日本の企業の99.7%が中小企業です。働き手の70%が中小企業に勤めています。

投稿No:7876

中小企業の存続を危うくするのは後継者不在です。

2018年7月15日付けの朝日新聞によれば、日本の企業の99.7%が中小企業です。

働き手の7割が中小企業に勤めています。

社会の中心は中小企業とも言えます。

しかし、近年中小企業の廃業が大きな問題になっています。

中小企業庁がまとめた「小規模企業白書」によれば、個人事業主も含めた中小企業者数は、1986年で533万社でした。

これをピークに年々中小企業は減り続けています。

2014年現在では、中小企業者数は381万でした。

86年から比較すると、平均して年5.4万のペースで減っていることになります。

後継者不在の他、景気の変動も挙げられます。

1990年代のバブル崩壊、2008年のリーマンショックなどです。

2000年の大店法廃止の影響もみれます。

大手流通チェーンが中小小売店への配慮無しの出店が出来るようになりました。

この結果、中小小売店は店舗を閉め、シャッターを閉めた商店街が全国に溢れています。

企業が減ると、地元企業に依存している地方都市が疲弊してきます。

地方の金融機関の経営も疲弊してきました。

企業への融資が減るからです。

働く人にとってみると、雇用の受け皿が少なくなっている問題があります。

近年に目を向けてみると、この10年間で経営者が70歳を超えて、後継者が決まっていない中小企業は127万社です。

この傾向が2025年まで続けば、10年間で650万人の雇用と22兆円の国内総生産(GDP)が失われる可能性があります。

このような廃業が増えていく時代に、救世主となるのがM&A(合併買収)です。

事業を継続できなくなった会社もあれば、事業を伸ばしたいという経営者もいるからです。

後継者がいないから廃業を決める前に、企業を存続させる方法をM&Aで考えて欲しいと日本M&Aセンターは呼びかけています。

朝日新聞の記事を読んで、現実の数字を知り驚きます。

ドラッカーは、企業の目的は存続であると説いています。

企業の存続を可能にするのは、顧客を獲得する方法であるともいっています。

しかし現在の人口構成から見ると、企業の存続を危うくするのは顧客だけでなく、後継者の問題こそが廃業の3分の1を占める原因になっているそうです。

このことについてドラッカーは、既に起きた未来の本で、人口構成の変化について警告を発していました。

日本国政府は、国家予算を編成する時、お金がなければ国債を発行し、その国債を銀行に買ってもらい、銀行が買った国債を日本銀行に引き取ってもらう間接的な方法で政府の国債を日銀が引き受ける禁じ手を続けています。

中小企業には資金を工面する方法は限られています。

全ての原点はその企業と経営者のリスクによってまかなわれています。

企業を設立し、何十年も存続していくことは、とても難しい事が今朝の朝日新聞を読んで改めて感じました。

 

資料出典 中小企業庁「中小企業白書」2018年

朝日新聞2018年7月15日 「経済 総合」版

 

2018年7月15日(土)