パッションフルーツを名古屋で最初に栽培したのは、メニコンの元社長、田中恭一さんです。
リキュールを作るのは酒税法違反だ、では梅酒も酒税法違反ですか?これには、国税局職員も困りました。 メニコン田中恭一会長ご夫妻来社(3) 社長ブログ神戸/取引先/メニコン/パッションフルーツ酒
宮尾すすむさんの日本の社長の話から発展して、自宅冷蔵庫の中には何があったのかの話しです。
通常は、社長のお家の冷蔵庫には、高級メロンが出てくるのですが、田中家の場合は違いました。
冷蔵庫から出てきたのは、パッションフルーツです。
田中恭一社長は、コンタクトレンズの講演で、オーストラリアに行かれた時に、オーストラリアの眼科医の先生宅に招かれました。
そのお家で、珍しい果物を頂きました。それがパッションフルーツです。
当時、まだ日本では、こんな果物を見た事がなかったので、田中恭一社長は、大変興味をもって、「この果物はなんですか?」と尋ねました。
すると、眼科医の奥様から「パッションフルーツです 」と言われ、パッションの意味が情熱であるということも知りました。
そこで、眼科医の奥様は、田中恭一社長に日本に持ち帰るように、苗を手配してくれました。
その苗を日本に持ち帰り、パッションフルーツを頂いた時の種も持ち帰り、自宅に温室を作り、パッションフルーツの栽培を始めました。
田中恭一社長が、パッションフルーツに関心を持ったのは、パッションフルーツの味だけでなく、名前が情熱であるということです。
パッションフルーツを沢山栽培して、メニコンの社員の方に、中でも情熱を持って仕事に取り組んだ社員に、パッションフルーツの果実を感謝の気持ちとして渡そうと思い立ったそうです。
パッションフルーツのパッションには、情熱という意味だけでなく、キリスト教伝道する、宣教師が受けた受難という意味も含まれています。
情熱にしても、受難にしても、自らの信念を突き進んで行くには、情熱もあれば、受難もあります。
従って、田中恭一会長がパッションフルーツに大きな関心を持った動機は、情熱も受難も、双方意味が通じると思います。
その為には、パッションフルーツは、100や200個ではすみません。
温室の中でどんどん育てて、うまく育つようになると、間もなくパッションフルーツの実は1000個にもなるほど、たくさんの収穫が出来る様になりました。
更に、パッションフルーツの栽培を続けていく内に、一斗缶の箱が5個分ほど、大量の収獲が出来る様になりました。
パッションフルーツの栽培を続ける傍ら、社員の皆さんに情熱的な仕事をした人に、パッションフルーツを配りましたが、その配り方も、段々と工夫が入って来て、パッションフルーツでリキュールを作ったそうです。
これは頂く社員からも大好評で、やがてパッションフルーツをテーマにした講演や、新聞雑誌の記事が増えて、まだパッションフルーツが珍しかった日本で、その栽培家として、田中恭一社長の名前が広がっていきます。
パッションフルーツリキュールを知って頂くのは良い事ですが、その中に、国税庁の職員が、パッションフルーツリキュールについて異議を唱えるようになりました。
解りやすく言えば、酒税法違反です。
パッションフルーツを使ったリキュールは、アルコールなので、国の許可無く、お酒の製造は禁止されています。
酒税法では、飲酒用のアルコールを作って売る事はもちろんダメですが、他人に無償で差し上げる事も、違法行為になるそうです。
だったら、家庭で作る梅酒はどうなんですか?
梅酒は良くて、パッションフルーツのリキュールはなぜいけないんですか?
とこのように、国税庁職員と、田中恭一社長との酒税法談義がつづきました。
結局、税務署側の意見が折れて黙認となり、国税局の職員は、田中恭一社長のパッションフルーツリキュールを、酒税法違反とはしなかったそうです。
この話を、周りの皆さんは、大笑いをして聴きましたが、教訓はいくつかあります。
まず、
①オーストラリアでパッションフルーツと出会って、その味と名前に惚れ込み、日本でも栽培しようと思った事です。
②パッションフルーツを、自宅に温室を作ってまで、本格的な栽培に取り組んだ事です。
③パッションフルーツの名前の通り、情熱を持って仕事をした社員に、ご褒美としてパッションフルーツを差し上げた事です。
④パッションフルーツの果実から、パッションフルーツリキュールを作り、パッションフルーツの味わいの方法を広げた事です。
⑤例え、国税局職員であろうとも、梅酒と同じように、自宅で作るリキュールが、なぜ国税法違反になるのか、ちゃんと論理的な議論をして、国税局を納得させた事です。
こうしてみると、やはり田中恭一会長は、普通の人とは違う着眼点、発想力、好奇心、実行力、説得力を持っているように感じます。
2016年7月15日(金)