大阪倶楽部、定例午餐会 兵庫県立大学経営学部 安室憲一教授

大阪倶楽部、定例午餐会が開催されました。

今回の講師の安室憲一先生は、

松葉博雄が神戸商大の時代、

2000年に、神戸商大経営学研究科に入学し、

社会人大学院生のスタートをした時の、

国際経営学の担当教授でした。

安室憲一先生の研究会にも、多く参加しています。

以来、これまで、研究会や飲み会を通じて

親しくして頂いています。

そこで、私は、安室憲一先生の講演会に

一番前の席を確保し、熱心に聞きました。

大阪倶楽部

今回のテーマは、

事前に予定していたテーマから変っています。

何しろ、日経新聞だけでなく、

朝日、毎日、読売、産経新聞でも、

トップニュースとなったのが、

アメリカ発の金融不安です。

この金融不安のテーマに、

安室憲一先生は応えて、

今、経営者にとって、最大の関心事である、

世界的な金融不安について、講演となりました。

大阪倶楽部

「“世界金融恐慌下の中国経済と企業経営”-日本企業はどう生き残りを果たすか-」で、

兵庫県立大学経営学部教授の

安室憲一先生がお話しされました。

大阪倶楽部

1時間ぐらいの講演を聞き、

私自身が自問自答していることは、

①なぜ、アメリカ発の金融不安が起きたのか?

②なぜ、アメリカは、世界中からお金を借りる体質になっているのか?

③なぜ、中国、日本などの国は、アメリカの国債を持ち続けるのか?

この3つの「なぜ」の答えを、

安室憲一先生の講演の中から、探しています。

安室憲一先生によれば、

アメリカ発金融恐慌の原因は、

国家、企業、家計における

外国依存の借金体質にあります。

2004年からは、ドル債権の94%が外国人買いで、

全面的に外国から借金をしています。

大阪倶楽部

アメリカの住宅ローンの残高は1200兆円で、

そのうちの50%が住宅金融公社の債権です。

銀行は、住宅ローンを即座に証券会社に売却し、

証券会社はRMBS証券として販売したり、

その債券と合わせて合成証券にして販売しています。

その結果、サブプライムローンなどが増えています。

大阪倶楽部

2006年頃から低所得者にセールスを拡大し、

サブプライムローンによる購入が増えて、

消費者ローンの返済に困窮した低所得者は、

ホームエクイティーローンの魅力に飛びつき、

銀行や住宅ローン会社は、

所得も調べずにお金を貸しました。

その結果、破産する低所得者が年々増えました。

大阪倶楽部

例えて言えば、私が、

上場会社の株式を銀行で

お金を借りて購入したとします。

購入した株式を、別の銀行に担保に入れて、

また、借りたお金で株式を購入します。

その株をまた、次の銀行に持って行き、

新たな融資を受け、また株を買います。

このように、繰り返し繰り返し、

借りては株を買い、買っては担保にして、

繰り返していけば、予想に反して、

株価が下がれば、たちまち担保不足となり、

銀行から追加担保か、返済を迫られます。

大阪倶楽部

この場合、借りた私が悪いのか、

貸した銀行が悪いのか、

問われることになります。

借り手の松葉博雄を救済すれば、

モラルハザードの問題となります。

貸し手の銀行を救済するのは、

税金を使うことになります。

個人の問題が、世界の問題になると、

これは深刻な問題となります。

大阪倶楽部

モラルハザードが事態をさらに悪化させるので、

マクロの金融問題というよりも、

道徳心の崩壊が根本的な原因なので、

破産した人々を救済すべきではないのです。

最近では、リーマン・ブラザーズが

破綻したことがニュースで

大きく取り上げられましたが、

次に危険だと言われているAIGに、

18.5兆円もの投資をしたのでは、

「焼け石に水」であり、

一般投資家の株はゼロ円になるというのは、

ひどすぎる話です。

大阪倶楽部

アメリカ経済は長期で低迷することが予想され、

その影響は、ヨーロッパや

中国にまで広がると思われます。

大阪倶楽部

定例午餐会なので、昼食を頂きます。

今日の昼食は、

「花外楼」の幕の内弁当でした。

近くの席の方から、

お弁当に対するぼやきがありました。

大阪倶楽部

普段、美味しいものを食べ慣れている

経営者の方の意見では、

やや驚きのあるお弁当を期待しているようです。

大阪倶楽部

お弁当が終わると、

カーテンが閉められ、少し暗くなります。

安室憲一先生が、壇上に登場する前、

私の席にやってきて、

「松葉さん、ここの会員ですか?」と、

驚きの様子でした。そうなんです。

大阪倶楽部

私は、大阪倶楽部に入会し、

時々は、講演を聴きに来ています。

安室憲一先生は、話すだけでなく、

ちゃんとレジュメを用意してくれています。

パワーポイントにぎっしりと文字が詰まっています。

大阪倶楽部

中国は、市場と資源を求めて、

アフリカなどの途上国に

傾斜せざるを得ないのですが、

人権問題など、西欧諸国との確執を

増幅することにもなりかねません。

物の流れや人の流れともに、

亜細亜が欧米を上回る時代に、

突然のアメリカ発金融恐慌は、

中国経済にどのような

影響をもたらすのでしょうか?

大阪倶楽部

日中関係をどのようにマネージするかが、

日本の政治課題となります。

大阪倶楽部

労賃高騰での倒産が激増したり、

労働諸法規が強化されたり、

経済成長を支えてきたものに限界が生じ、

低賃金を利用した「労働集約型産業」では、

経済成長を維持することは

出来なくなってきています。

大阪倶楽部

罰則を強化すれば、

外資だけでなく、地場企業も海外逃避しますが、

社会経済の高度化には、

避けては通れない道でもあります。

大阪倶楽部

中国では、1979年の

「改革開放」に匹敵する

大改革が必要となってきています。

上海万博のある2010年頃が

ターニングポイントになり、

中国が体制を含めて大きく改革し、

再び安定成長軌道に乗せられるかが重要です。

大阪倶楽部

迫り来る大不況の中で、

抜本的な政治改革を遂行できるかが、

未来を占う試金石となります。

大阪倶楽部

講演を聴く前に、自問自答した3つの設問、

「なぜ?」が、よく理解出来ました。

さすが、国際経営学の専門家は、

分かりやすく分析してくれました。

今日、一番気持ちの中で面白かったのは、

安室憲一先生が、

松葉博雄がいることに気が付いた、

驚きの表情でした。

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2008年10月1日(水)