ジョンソン・エンド・ジョンソンのあゆみ ジョンソン・エンド・ジョンソン クレド・我が信条

企業研究/コンタクトレンズ業界(1)/ジョンソン&ジョンソン株式会社ビジョンケアカンパニー日本法人 

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1.ジョンソン・エンド・ジョンソンのあゆみ

ジョンソン・エンド・ジョンソン社

(以下J&J社)が設立されたのは1886年である。

設立の契機となったのは、J&J社の創業者である

ロバート・ウッド・ジョンソン氏が1876年に

イギリスの著名な外科医であったジョセフ・リスター博士の講演を

聴いたことによる。

当時は病院の手術室で手術を受けた場合、

患者の死亡率は90%にも達していた。

手術では、執刀する外科医は殺菌されていない手術用具を使用し、

手術用の手袋もはめないで手術することが一般的であった。

手術室で感染する病気の原因である病原菌が

空気感染であることをリスター博士は突き止め、

病原菌を「目に見えない暗殺者」と呼んだ。

このリスター博士の理論を聞いた

ロバート・ウッド・ジョンソン氏は

ロバート、ジェームス、エドワード氏の兄弟3人

(ロバード・ウッド・ジョンソン、ジェイムス・ウッド・ジョン

ソン、エドワード・ミード・ジョンソン氏)と

14名の従業員で、一つ一つ包装された

消毒済みの手術着の制作を始めたが、

実際に発売した最初の製品は、

接着剤を混ぜた治療用の絆創膏だった。

J&J社のコア・バリューである「我が信条」では、

最初に「顧客に対する責任」を掲げており、

その顧客とは、J&J社の製品やサービスを使用してくれる医師、

看護士、患者、そして母親、父親をはじめとす

る、すべての消費者と明記している。

我が信条がなぜ作られ、J&J社のコア・バリューとなったかは、

リスター博士と創業者、ロバート・ウッド・ジョンソン氏との出会い、

J&J社の創業の経緯を知れば、自然と理解できるし、

元会長兼CEOのラルフ・ラーセン氏が

「創業時からのものである」ということもわかる。

J&J社は創業当時から、

手術着と医薬用品のリーダーとして見られていた。

その後徐々に製品の種類を拡大し、

1891年にはバクテリア研究所を設立した。

1897年には手術用縫合糸にも進出した。

1924年に最初の海外子会社をイギリスに設立し、

国際化の一歩を歩みだした。

1947年ゼネラル・ジョンソン氏の時代に「我が信条」が明確にされ、

J&J社の“ビジネス・フィロソフィー”となった。

経営者が理念を定め、

戦略的マーケティング政策を立案し社内に対して、

従業員に対して、一つの統一した理念の下に

自社の経営を推し進めていくときに、

その理念がより確かなわかりやすい共感を得られる理念であれば、

そこに集まる力も一つとなりやすくなってくる。

このような事例として代表的なのはJ&J社の掲げる

「我が信条(Our Credo)」が挙げられる。

J&J社はアメリカ本土において1999年から2006年までの7年間

連続して良い評判を得た企業のナンバーワンとなっている。

このようなしっかりとした理念を掲げ企業の良い評判を築く

レピュテーション・マネジメントは、

日本支社においてもコンタクトレンズ市場の開拓において

短期間のうちに競争企業を差し置き、

市場シェアのナンバー1企業になることとなった。

今回のアンケート調査では、

このような理念がどのように従業員の間に浸透し、

それが高い収益をもたらす経営成果を生むために、

どのような影響力となったのかを統計分析手法を使い、

企業組織文化の研究をすることとなった。

J&J社を紹介する報道記事を通して、

J&J社の企業文化の形成について研究の始めとする。

紹介記事を引用し、原文を生かすようにしている。

2.マジョンソン・エンド・ジョンソンのネジメント・ポリシー

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、

世界57カ国に230社のグループ企業を有し、

175カ国のお客様に、数万アイテムにも及ぶ製品を提供しています。

事業分野はヘルスケア分野としていますが、

全ての事業を「Consumer(消費者向け製品)」

「Medical Devices & Diagnostics(医療機器・診断薬;医家

向け製品)」「Pharmaceuticals(医薬品)」の

3つのセクター(事業分野)に分け、運営しています(図表 1参照)。

図表 1 J&J社の事業分野

(出典 HP『2005 Annual Report』 http://www.investor.jnj.com/downloads/jnj_2005annual.pdf)

経営方針としては、コア・バリューである

「我が信条(Our Credo)」に基づいた意思決定、

事業運営を行うこと、独自の経営スタイルである

分社分権化経営により各組織に権限を委譲すること、

長期的な視点に立った経営を進めることの3点が挙げられます。

「分社分権化経営」とは、

ビジネスをマネジメントしやすいサイズに構成し、

権限を与えること。

比較的小さなビジネスユニットが大きな権限を持つことにより、

各ユニットは、高度の専門特化、

素早い意思決定に基づく環境変化への迅速な対応、

革新的なイノベーションといったことを実現しています。

ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、

世界57カ国230社の企業が、

“Family of Companies”という関係で存在しています。

すなわち、グループ内には子会社という概念は存在せず、

ファミリー企業という概念が全ての組織に定着しているのです。

グループ内の各ファミリー企業が分社分権化経営により

プロフェッショナル集団となることで、

73期連続増収という他に類を見ない成長を実現しています。

研究開発費用が総売上高の約12.5%を占めるという事実は、

この“長期的な視点に立った経営”の

あらわれの一つということができるでしょう。

ジョンソン・エンド・ジョンソンでは

「過去5年間に上市した製品」を新製品として定義していますが、

その新製品が総売上高に占める割合は約35%に達しており、

この比率は長期間にわたって維持されています。

このことは、ジョンソン・エンド・ジョンソンが長期的視野に基づいて、

研究開発へ惜しみない投資をしてきたからにほかなりません。

一般に、研究開発の成果を一つの製品として

上市するために要する期間は、

数年から数十年と言われており、研究開発への投資は、

文字通り“将来に対する投資”ということができます。

ジョンソン・エンド・ジョンソンにおける

研究開発費用は総売上高の約12.5%を占めており、

2005年実績で約63億ドルと、ヘルスケアビジネスに限らず

全ての産業の中でもトップクラスの投資額となっています(図表 2参照)。

総売上高の75%を占める製品群が、

各々のマーケットで世界No.1もしくは

No.2のシェアを獲得していますが、

これは研究開発を通じ、絶えず製品クオリティを高めようとする

努力が結実した結果であるといえます。

図表 2 研究開発費用の推移

(出典 HP『2005 Annual Report』 http://www.investor.jnj.com/downloads/jnj_2005annual.pdf)

このような強固な経営方針に基づく事業展開の結果が、

「1932年以来73期連続成長」、

さらに「創立以来の平均成長率約10.6%」

という実績に結実しています(図表 3参照)。

図表 3 長期展望による経営

(出典 HP『2005 Annual Report』 http://www.investor.jnj.com/downloads/jnj_2005annual.pdf)

 

3.ジョンソン・エンド・ジョンソンのトップカンパニーの経営診断

J&J社は世界最大のヘルスケア企業である。

医療・診断機器、医薬品、消費財(生活用品)の

3事業分野で約180社の傘下の企業を持っている。

業績については、人工関節、医療・診断機器の好調により

2005年の純利益は、

対前年比22%増の104億ドルを計上し、

売上は510億ドルに達成した。

J&J社のビル・ウェルドンCEO(最高経営責任者)は、

これだけの経営成果を上げても証券アナリスト向け説明会では、

慎重な評価を示している。それはJ&J社を取巻く

市場環境の悪化を不安視しているからである。

その原因として、

(1)ヘルスケア分野では今後、収益の柱を担ってきた

特許が相次いで期間満了により消滅する

(2)医薬品の安全性に対する監視の目も厳しくなっている

(3)業界内の競争の激化、これらの要因により、

業績見通しは利益の伸び率が約8%となり、

過去毎年10%以上の売上と

利益の伸び率の記録からみると、低下している。

J&J社は整形外科医療用具、市販薬、血液検査用具、

外科手術のコンピュータ支援、

使い捨てコンタクトレンズなど、

17の分野でトップもしくは2位のシェアを確保してきた。

最近のJ&J社の戦略は、

利益率の低い消費財事業の子会社の売却を進め、

最先端の医療・診断機器や医薬品に

経営資源を集中させようとしている。

今後も企業買収により会社を成長させようとしている。

買収した後、J&J社は傘下に収めた企業に自治を認め、

有能な人材を雇って経営に当たらせ、

経営陣の勤労意欲を高めるための奨励制度も導入している。

買収企業の商品のマーケティングには、

J&J社の築いてきた強力なブランド力を活用する。

J&J社の医療・診断機器部門に

2005年に投入した新製品は約250点である。

この事業部が得た利益は会社の営業利益の

半分近くに達している(医薬品39%、消費財12%)。

血栓の再形成を防ぐために使用される薬剤溶出ステント

「サイファー」の2005年の売上は、

前年比24%増の40億ドルに達した。

J&J社の市場環境の逆風は、先に述べた3項目だけでなく、

画期的な医薬品や医療・診断機器を開発しても、

政府や保険会社が高額の医療保険料を支払うことを拒めば、

製品の普及の大きな足かせになる。

ビル・ウェルドンCEOは、2006年1月のアナリスト向け説明会で、

会社の未来に「わくわくしている」と語った。「

私たちはルールを理解し、

ルールを守って勝利を収めなくてはならない」

と釘を刺すことも忘れていない。

 4.ジョンソン・エンド・ジョンソンの「我が信条」(Our Credo)図表 4

「我が信条」

我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、看護師、患者、そして母親、父親

をはじめとする、すべての顧客に対するものであると確信する。

顧客一人一人のニーズに応えるにあたり、

我々の行うすべての活動は質的に

高い水準のものでなければならない。

適正な価格を維持するため、

我々は常に製品原価を引き下げる努力をしなければならない。

顧客からの注文には、迅速、かつ正確に応えなければならない。

我々の取引先には、適正な利益をあげる機会を提供しなければならない。

我々の第二の責任は全社員 ――世界中で共に働く男性も女性も―― に対するものである。

社員一人一人は個人として尊重され、

その尊厳と価値が認められなければならない。

社員は安心して仕事に従事できなければならない。

待遇は公正かつ適切でなければならず、

働く環境は清潔で、整理整頓され、

かつ安全でなければならない。

社員が家族に対する責任を十分果たすことができるよう、

配慮しなければならない。

社員の提案、苦情が自由にできる環境でなければならない。

能力ある人々には、雇用、 能力開発および昇進の機会が

平等に与えられなければならない。

我々は有能な管理者を任命しなければならない。

そして、その行動は公正、かつ道義にかなったものでなければならない。

我々の第三の責任は、我々が生活し、

働いている地域社会、更には全世界の共同社会に対するものである。

我々は良き市民として、有益な社会事業および福祉に貢献し、

適切な租税を負担しなければならない。

我々は社会の発展、健康の増進、

教育の改善に寄与する活動に参画しなければならない。

我々が使用する施設を常に良好な状態に保ち、

環境と資源の保護に努めなければならない。

我々の第四の、そして最後の責任は、

会社の株主に対するものである。

事業は健全な利益を生まなければならない。

我々は新しい考えを試みなければならない。

研究開発は継続され、革新的な企画は開発され、

失敗は償わなければならない。

新しい設備を購入し、新しい施設を整備し、

新しい製品を市場に導入しなければならない。

逆境の時に備えて蓄積をおこなわなければならない。

これらすべての原則が実行されてはじめて、

株主は正当な報酬を享受することができるものと確信する。

(出典 HPジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 http://acuvue.jnj.co.jp/)

5.ジョンソン・エンド・ジョンソンのレピュテーション・マネジメント

J&J社は、アメリカにおいて、

ハリス・インタラクティブ社が世論調査をもとに毎年発表している

「もっとも評判がいい世界的企業」で

は近年連続第1位に選ばれている。

このランキング第1位の原因には、

企業イメージを高める多様な企業戦略があると考察する。

近年、レピュテーション・マネジメントの重要性が指摘されている。

J&J社がレピュテーション・マネジメントについて

取り上げられている事例をいくつか考察してみる。

Alsop,R.J.(2004)の『レピュテーション・マネジメント[2]』によれば、

J&J社はどのようにして世界中の社員に誠実性を浸透させているのか、

と問いかけ、その詳細について以下のように記述をしている。

J&J社の本社には、企業理念「我が信条(Our Credo)」が

刻まれた高さ訳2.4メートルの石柱がある。

ロバート・ウッド・ジョンソン元会長が60年前に打ち出した「我が信条」

(図表 4参照)は25の簡潔ながらも雄弁な文章からなり、

同社の価値観を表している。

日々、世界中で営まれる企業活動のなかに息づいている。

J&J社が他社と一線を画しているのも「我が信条」のおかげであり、

それは倫理ある社風という評判をもたらす明確な拠り所となっている。

そしてこの理念に沿った行動により、

同社は世界でもっとも評判がいい企業となった。

「我が信条」の文言は将来を見越したものであり、

当初からほとんど変わっていない。

約106,000人の全社員が「我が信条」に従うように、

J&J社は定期的に指導を行っている。

重要な問題について議論される際には、

常に「我が信条」に照らして話し合われる。

ヘルスケア企業であるがゆえに、

J&J社は「我が信条」の理念が試される危機によく直面する。

1982年と1986年には、

一般用解熱鎮静剤「タイレノール」に

毒物が混入されるという事件が起きたが、

このときも「我が信条」に従って非常に誠実な対応をした[3]

6.ジョンソン・エンド・ジョンソンのマーケティングとメディア

企業イメージを創り、維持し、育成していくためには、

企業は継続的に自社の持つ企業イメージに対して

慎重な態度をとり続けなければならない。

テレビを使ったコマーシャルの出演者と広告番組は、

視聴者にとって企業のイメージに大きな影響を及ぼすことから、

マーケティング政策として考えてみても、

マーケティングのパートナーは慎重に選ばなければならないことを

Alsopは指摘している。

この事例としてあげているのは、

J&J社の感動的なイメージキャンペーンの例である。

ノーベル賞受賞作家のToni Morrison(1931)が

両親の励ましのおかげだと語り、

常にベストを尽くすよう子供たちに呼びかけている。

広告に社名はほとんど出ないが、

ベビー用品と子ども向け製品をつくる思いやりのある

企業というイメージを強化する意味で効果的だ。

J&J社にとって、自社の製造するベビー用品は

社内のシェアはわずか5%程度と言われているが、

視聴者にはJ&J社の製品の多くのシェアをベビー用品が占めていて、

J&J社が子供向けの思いやりのある

企業イメージに力を注いでいることがわかる[4]

企業のイメージを高め、

良い評判を創る中で大切な役割を担っているのが

インターネットを利用したホームページであるが、

YahooやGoogleなどの検索エンジンを使って

J&J社の製品を評価するサイトもいくつかある。

ある企業では自社の製品をサイトで紹介することに対し、

否定的な態度をとり、ホームページを閉鎖させる事例もある中で、

J&J社の事例では、顧客がJ&J社の「バンドエイド」

の歴史を紹介するサイトを立ち上げた。

サイトには歴代のバンドエイドの箱の写真が載せられている。

同社はこのサイトを見つけると、

幹部が製品にまつわるエピソードを紹介する友好的なEメールを送った。

バンドエイドの歴史サイトは

バンドエイドが同社の商標である事実を認め、

サイトには同社と関係がないことを明記している。

ただ、関心のある人のために、という意味で

同社のホームページへのリンクを張っていた。

攻撃的な態度をとり、サイトを閉鎖させる事例と比べれば、

J&J社の友好的な対応が友を作ることにつながっている。

やはり、ちょっとした常識が必要なのだ[5]

7.ジョンソン・エンド・ジョンソンのタイレノール事件

1980年代にJ&J社を襲った事件として、

「タイレノール毒物混入事件」がある。

「タイレノール:TYLENOL」は市販鎮痛剤であるが、

シカゴ周辺でシアン化合物(青酸カリ)が混入された

「タイレノール」を飲んで7人が死亡した。

J&J社は販売金額では約1億ドルに相当する3000万個の

「タイレノール」を店頭から回収する決定を下した。

J&J社の危機管理として冷静な対応が賞賛されている。

「タイレノール」の瓶には子会社の

マクニール・コンシューマー・プロダクツ社の名前が印刷されていて、

J&J社の名前がラベルに印刷されてはいなかった。

しかしすぐにマスコミが2社の関係を明らかにし、

J&J社にとっての評判は大きな危険にさられた。

タイレノール事件の概略

・  1982年10~11月事件発生、

J&J社はすぐにフリーダイヤルを開設し、

「タイレノール」の安全性に関する

3万件以上の問い合わせに対応。

・  主要紙に全面広告を出して、

カプセル状の「タイレノール」と錠剤タイプの

「タイレノール」の交換に応じる旨を消費者に通知。

・  事件に関する2通の手紙と4本のビデオを社員や

退職者に配布し、支援に感謝の意を表明。

・  広報スタッフがワシントンにある160以上の議員事務所を訪れ、

製品への異物混入を重罪とする法律制定への協力など、

さまざまな問題について意見交換。

・  『Wall Street Journal』や『FORTUNE』、

『60Minutes』などのテレビ番組といった

大手メディアで役員がインタビューに応じる。

・  「タイレノール」の異物混入を防ぐ

新パッケージについて60秒のテレビCMを制作。

このCMは放送開始後1週間で、

全米のテレビ保有世帯の85%が平均2.5回観たと推測されている。

・  ニュースの中で流してもらうため、

テレビ局向けに新パッケージを紹介する4分間のビデオを制作。

また、消費者に2ドル50セント分の

「タイレノール割引クーポン」を提供するフリーダイヤルを開設[6]

J&J社は消費者の安全を真摯に受けていることを態度で示し、

J&J社の企業理念「我が信条」の冒頭に書かれていることを実践した。

企業理念は、企業を取巻く利害関係者にとってみれば、

企業の行動規範を判断する一つのメルクマールでもあるが、

顧客をはじめとする多くの消費者、市民からは企業の評判、

とくに良い評判が築かれているかが、

間接的ながらも企業理念の浸透度を類推することになる。

そこで、企業の評判であるコーポレート・レピュテーションについて

J&J社のCEOはこのように語っている。

「レピュテーションは、何百という小さなことの

積み重ねを毎日のように行ってきた行為の反映である。

レピュテーションを管理する方法は、常に何が必要かを考えて、

毎日正しいことを試みることである[7]」。

2002年~2003年にかけて、

アメリカで起きたエンロン事件、ワールドコムの崩壊と、

アーサー・アンダーセンの消滅、

我が国では三菱自動車のリコール隠し、

西武鉄道による有価証券報告書の虚偽記載による株価の急落など、

企業の評判であるコーポレート・レピュテーションに大きな関心が集まっている。

経営組織文化と企業の組織構成員が評価を受ける

コーポレート・レピュテーションには相互の関係がある。

Charles J. FombrunとCees B.M. Van Riel(2004)によれば、

レピュテーション指数(RQ)は6つの領域と20の属性を持つという[8]

情緒的アピール:(その企業に)好感が持てる、尊敬できる、信頼できる。

製品とサービス:高品質、革新的、信頼できる、

または価格に見合った価値の

ある製品やサービスを販売している。

財務パフォーマンス:収益性に満足しており、将来性が高く、投資リスクも

低い。

ビジョンとリーダーシップ:将来に対する明確なビジョンがあり、

強力なリーダーシップを発揮している。

職場環境:適切に運営され、優秀な従業員がいる、働きやすい環境。

社会的責任:良き企業市民として、

社会貢献活動を支援し、環境保護、地域社

会に責任をもつ。

このようなレピュテーション指数を使って、

2万人以上の米国の消費者に標準的な20問のRQに答えてもらった調査では、

1999年以来2005年までJ&J社がランキング1位であった。

今回のコンタクトレンズ市場における企業の組織文化調査により、

このコーポレート・レピュテーションを築く

日々の行動がどのような企業理念(Our Credo)と

結びつくのかを調査したいと思う。

8.ジョンソン・エンド・ジョンソンのラルフ・S・ラーセン氏

J&J社の元会長兼CEO(最高経営責任者)

ラルフ・S・ラーセン氏(Ralph S.Larsen)は

「わが社は200億ドル規模の大企業ではなく、

170の小さな企業だと思っている」と述べた。

遥か昔の1930年代に、長期にわたって会長職にあった

ロバート・ウッド・ジョンソン氏は権限の分散化を推進

し、組織の下層部に権限を与えた。

「下層部には、資源をどうやって効率的に活用するか、

という課題があったのだ」と、ラルフ・S・ラーセン氏はいう。

「我々は製造業というより、

むしろ知識産業に携わっていると言うべきだろう」。

CEOとして会社の現状を把握するため、

ラーセン氏は毎年、年末になるとニューヨークの

ホテルの一室を何日か予約してあらゆる部署の業務計画に目を通

し、自分の意見や疑問点を書きとどめ、

問題点に付箋を貼り付けていたという[9]

アメリカの医療費は1998年当時GDPの12~13%に達していた。

イギリスの場合もGDPの6~7%で医療費の著しい上昇が続いていた。

このような環境の下では将来を薔薇色と信じ、

経営がずさんになりやすい。

そこでラーセン氏は「競争基準設定」を使い、

緊縮計画に取り組み、これまでの無分別な行動、

失敗、法外なコストについて検討を行った。

上級幹部たちは危機感を抱くようになり、

厳しい会社の現状を認識し、

変革の必要性を意識するようになった[10]

J&J社の成長を支える経営幹部が、

従業員に対してこれまで築いてきた企業組織文化を維持し、

さらに一層の競争力をつけるために、

倫理綱領の浸透をラーセン氏は次のように述べている。

「われわれは常に、この規範に基づいて行動している。

この複雑な世の中で、

ジョンソン・エンド・ジョンソンが

分権体制を基本に会社を運営していくには、

どうしても規範が必要になる。

全体を一つにまとめる規範があるからこそ、

170から180もある部門を運営していけるのだ」

「規範の重要性と価値を認めない者は、

ジョンソン・エンド・ジョンソンに長くとどまることはできない。

そういう社員は、遅かれ早かれ会社に害を及ぼすような行動をして、

組織からはじき出されることになる。

異物が体外に排出されるように、

会社組織から排除されてしまうのだろう」

「われわれにとって、規範は北極星のようなものだ。

よくみんなで集まって活動方針を練るが、そんなときは必ず

『それを規範とどうやって整合させるのか』という意見が出る」

「こうした言葉の一つ一つに意味があるのだ。

例えば、『競争力のある』という言葉について、

『競争に勝つためには、手段を選ばないのか』

『品質を犠牲にするのか』と質問されたとき、私はこう答えた。

『いや、競争力と言っても、オリンピック競技のようなものだ。

最高に訓練された、最高の結果を出せる会社になりたいと思っている』」

「具体的な目標の達成とボーナスを結び付ける制度をすべて検討したが、

わが社の事業の性格を考えると、

こうした制度を導入する気にはなれない。

ジョンソン・エンド・ジョンソンはヘルスケア企業であり、

人命を救う製品を作っているのだ。

コスト削減や市場シェア拡大のために手間を惜しんで、

いい加減な製品をつくることなどできない。

だから、わが社では長年にわたる事業への貢献度を見て、

報酬額を決めているのだ。

これは極めて主観的な方法であり、

個人の判断がたぶんに入ることは否めない」

「わが社は社員に十分な給料を払い、

とくに優秀な社員にはきちんと報いている。

報酬は優秀な社員に報いる最も安上がりな手段なのだ。

反対に、社員が凡庸な場合は、

最も高くつく手段ということになる」

「内視鏡手術チームがどうなったかと言うと、

4年で目標を達成している。

もっとも、最初の2,3年はお先真っ暗だったので、

年単位の厳格なボーナス制だったら、

ペナルティーを科せられていただろう。

しかし、チームは見事に責任を果たした[11]」。

ラルフ・ラーセン氏は

「我が信条(Our Credo)」について次のように述べている。

「J&J社にとって“Credo”はコア・バリューです。

J&J社がまだアメリカの小さな会社であった1943年に

当時の会長兼CEOであった

ゼネラル・ジョンソンがまとめたものですが、

今日ではJ&J社も大きな会社になり、

“Credo”が(分権経営の)ノリになるとは、

“Credo”を作った頃には創造できなかったと思います」。

「我が信条」は

1)顧客に対する責任、

2)社員に対する責任、

3)地域社会に対する責任、

4)株主に対する責任の4つの責任で構成されている。

「どの会社もそうだとはいえませんが、アメリカでは、

基本的には、どの企業も個人の尊重を謳っています。

個人の尊重がなければ企業経営はできませんし、

その企業にも個人の尊重という価値観はあると思います」。

J&J社は、ローカル・マーケットのニーズに対する素早い対応のために、

積極的に分権経営を推進しているが、

分権経営を進めれば進めるほど、求心力・結束力は薄れてくる。

その求心力・結束力を生み出し、「ノリ」、

「にかわ」の役割を果たしているのが、

J&Jグループの「コア・バリュー」、

「精神的基盤」、「倫理的基盤(基本的倫理観)」である。

「我が信条」といっていい。「我が信条」だけでは、

求心力・結束力は維持できないのも事実であり、

J&Jグループの活力を維持し、

急成長を続けるために、J&J社は「我が信条」に則った

強力な「人材育成プログラム」も用意している[12]

9.「超卓越世界企業」へのジョンソン・エンド・ジョンソンの道のり

第一に、J&J社は、次の理由で「世界」企業である。

世界の51カ国に、約190社のファミリー企業-分社-を擁しており、

多種多様な国籍を有する約98,000人の社員がそこに勤務している。

「ジョンソン・ベビーオイル」

「ディスポーザブル(使い捨て)コンタクトレンズ」

「バンドエイド」をはじめとした一連の商品群は、

世界の非常に多数の人たちに愛用されている。

 

第二に、次の理由で「超卓越」世界企業である。

国の二つの調査会社-ハリス・インタラクティブ及び

レピュテーション・インスティチュート-が、

99年以降実施し始めた「企業イメージ調査」の第2回(2000年)の結果が、

『ウォール・ストリート・ジャーナル

(The Wall Street Journal)』紙の2001年2月7日号に掲載された。

回答者は、米国在住の一般大衆のなかから選ばれた26,011人。

この「企業イメージ調査」に関する記事は、

2001年2月21日付「朝日新聞」のコラム「天声人語」で紹介され、

多くの日本人読者から注目された。

それに続いて、2001年2月26日号「日経ビジネス」(PP.182~185)でも、

もう少し詳しい内容が紹介された。

1886年の創業以来今日まで、

計115年に及ぶ長い歴史のなかで、

同社の対前年比売上高がマイナスに転じたのは、

わずか2回(1932年及び61年)だけである。

J&J社では、

「会社売上高に占める新商品の比率は30%を上回ること」が

社内ルールになっている。

ネオ創業者[13]ロバート・ウッド・ジョンソン氏は、

社長在職中に経営の二つの支柱-分権化経営及び

「我が信条(Our Credo)」-を導入した。

 

10.ジョンソン・エンド・ジョンソンの創業期(1886~99年)

19世紀の半ばごろまでは、

最近では当たり前になっている

「感染防止」の考えも皆無で、

手術による死亡率は驚くほど高かった。

当時の人々はこの死亡率の高さが

何に由来するのかさえも知らなかった。

このような時代に、

かつて19世紀のフランスの科学者Pasteurが唱えた説-

「細菌が感染を生じさせる」-を実際に手術の場で実証したのが、

英国人の医師、Lister博士であった。

1886年にジョンソン三兄弟-長男ロバート・ウッド、

次男エドワード・ミード、

三男ジェームス氏-は、J&J社を創設し、

好景気と人々の医療に関する知識の増大につれて成功を収めた。

自社製造商品分野も、外科領域で使われる外科手術着、

ガーゼ、絆創膏など広い分野に拡大した。

11.ジョンソン・エンド・ジョンソンのロバート・ウッド・ジョンソン氏

1861年、南部の州で南北戦争が始まった年には16歳だった。

創業者ロバート氏は、Lister博士の落下細菌の

存在についての説に早くから多大な関心を抱いていた。

これまでの病院の一般的な認識は、

「貧しい気の毒な患者に医療介護を施す施療院」にすぎなかったが、

「治療現場としての病院」に、多くの改善が加えられ始めた。

賢明なジョンソン三兄弟は、

こうした傾向に対する先見的な認識に基づき、

「医療用具を病院へ提供することは大きな事業機会になる」と考えていた。

また、外科領域以外の分野に対し、「ベビーパウダー」の上市など

商品領域を広げて企業規模を次第に強固なものにしていった。

後にロバートが1910年に亡くなった後、

同社は三男ジェームスによって引き継がれ、

さらなる成長を遂げた。

12.ジョンソン・エンド・ジョンソンの世紀初頭~1930年代

1916年、ヨーロッパで第一次世界大戦が勃発したが、

当時のヨーロッパでは外科用手術着の製造量はごくわずかだった。

したがって、連合軍からJ&J社に莫大な量の発注が舞い込んだ。

この多量の需要に対応するため、

マサチューセッツ州にあったチコピー社を1916年に買収した。

1920年にはJ&J社でもっとも有名な商品「バンドエイド」が上市された。

その当時J&J社の工場で働いていたディクソン氏という若い社員の妻が、

台所で食事の用意をする際にしばしば指を切るので、

彼はその都度包帯を巻いて彼女の傷口の手当てをしていた。

だが、彼女の包丁さばきが一向に上達しなかったので、

彼女自身でもすぐ手当てができる包帯をつくろう、と決心し、

その結果として誕生したのが「バンドエイド」である。

当時の「バンドエイド」は、2.5インチ幅のテープ状で販売され、

それを営業マンが注文に応じてハサミで切って販売していた。

国内で大きな成長を遂げたJ&J社が海外進出を目指し

米国以外の地に拠点を設立したのは、

1925年の英国が第一号であった。

その後1930年に発生した大恐慌により、

J&J社も厳しい環境に直面したが、

1人の失業者も出すことなく、

厳しい環境のもとでも発展を続けたのである。

13.ジョンソン・エンド・ジョンソンのネオ創業者ロバート・ウッド・ジョンソン氏の登場

彼は、経営の分権化/分散化の思想を打ち出し、

その発想は現在に至るまで同社の経営を支える

二つの大きな支柱の一つとして成功を収めている。

「企業はそこで働く社員に対して彼らの人間としての尊厳性を認め、

貢献度の高い社員の業績を認知しなければならない」と唱えながら、

社員に対する企業の責任を訴えている。

「企業は地域/共同社会に対しても責任を負う」と表明し始めた。

こうした経営哲学が1943年にJ&J社の

経営理念+行動指針として体系化され、

「我が信条」として完成された。

企業統治(コーポレート・ガバナンス)の視点は、

一般企業では90年代から注目され始めたにすぎないが、

J&J社ではすでに60年近くにわたってこの考えを貫いてきたのである。

ネオ創業者ロバート氏の社長在職中(1932~63年)に分権化経営と

「我が信条」の二つの大きな支柱を基軸にしながら、

飛躍的な発展を遂げたのである。

14.ジョンソン・エンド・ジョンソンの新規事業への進出

1981年に、フロンティア・コンタクトレンズを買収し、

ディスポーザブル・コンタクトレンズという商品を上市した。

これは新規のコンセプトに基づくコンタクトレンズ商品だった。

この新商品によって、コンタクトレンズ市場は大きく様変わりする。

こうして、ヘルスケア企業として事業戦略をより鮮明に打ち出し、

経営体質の転換を図ったのである。

そのなかで、ソーセージを覆うケーシング(外皮)を製造するデブロ社は、

事業の業績は好調であったにもかかわらず、

「この事業は“ヘルスケアの事業領域”という事業ドメインにそぐわない」

という経営哲学に基づき、

売却の対象となった。

医療品業界では、「薬局という名称の市場」

を一般に「OTC市場」と呼んでいる。

OTCという名称の由来は“Over the Counter”(カウンター越し)である。

いくつかの企業では、そのOTCをさらに二つのセグメント、

①医者の処方箋が不必要な「大衆医薬品」」、

②医者の処方箋が必要な「処方箋医薬品」に細分している。

15.ジョンソン・エンド・ジョンソンの分権化を支える価値観

J&J社は表向きには、約190社の関連会社が

緩やかに結びついているように見えるが[14]

それぞれの会社は、時にはお互いに強い競争意識を持ちながら

独自の戦略を追求している。

それぞれの会社が、最良と認めたやり方で、

独自の目標達成を目指してきている。

Credoに対する強い信頼があるので、

J&J社は分権化戦略がプラスに働いている。

このことが如実に表れたのがタイレノールの悲劇である。

当時のJ&J社のCEOであった

ジェームス・パーク氏は、即座の対応を迫られた。

その混沌とした時に、的確な対応が処方できたのもJ&J社に

Credoがあったからこそ出来た対応であると言われている。

ジェームス・パーク氏は

「社員に自分が出来ることをする自由を与えることであり・・・

それを引き出すことです。しかし、社員は認め、理解できる、

道徳的な確信を持っていなければなりません。

私は、それがなくても混沌した中を

渡りきれると言うことが出来ました。

会社の制度として作用すべきと思う方法が

なんとか機能しているのです。

それは、そうした価値体系があるからこそ

機能するのだと思います」と述べている。

16.ジョンソン・エンド・ジョンソンの会社概要

社   名 ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社

ビジョンケアカンパニー

代表取締役 大瀧 守彦

本   社 東京都千代田区西神田3丁目5番2号

事業開始   1999年4月

支店営業所 東京・大阪・札幌・仙台・関東・横浜・名古屋・広島・福岡

事業内容 使い捨てコンタクトレンズ製品の輸入・販売。

2007年調査


 

<<参考文献・資料>>

岩淵明男(1999)『約束された成長』出版文化社

櫻井通晴(2005)『コーポレート・レピュテーション』中央経済社

山下辰夫・中村元一(2001)『成功経営の法則』ダイヤモンド社

Alsop,R J.(2004), The 18Immutable Laws Of Corporate Reputation, Dow Jones & Company,Inc.(トーマツCSRグループ訳『レピュテーション・マネジメント』日本実業出版社,2005)

Fombrun,Charles J. and Van Riel,Cees B.M.(2004), Fame And Fortune, Pearson Education,Inc.(花堂靖仁監訳『コーポレート・レピュテーション』東洋経済新報社,2005)

Neff,Thomas J. and Citrin,James M.(1999), Lessons from The Top, Essaress Holdings Ltd.(小幡照雄訳『最高経営責任者』日経BP社,2000)

松葉博雄(2007)「コンタクトレンズ業界における良循環経営の調査研究~顧客満足と従業員満足、そして経営理念の視点から~」大阪府立大学経済学研究科修士論文

『News Week』日本版 2006年3月1日号,~Strategy Watch トップカンパニーの戦略診断(34)

『2005 Annual Report』  http://www.investor.jnj.com/downloads/jnj_2005annual.pdf

HP ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 http://acuvue.jnj.co.jp/,2006年7月12日アクセス

 

[1] 『News Week』日本版,2006年3月1日号 ~Strategy Watch トップカンパニーの戦略診断(34)参照

[2] Alsop,R J.(2004), The 18Immutable Laws Of Corporate Reputation, Dow Jones & Company,Inc.

(トーマツCSRグループ訳『レピュテーション・マネジメント』日本実業出版社,2005)

[3] 同書,P.79参照

[4] 前掲書『レピュテーション・マネジメント』,P.270参照

[5] 同書,P.228参照

[6] 前掲書『レピュテーション・マネジメント』,P.302参照

[7] 櫻井通晴(2005)『コーポレート・レピュテーション』中央経済社,p.14参照

[8] Fombrun,Charles J.(2004), Van Riel,Cees B.M., Fame And Fortune, Pearson Education,Inc.(花堂靖仁監訳『コーポレート・レピュテーション』東洋経済新報社,2005)

[9] Neff.,Thomas J. and Citrin.,James M.(1999), Lessons From The Top, Essaress Holdings Ltd.(小幡照雄訳『最高経営責任者』日経BP社,2000),p.293参照

[10] 前掲書『レピュテーション・マネジメント』,pp.294-295

[11] 前掲書『レピュテーション・マネジメント』,pp.298-301参照

[12] 岩淵明男(1999)『約束された成長』出版文化社,pp.27-28参照

[13] 「ネオ創業者」(neo-founder)とは、二代目以降のトップの中で、あたかも創業者に匹敵するような形で、卓越した創業者に固有な企業家精神の最大特徴を十二分に発揮し、その結果として自社のさらなる発展に対して桁外れに顕著な貢献をするトップを指す。

[14] HPジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 http://www.jnj.com

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