明石海峡大橋を通過する大型船舶 LNG(液化天然ガス)船 “LNG MARS”
投稿No:8889
明石海峡大橋を通過する大型船舶 LNG(液化天然ガス)船 “LNG MARS” 液化天然ガス(LNG)とは?
明石海峡大橋を通過する大型船舶 LNG(液化天然ガス)船 “LNG MARS”
明石海峡はとても狭い海峡で、
そこを1日に700~800隻の船が航行するのですから、
渋滞しているように見えても不思議ではありません。
それぞれの船は事故の無いよう
細心の注意を払い、その操舵には
高い技術が求められます。
こちらがヒヤリとするほど
近くをすれ違う船を見ることもあり、
簡単に曲がったり避けたりができない船の操縦は、
とても難しいだろうと思いました。
大阪湾海上交通センター 明石海峡航路
大阪湾海上交通センター
明石海峡航路へアクセスすると、
大型船入航予定情報 – 明石海峡航路が閲覧できます。
大型船に関心があれば、船名と、
どれ位トン数の、どんな船が、
何時頃、明石海峡を通過するかが分かります。
ほぼ正確なので、感心しました。
今回、目を惹いたのは、
138,000 トンの大きなLNG船です。
液化天然ガス(Liquified Natural Gas=LNG)とは、
気体である天然ガスを冷却することで液体化したものです。
天然ガスは、動物や植物の死骸が非常に長い年月をかけて
分解されることで生成されたものと考えられています。
世界中に豊富に存在するため、
安定供給可能なエネルギー源として注目されています。
天然ガスはマイナス162℃程度にまで冷却すると液体になり、
気体の状態に比べて
体積が600分の1にまで減るという特徴があります。
このため、LNGは天然ガスの
大量輸送・貯蔵に大変適していると言えます。
LNG輸入の重要性
日本におけるLNGの輸入は
1969年から開始されましたが、
当初の国内エネルギー供給に占める割合は
1%に過ぎませんでした。
しかし以後は急激に増え続け、
今では石油(42.9%)に次ぐ石炭(25.0%)に匹敵する
24.2%を占めるまでになりました。
2012年のLPGの輸入全量は8,687万トン。
全供給量の97.2%に当たります
(国産天然ガスは253万トン、2.8%)。
とりわけ、東日本大震災で
原子力発電によるエネルギー供給の割合が
11.3%(2010年)から0.4%(2013年)にまで
縮小されたことから、
LNGの重要性はさらに高まっていると言えます。
液化天然ガスの用途
輸入量の7割近く(68.2%)が火力発電所の燃料として
電力用に使用されており、
のこる3割強(31.8%)が都市ガス用として使われています。
日本向けのLNG輸入価格は、原油価格に連動していますが、
原油価格変動の影響を緩和するための
調整システムを織り込んだ価格フォーミュラを導入し
ているため、原油に比べると
その変動が緩やかなものになっています。
とはいえ、常に原油価格に
左右されていることには違いありません。
天然ガスの取引量
日本に輸入されているLNGは、
オーストラリアやマレーシア、ロシア、
ブルネイ、インドネシアといった
アジア大洋州その他の地域からの輸入が
約7割(71.4%)を占め、
カタールやオマーン、イエメンといった
中東からの輸入が残る3割弱[28.6)%と、
石油に比べて中東への依存度が低いことも特徴です。
天然ガスの輸送手段はパイプラインで直接ガスを送る方法と、
天然ガスを液化してLNG(液化天然ガス)として、
巨大なタンカーで運ぶ方法があります。
日本は利用する天然ガスのほとんどを輸入に頼っており、
オーストラリアなどからLNGタンカーを使って運ばれてきます。
国内消費量の増加に伴い、
輸入量はこの10年間で約1.2倍に増加しています。
世界のLNG取引の状況
世界のLNG貿易量(2018年)
世界のLNG輸入量の7割はアジアが占めています。
中でも日本は世界のLNG輸入量の
約4分の1を占める世界最大のLNG輸入国となっています。
出典:BP「Statistical Review of World Energy 2019」を基に作成
日本の天然ガス輸入量
日本のLNG輸入量は10年前に比べ大幅に増加しており
特にオーストラリアやカタールからの輸入が増加しています。
今後、シェールガス革命により
生産の拡大している米国からの輸入など、
LNG調達先の多様化を図っていきます。
※数値は都市ガス用途以外も含みます。
※四捨五入のため、合計値があわない場合があります。
出典:財務省貿易統計 LNG
大阪ガス向けLNG船 “LNG MARS”と命名 2015年05月15日
LNG船 “LNG MARS”は、
株式会社商船三井と
大阪ガスインターナショナルトランスポートが発注し、
三菱重工業長崎造船所で建造されました。
LNG MARS の概要
(1)全長 : 288.0m
(2)全幅 : 48.94m
(3)満水喫水 : 11.55m
(4)LNGタンク : モス独立球形ストレッチタンク方式(連続タンクカバー付)
(5)総トン数 : 138,000 トン
(6)タンク容量 : 約153,000m3(*)
(*)LNGタンク総容積155,000m3のうち実際にLNG積載が可能な容量
(7)主機関 : 再熱式蒸気タービン
(8)航海速力 : 19.5ノット
(9)建造造船所 : 三菱重工業長崎造船所
(10)船舶管理会社 : 商船三井
2021年2月1日(月)