盛山正仁著『我が国の真珠産業・真珠政策と真珠振興法』は、2017年2月20日に上梓されました。

『我が国の真珠産業・真珠政策と真珠振興法』を読めば、我が国の真珠産業の基本政策がわかります。

衆議院議員で法務副大臣の盛山正仁先生が、会社に来られました。

盛山正仁先生は、『我が国の真珠産業・真珠政策と真珠振興法』を上梓されたので、初版をわざわざ持ってきて下さいました。

この本は、400ページ近い内容の濃い本なので、読了するには少し時間がかかります。

『我が国の真珠産業・真珠政策と真珠振興法』を読んでみて、盛山正仁先生がこの本を書かれた問題意識と背景について考えてみました。

なぜ、盛山正仁先生は、この本を書かれたのか?

整理してみると、

①神戸市はパールシティーであり、盛山正仁先生の選挙区が神戸であること

②盛山正仁先生は、真珠振興議員連盟事務局長であり、真珠振興法の必要性を感じていた事

③盛山正仁先生のご専門が、法学博士であり、国会議員であることから、法制化の実務的な手続きに明るいこと

④盛山正仁先生の岳父が、田村元・元衆議院議長で、真珠の三重県が地盤であり、初代の真珠振興議員連盟会長であったこと

⑤盛山正仁先生の好学心

など、これらがこのような立派な、後世に残る大書を表した背景だと思います。

本の構成は、第一章は真珠の歴史が紹介されています。

たくさんの先行研究をレビューして、世界と我が国の真珠の歴史が述べられていました。

第二章は真円真珠養殖法の発明です。

我が国の真珠の父といわれるのは、御木本幸吉翁です。

この方は、なんと家業のうどん屋さんを継いでいたそうですが、真珠に目をつけて、生来の好奇心の強い性格から、アコヤ貝を使った真珠の養殖に成功したそうです。

第三章は、戦後の急成長と真珠検査制度、調整保管制度です。

この章では、太平洋戦争の後の我が国の重要な輸出商品であった真珠について、様々な法制度が制定されたことが紹介されています。

第四章は、真珠産業制度の見直し、アコヤ貝の大量斃死、海外での真珠生産拡大です。

昭和54年(1979)年に27名の国会議員が参加して、「真珠振興議員連盟」が発足しました。

会長には三重県の田村元衆議院議員が選出されました。

この田村元議員は、盛山正仁議員の岳父にあたる方です。

現在では、会長は環境大臣 山本公一衆議院議員議員が、真珠振興議員連盟会長をされています。

第五章は、海と人が作り出す真珠です。

この章は、真珠作りの専門的な情報が紹介されています。

真珠は、世界でも日本が生んだ産業なので、国際的にも真珠の計量は、日本の計量単位である匁、貫も使います。

一匁は3.75gで、一貫は1000匁で3.75kgです。

第六章は、我が国の真珠産業の課題です。

日本の技術で成長してきた真珠の養殖も、海外で真珠養殖が普及するにつれて、養殖真珠は日本の独断上でなくなりました。

ダイヤモンドを例にとると、コンゴや南アフリカ連邦を中心に、ダイヤモンドは産出されますが、原石は一旦ベルギーに集まります。

これをまとめているのが、デビアス社です。

デビアス社は、ダイヤモンドの価値が急激に変化しないように、市場に対する供給調整をしています。

ダイヤモンドも、原石だけでは女性の気持ちをつかむことはできません。

デザインが大事です。

これと同じように、真珠も日本が集積地になり、ここで供給調整が行われ、デザインがほどこされると、日本の真珠業界での地位は、重くなります。

その中心は、神戸です。

神戸の街は、六甲山のふもとに広がって、北野町を中心に真珠の加工会社がたくさんあります。

なぜ、神戸の北野町が真珠にとっていいのか、六甲山の麓の太陽の光は、真珠の選別にとてもいい光だそうです。

真珠の選別所は電気をつけないで、窓側から入る自然の光に向かって、真珠の球を一つずつ選別しています。

第七章は、真珠振興法制度の経緯です。

この章では、2016年(平成28年)6月の第190回国会で、真珠振興法が成立しました。

この法案の成立に、中心的に動かれたのは、盛山正仁先生です。

そのきっかけは、ほかの産業には振興法があるので、真珠にも真珠振興法が必要ではないかと、山本公一環境大臣から提案があり、真珠振興議員連盟の事務局長である、盛山正仁先生が短期間でこの法案をまとめたそうです。

第八章は、真珠振興法の解説です。

真珠振興法の議案要旨は以下の通りです。

(農林水産委員会)
真珠の振興に関する法律案(衆第四九号)(衆議院提出)要旨
本法律案は、我が国の真珠産業が、世界に先駆けて真珠の養殖技術を確立する等歴史的に世界の真珠の生産等において特別な地位を占めてきているとともに、その国際競争力の強化が重要な課題となっていること及び真珠が国民になじみの深い宝石であり、真珠に係る宝飾文化が国民の生活に深く浸透し、国民の心豊かな生活の実現に重要な役割を担っていることに鑑み、真珠産業及び真珠に係る宝飾文化の振興を図るため、農林水産大臣及び経済産業大臣による基本方針の策定について定めるとともに、真珠の生産者の経営の安定、真珠の加工及び流通の高度化、真珠の輸出の促進等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一、基本方針の策定
農林水産大臣及び経済産業大臣は、真珠(その加工品を含む。以下同じ。)の生産、加工、流通又は販売の事業(以下「真珠産業」という。)及び真珠に係る宝飾文化の振興に関する基本方針を定めるものとすることとする。
二、振興計画の策定
都道府県は、基本方針に即し、当該都道府県における真珠産業及び真珠に係る宝飾文化の振興に関する計画を定めることができることとする。
三、連携の強化
国は、国、地方公共団体、事業者、大学等の研究機関等が相互に連携を図りながら協力することにより、真珠産業及び真珠に係る宝飾文化の振興の効果的な推進が図られることに鑑み、これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとすることとする。
四、生産者の経営の安定
国及び地方公共団体は、真珠の生産者の経営の安定を図るため、必要な施策を講ずるよう努めることとする。
五、生産性及び品質の向上の促進
国及び地方公共団体は、真珠の生産に係る生産性及び真珠の品質の向上を促進するため、必要な施策を講ずるよう努めることとする。
六、漁場の調査及び漁場の維持又は改善
国及び地方公共団体は、真珠の生産に関する施策を総合的かつ効果的に実施するため、真珠の生産に係る漁場の状況の把握及び環境の変化の予測その他真珠の生産に関する施策の実施に関し必要な調査を行うよう努めることとする。また、国及び地方公共団体は、真珠の安定的な生産を確保するため、漁場を良好な状態に維持し、又はその改善を図るために必要な措置を講ずるよう努めることとする。
七、加工及び流通の高度化
国及び地方公共団体は、真珠の加工及び流通の高度化を図るため、必要な施策を講ずるよう努めることとする。
八、輸出の促進
国及び地方公共団体は、海外市場の開拓等が国内で生産され、又は加工された真珠の需要の増進に資することに鑑み、真珠の輸出の促進に必要な施策を講ずるよう努めることとする。
九、研究開発の推進等
国及び地方公共団体は、真珠の生産技術の高度化に関する研究開発、生産性及び品質の向上に関する研究開発その他真珠産業の振興のために必要な研究開発の推進及びその成果の普及並びに研究開発を行う者への支援に努めることとする。
十、人材の育成及び確保
国及び地方公共団体は、効率的かつ安定的な真珠の生産の事業の経営を担うべき人材の育成及び確保を図るため、必要な措置を講ずるよう努めることとする。
十一、真珠に係る宝飾文化の振興
国及び地方公共団体は、真珠に係る宝飾文化の振興を図るため、必要な施策を講ずるよう努めることとする。
十二、国の援助
国は、地方公共団体が振興計画に定められた施策を実施しようとするときは、当該施策が円滑に実施されるよう、必要な情報の提供、助言、財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めることとする。
十三、施行期日
この法律は、公布の日から施行することとする。

第九章は、真珠振興法への期待です。

養殖真珠の中心地は、三重県だけでなく、愛媛県、長崎県と、真珠の集積地を中心として、兵庫県と神戸市が挙げられます。

特に神戸市は、真珠の都市として、長い伝統と文化があります。

その名も、パールシティー神戸と称して、神戸コレクションも開催されています。

このように、多くの都市地と域から、真珠振興法への期待が高まっています。

法律ができれば、真珠産業の方向性が定まり、国も県も市も、予算がつけやすくなります。

第十章は 対談 真珠振興法の制定と今後の検討について対談しているのは、

一般社団法人日本真珠振興会会長 大月京一さん

全国真珠養殖漁業協同組合連合会会長 平井善正さん

農業水産省水産庁官庁 佐藤一雄さん

経済産業省製造産業局長 糟谷敏秀さん

真珠振興議員連盟会長 環境大臣 衆議院議員 山本公一さん

真珠振興議員連盟事務局長 法務副大臣 衆議院議員 盛山正仁さん

場所は環境大臣室で2016年(平成28年)9月6日に行われました。

『我が国の真珠産業・真珠政策と真珠振興法』を読み終えて、もう一つ感心したことは、国会議員として、法務副大臣として、とてもお忙しい立場で、よくこれだけの専門的な本を書かれたことだと、その研究成果に驚きました。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です