来るようになり、
病的近視の発症を発見できるようになったこと、
また、病的近視が元になって起こる様々な合併症との関連が
解明されてきていることで、注目度は高まっています。
病的近視は、必ずしも眼軸長が長く伸びた人にだけ
発症するわけではありませんが、眼軸長が伸びることによって、
病的近視になるリスクは高まるようです。
特に眼軸長が27mmよりも長い人は注意が必要だということです。
病的近視の測定
病的近視は、遺伝的要因が強いのが特徴です。
家族に強度近視の人がいる場合は要注意とのことです。
遺伝的なものがおよそ9割を占めていると言われています。
「オートレフケラトメーター」は眼球に入る光の
屈折率を計測する装置で、コンタクトやメガネのレンズ等の
「度数」と呼ばれる数値が分かります。
こちらは「OCT(光干渉断層計)」で、
病的近視を調べることができる機械です。
このように眼球の断面を撮影することができ、
眼底の状態が横から見えるようになっています。
病的近視の判断と可視化ができます。
「OCT」は、今までは眼科医でも見ることのできなかった、
眼球の断面の組織の厚みやカーブを見ることができる
画期的な機械です。
現在は多くの眼科に設置されています。
網膜や視神経が傷付いていると思われる症状のある人は、
機器設置眼科では、おそらくOCT検査をするだろうとの
ことでした。
病的近視の治療法
主な治療法はこの3つです。
①注射
黄斑変性については、抗VEGF薬を注射することにより、
新生血管の活動性を抑えることができるそうです。
眼球に注射することは痛いのでしょうか?
これは、眼球の表面に麻酔をし、とても細い針で
注射をするため、ほとんど痛みは感じないようです。
②目薬
目薬は緑内障の人に処方され、早期発見をして
進行しないように目薬をさすことが重要だそうです。
③網膜の手術
病的近視は網膜の剥離や、その前段階の分離を
起こしやすい傾向があるため、
このような合併症が起きた場合は
網膜をもとの状態にする手術が必要になります。
突出(ぶどう腫)は元に戻る?
現状では突出が元に戻ることは考えにくいため、
眼球の外側の幕を固くすることで
それ以上突出しないようにすることや、
眼軸長が伸びた人の眼にぶどう腫が起きないようにする、
こういった究極の治療法を開発中だそうです。
平均値よりも眼軸長が長い人が心掛けると良いことは?
眼軸長が伸びてしまった眼は網膜や脈絡膜が広範囲に
薄くなっていて弱いため、
① 目に圧をかけないことが重要です。
② むやみに触らない、こすらない、
③ 目をぎゅっとつぶらない、というような、
眼球に機械的な圧をかけない生活をするよう
意識することが大切だということです。
目に圧をかけない、とは?
目に圧をかけない、となると、コンタクトレンズは
大丈夫かと不安になりますが、
コンタクトを眼に乗せることは大丈夫だそうです。
予防と治療
治療法は前述の3種類。
早期発見・早期治療をすれば、
生涯に渡り、目が良く見える状態を保つことができます。
長年に亘る研究と医学の進歩、最新医療機器の発達により、
原因を突き止めて失明を回避できる時代が来ています。
自分の眼の状態を正しく知って、
症状が出たら放置せず、正しく付き合うことが大切です。
合併症の早期発見のためのセルフチェック法
病的近視は、起こっている合併症にもよりますが、
治療によって症状が改善したり、
進行を遅らせたりすることも可能です。
適切な治療を受けるためにも、早期発見が大切です。
10cm四方の紙に、5mm感覚のマス目を書きます。
これを、片目を閉じた状態で、
30cm離して中央の黒い点を見ます。
図のように、線が歪む、一部が欠けて見える、
中心が暗く見えるなどの症状があった場合は、
眼科受診をすることをおすすめしています。
また、こちらのチェックリストも併せて確認し、
自分の眼がどのような状態か確認して、
眼科受診をすると良いでしょう。
OCT検査については、前述のような症状を含め、
医師が総合的に判断して検査を行うかどうか決めます。
そのため、かかりつけの眼科等で医師と相談するのが
良いでしょう。
75年もの歳月をかけ、三代に亘って続けられてきた
近視研究により、現代人の目に迫る危機を
知らせてくれています。
現在は治療法も確立されつつあり、
多くの患者さんが失明することなく
日常生活を送れるようになっています。
さんプラザコンタクトレンズ 眼科提携の強み
さんプラザコンタクトレンズは、松葉眼科と提携をし、
お客様の視力の回復、失明の予防を基本理念として
コンタクトレンズやメガネの処方・販売をしています。
見づらさの中に隠れた症状を発見し、
快適な視力で日常生活を送っていただきたい、
そんな思いで日々お客様をお迎えしています。
そのお手伝いが出来れば、とても嬉しく思います。
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2021年3月4日(木)