使い捨てレンズメーカーの値上げと「ステルス作戦」

投稿No:7764

使い捨てレンズ大手メーカー2社の値上げ、1社はこっそり値上げのステルス作戦

原料や流通経費の高騰を理由に値上げブームが起きそう

日本経済新聞2018年3月26日付の新聞記事に、

どきっ!とする記事がありました。

見出しは「こっそり値上げ、見破る消費者」と書かれています。

主な値上げの理由は、

原料や物流コストの高騰だそうです。

安倍内閣では、2%のインフレターゲットを政策として掲げています。

マイナス金利も採って、超金融緩和が続いています。

その効果もあって、人で不足が深刻になってきています。

人手不足は、物流コストの高騰を招いています。

この傾向は、2020年の東京オリンピックまで、

続きそうなので値上げブームはこれから起きそうです。

世界的な金融緩和で、お金は余って、新たな投資先を求めています。

資源に投機資金が回り、原料高を招いていることもあります。

 

なぜこっそり値上げをしようとするのか?

なぜメーカーはこっそり値上げするのか?

その理由に、値上げすると売れゆきが悪くなる心配があるようです。

当然、消費者からの買い控えが起きることを恐れているからです。

値上げを、予め猶予期間を以て周知させると、

値上げ前に買い置き需要が発生し、

そのあとは、反動として買い控えが起きることは、

消費税率変更の時に多くの国民が経験済です。

 

そこで、一部の企業はこっそり値上げをする戦術を選びます。

一つは、値上げの負担を感じさせないように、

こっそり量を減らす戦術です。

もう一つは、こっそり値上げして、消費者の備蓄購入を防ぐ戦術です。

 

こっそり値上げする戦術とは

価格を据え置く場合は、量を少なくして実質的な値上げになります。

原料や流通経費の高騰を、販売価格に上乗せすれば、

デフレに慣れきった消費者の抵抗感が強く、

客離れを招きかねないと企業は見ています。

自社の製品と市場シェアに自信があれば、

価格変更は秘密裡に準備を進め、

情報管理を行って、

当日まで企業秘密扱いにする「ステルス作戦」があります。

 

ステルス作戦

姿が見えない戦闘機の事を、「ステルス戦闘機」と言います。

敵のレーダーをかいくぐるように設計されたこっそり型の戦闘機です。

アメリカ空軍のF-35Aステルス戦闘機 出典Wikipedia

 

「ステルス作戦」とは相手に気づかれないよう、

水面下で行動することです。

 

類似用語にステルス・マーケティング(ステマ)があります。

ステルス・マーケティング(通称:ステマ)とは、

マーケティングの手法のうち、

それが宣伝であると消費者に悟られないように宣伝を行うことです。

インターネット上のステマ手法としては、

1. 一般消費者になりすまして、口コミや記事を書く。

いわゆるちょうちん記事です。

2. 一般人、芸能人のブロガーに宣伝を依頼する。

 

類似用語にミステリーショッパーがあります。

ミステリー・ショッパー( mystery shopper)とは、

販売店のキャンペーンの実施の様子や、

推奨販売の実施状況などをチェックするために、

買い物客をよそおって

販売店を訪れるメーカー・サイドの調査員のことです。

覆面調査とも呼ばれます。

ステルス作戦と同様に、販売店に悟られないように、

こっそり販売店を調査します。

ステルス作戦、ミステリーショッパー、

ステルス・マーケティングのいずれも、

販売店、消費者・ユーザーに対して、

こっそりおこなうことなので、メーカー、

販売店、消費者・ユーザーの相互信頼関係を壊しかねません。

企業の場合のステルス作戦は、情報管理が成功のカギになります。

消費者、ユーザー、顧客への価格変更の広報を制約し、

価格変更の情報が消費者に漏れないようにWEBにも監視を怠りません。

 

値上げが起きそうなものは

日本経済新聞の記事では、

値上げが目立つのは主に食料品の事例でした。

スーパーマーケットに行けば、競合する同じ商品が並んでいるので、

自社の値上げは、

他社に商品の選択が移るのではないかという企業の心配です。

この心配の無い市場シェアが40%を超えるメーカーの場合は、

値上げは強行されやすくなります。

使い捨てコンタクトレンズにも、値上げが!

外資系大手コンタクトレンズメーカーの

使い捨てレンズ2社の価格変更は、

まだあまり消費者には周知されていません。

それはそのはず、あるメーカーは、

「ステルス作戦」をとり小売店、販売店には価格変更の予定を、

消費者に知らせないように、こっそりしているからです。

しかし、WEB検索をすれば、

いくつもの販売店は価格変更の記事や案内をすでに自社のHPに掲示しています。

ステルス作戦に協力した販売店・小売店は

自社の顧客に緊急避難のアナウンスをできていません。

対面販売店の窮地

メーカーの値上げに対して、

小売り販売店は消費者に価格転嫁をせざるを得ません。

対面販売の小売店にとってみれば、

使い捨てレンズのユーザーがリピート購入に来られた時、

事前告知もなく値上げが起きていれば、

消費者は販売店に不信感を持つ懸念があります。

メーカーが「ステルス作戦」をとれば、

消費者に対面する販売店は顧客に対して

値上げの理由の説明責任を遂行することができなくなります。

販売店は「ステルス作戦」をとるメーカーと、

消費者、ユーザーとの板挟みになる、

弱い立場に追い込まれています。

メーカーの市場シェアが大きいほど、

メーカーは価格変更の実行はしやすく、

顧客の不信感は小売店に向けられる心配があります。

 

まとめ

容量を少なくして値段を据え置く隠れ値上げと、

価格変更自体を直前まで隠す二つのこっそり作戦は、

どちらの方がより消費者の反感を買うのか懸念が湧きます。

日本経済新聞の記事では、メーカーはこっそり行動をしないで、

消費者やユーザーとの「対話」が大切だという記事に、説得感を感じます。

「ステルス作戦」よりも顧客、ユーザー、

顧客の利益に沿った行動をとれば、正直者の評価になりそうです。

この不公平は、やったもん勝ちになるのか、

ステルス戦略本部の戦後処理が注目されます。

いくら「ステルス作戦」をとっても、

その日になれば、「ステルス作戦」は露見します。

「ステルス作戦」に協力を依頼しながら、

戦術グループのメンバーに同じ価値観が得られない作戦の場合は、

「一将功成りて万骨枯る」といった結果になりかねません。

小売店が防波堤となり、値上げしたメーカーの代わりにユーザーや、

消費者に謝らなければならない立場に追い込まれることは、

ステルス作戦をとる企業の

コンプライアンスに疑問をいだかざるを得ません。

「ステルス作戦」は消費者、

ユーザーに不信感を抱かせるかも知れません。

「ステルス作戦」は作戦の性格上、

社内でも隠密裏に計画されることから、

一部の部署が独断専行すれば、

企業のガバナンスに問題が残りそうです。

企業の理念に顧客志向を謳っている場合は、

こっそり、不意打ちを食らわす

「ステルス作戦」よりも、

企業理念にそった行動を取った方が消費者・販売店などの、

利害関係者の信頼が得られます。

2018年3月27日(火)