明石海峡大橋と、大阪湾から昇る月に引き留められて、今夜も眠りが遅くなってしまいました。
大阪湾から昇る月 灯りを消して、音を消して、暗くて静かな部屋から、対岸の明石・舞子の灯りを見ています。明石海峡大橋は、淡路から伸びて、舞子に届く竿のようです。
大阪湾から昇る月
昼間は明るく見える明石海峡大橋も、日が沈んで夜になると、あれが明石海峡大橋だと分かるのは、橋についている照明灯だけです。
昼間の明石海峡大橋を見るのも素晴らしい景色です。
ですが、夜になると、また、別の明石海峡大橋の魅力が暗闇に浮かび上がってきます。
部屋の灯りを消して、テレビの灯りを消して、出来るだけ暗くすると、明石海峡大橋は、その美しい姿を見せてくれます。
大阪湾から昇る月が東の空に
今夜は、夜遅く月が東の空から上がってきています。
お酒を飲みながら、暗くて静かな部屋で大阪湾を見ていると、心が落ち着きます。
秋の夜長に、虫の声が聞こえています。
虫の声も、少しずつか細くなっているように聞こえます。
寒さのせいで、虫の声はそろそろ消えそうです。
10分経っても、20分経っても、この暗闇の景色は変わりません。
変わっているのは、少しずつ月が昇っていることです。
明石海峡大橋と、大阪湾から昇る月
右に、海を照らす月影、左に真珠のネックレスを繋いだような明石海峡大橋のイルミネーション、この二つの夜景を見比べながら、時間が経過している内に、グラスの氷が段々と溶けていきます。
この氷が溶けたらそろそろ寝ようかと、自分でこの景色の終わりを考えていても、まだまだ名残が尽きません。
ひょっとすると、月と橋が、私が見るのをやめることを、引き留めているのかもしれません。
遠くから、現実を知らせる声が聞こえてきます。
『博雄さん、早く寝ないと、明日が起きれないよ』という呼び声です。
月と橋に別れを言って、シャッターを閉めて、グラスを置いて、床に入ることにします。