恩納村前兼久地区では、お盆の終わりには、お金の「ウチカビ」と、さとうきびの杖、お供えのお料理を用意して、エイサー踊りを踊って あの世に帰って頂きます 第89回沖縄訪問(19)
前兼久地区では、お盆の終わりには、お金の「ウチカビ」と、さとうきびの杖、お供えのお料理を用意して、あの世に帰って頂きます。
【お盆行事と恩納村のエイサー祭 その19】
エイサーの宵送りの日になってくると、
だんだんと前兼久地区のお家は、
賑やかになってきます。
金城正浩さんのお家では、
エイサーが来るのをずっと待っています。
近所の親戚の皆さんや、知人の皆さんが、
次々と仏壇にお参りに来られました。
中には、子ども、孫を連れてこられるので、
広い部屋もテーブルに人が一杯並ぶようになります。
男席、女席で話が進みますが、
松葉博雄は、どちらでも話が出来るポジションにいます。
男性の席では、男性の話を、ご婦人の席では、
ご婦人の中に入って、いろいろとお話をしました。
どういう話をするかと言うと、
「そもそも、どうしてこの来られるようになったのですか?」
という質問を受けたり、
「ご主人とのご縁は、何が始まりだったのですか?」
という質問をして、
その場の雰囲気を和やかなものにしています。
だんだんと夜になってくると、
エイサーの音が近づいてきます。
もうすでに、時刻は夜中の12時を過ぎています。
ちょっと家の周りを見てきます。
周りでは、子どもたちがエイサーのために、
浴衣を着て待っています。
山城景孝さんのお家の前を通ったとき、
山城景孝さんのお家に招かれました。
ちょっとお邪魔してみます。
山城景孝さんのお家は、まだ新しいお家です。
ここに青年団のエイサーの
マネージャーがやって来て、寄付を募ります。
山城道子さんが、用意した寄付を渡すと、
マネージャーは頭を下げて帰ります。
あちらこちらでお食事を頂いているので、
もうお腹は一杯ですが、
山城景孝さんのお家でも、魚のフライを中心に、
お刺身などが出てきます。
なかなか食べきれるものではありませんが、
四方や話をしながら、少しお酒を頂きました。
そうしているうちに、電話が掛かってきました。
金城正浩さんのお家から、
「松葉さんが、そちらに行っていませんか?」
という電話です。
「そろそろご先祖様のお見送りをするので、
仏壇の前に集まって欲しい」ということでした。
すぐに、山城景孝さんのお家から、
金城正浩さんのお家に帰ります。
エイサーが来るのを待っていると、
夜中の2時、3時になってしまい、
明日の仕事もあるので、
12時ごろにはご先祖様にご挨拶をして、
お見送りをします。
まず、一家の長男の役割として、
ご先祖様に帰ってきてもらったお礼と、
またあの世に帰っていくことへのお見送りをします。
そして、「また来年も来て下さい」というお祈りをします。
中国から伝わってきたのではないかと思う、
「ウチカビ」というお金を焼いて、
ご先祖様に持っていってもらう旅費も用意しています。
家の外で焼くのかと思っていたのですが、
たらいを用意して、お家の中で火をつけて焼きました。
部屋中、煙で濛々としています。
そして、その焼いた灰皿を
家の外の玄関のところに持っていって、お酒を掛けます。
さとうきびの杖を側に置いて、
皆さんでお祈りをして、
帰っていくのをお見送りします。
お料理も添えています。
沖縄の伝統行事は、男系社会で、
長男の役割は、このような時に、
先頭に立って、行事を主宰することになります。
2007年8月27日(月)