博士課程後期の客員研究員は、博士号を目指す査読付き投稿論文の書き方をアドバイスさせてもらいます。大阪市立大学大学院
博士課程後期課程の客員研究員は発表者が査読論文作成に、何が問題点なのかを一緒に考えます。
大阪市立大学客員研究員規定
博士課程後期の客員研究員の一日
夏至の日に、大阪市立大学大学院にいって部屋に入ると、まだだれも来ていません。
夏至の日には、まだ明かりが窓から入ってきています。
電気をつけてみると、先ほどまで暗かった教室は明るくなり、
反対に、さっきまで窓から光が入っていた野外は暗く、
見えなくなりました。光の効果はこれほど違うようです。
窓から外を見れば、JR大阪駅の近辺には人が溢れています。
これから、夕暮れでも暑くなる季節になります。
夏至から7月8月9月までは、熱帯夜が訪れる季節です。
教室で待っていると、最初に教室に入ってきたのは、今日発表予定の姓本憲和さんです。
姓本憲和さんは、早速パワーポイントの設定準備を始めました。
最初の発表は家永秀則さんです。
今回は少しテーマが変わっていましたが、基本は起業です。
家永秀則さんの発表を聞きながら、気がついた事を松葉博雄はノートにメモしていきます。
気がついた事は沢山あります。
発表の後、明石芳彦先生と、小沢貴文先生から、アドバイスやら質問やらが続きます。
レジュメを読みながら考えたことは、論文作成のスピード感についてです。
これまで何度も発表を聞かせて貰いましたが、
タイトルやテーマを発表する入り口の部分で、その先にまで進んでいません。
限られた時間に結果を出す為には、
一気呵成に突き抜けるスピードが欲しいなと思いました。
二人目の発表は、姓本憲和さんです。
テーマは、関係性マーケティングに関する研究です。
このテーマは、マーケティングの研究領域なので、
神戸商科大学(兵庫県立大学)大学院で、
マーケティング研究の経験があるので、比較的理解しやすい分野です。
姓本憲和さんの発表を聞いていて、いくつかの疑問が出て、
ノートにメモをして、発表の後に質問させてもらいました。
関心があったのは、レジュメに書かれていた、
顧客を獲得・維持する事の、本質についてでした。2015年6月22日(月 )
客博士課程後期の客員研究員は自分自身の経験から院生にアドバイスします
クリスマスが近づいてくると、
大阪梅田の百貨店や地下街ではクリスマスツリーが輝き始め、
なんだか急に慌ただしくなって、
まもなく年末だ、と、追われるようになってきました。
仕事を切り上げ、阪急電車に乗って神戸三宮から大阪梅田に着いた頃は、
もう冬の夕方はすっかり暗くなり、
そろそろ会社が終わって帰宅する人達とすれ違う時間になってきました。
地下街の女神のブロンズは、
すっぽり雪だるまをかぶせられ、
冬の主役に交代しています。
大阪市立大学大学院の創造都市研究科に着くと、いつもの教室に入ります。
教室にはまだ誰も来ていません。
教室の窓から向こうを見れば、真っ正面にはJR大阪駅のネオンが輝いています。
ここは、大阪駅のすぐそばの、商業地のど真ん中にあるビルです。
今日の発表は、菊池浩史さんと姓本憲和さんの二人です。
査読付投稿論文を書く時に有利なのは、自分自身で作った一次データを持つ事です。
直接顧客やユーザーにアンケートを行い、
そのデータを収集して、そこから分析に入る方法です。
アンケートを行う時に重要な事は、構成概念をしっかりと描いていることです。
発表を聞きながら、自分だったらどうするかを立場を変えて考えてみます。
博士の学位を目指す博士ゼミのゼミ生達は、
一言も聞き漏らすまいと、熱心にメモをとっています。
発表が終わると、明石芳彦先生から講評があります。
次は姓本憲和さんです。テーマは関係性マーケティングに関する研究です。
問題意識から始まり、研究の背景、先行研究、事例研究の概要を報告しています。
一本の査読付投稿論文を書くためには、何かを我慢して時間をつくり、
世間との義理を犠牲にしてまで研究に没頭しなければ、
投稿先の学会に受理されるような論文にまで達成できません。
ゼミが終わると、今日頂いたアドバイスや指摘に基づいて、
今夜からまた次の発表に向けて、論文の中身を高めていく事になります。
博士課程後期の客員研究員 査読付き投稿論文の書き方 採択には何を明らかにしたいのか、問題意識を明確に 仮説を立てて、エビデンスを論述し、検証する。大阪市立大学大学院(2)
査読付き投稿論文とは 学会運営ジャーナル
査読付き投稿論文の書き方
査読付き投稿論文の書き方を話すために、明石芳彦先生の主催する、
大阪市立大学大学院 創造都市研究科の博士ゼミが終わると、
家永秀則さん、菊池浩史さん、山崎真嗣さんと、松葉博雄の4名で、
居酒屋「福寿」で、反省会兼飲み会です。
福寿といえば、神戸の灘の酒造メーカーです。
2013年7月に、松葉博雄の奥さんと一緒に、清酒 福寿を造っている、「神戸酒心館」に行っています。
神戸の酒心館は、落ち着いた、大人向けの食事処ですが、
ここ、居酒屋ふくじゅは、大衆酒場です。
お店の前には、清酒を冷やしてグラスに注ぐ、サーバーがあります。
暖簾の向こうには、満席状態のお客様で溢れています。
席が空くまで、少し、外で待たされました。
すぐ近くには、以前に利用したことがある、居酒屋の百番がありました。
福寿は、お酒なら灘の福寿ですが、ビールなら、アサヒのスーパードライでした。
こうして、後輩の皆さんとゼミの後に、
反省会兼飲み会をするのは、このメンバーでは初めてです。
査読付き投稿論文を書くきっかけ
家永秀則さんは、社会人大学院に行くきっかけになったのは、
大阪府立大学大学院で、松葉博雄の同期生の皆さんと出版した、「社会人大学院へのススメ」
山崎真嗣さんは、高校の教諭ですが、今は期間を限定して、仕事をお休みして、
博士の学位を目指しています。3人とも、どなたも向学心の強い方ばかりです。
査読付き投稿論文の書き方 採択には論文作成のルール
何かアドバイスをと促されて、3人に話したのは、
いかに早く査読論文を採択されるようになるか、ということです。
査読付き論文は、研究者が研究者の論文を、審査することなので、
そこには暗黙のルールがあります。
この論文作成のルールというか、作法というか、決まりを理解しないで、
論文作成に取り組んでも、なかなか採択してもらえません。
査読付き投稿論文の書き方 1.問題意識 何を言いたいのかを明確に
1本の査読論文が採択されて、掲載されるまでには、
その途中に長いドラマがあります。
論文を書くには、何を言いたいのかが、はっきりしていることです。
たとえば、誤認逮捕事件の裁判に置き換えて考えてみます。
仮に、誤認逮捕された人の無実を、裁判で立証しようとすると、
弁護士は、この人は無実である、という主張をすることになります。
研究目的は、この無実であるという主張です。
仮説は、犯人はこの人ではない、ということです。
査読付き投稿論文の書き方 2.仮説 先行研究 仮説の証明
先行研究となるのは、これまでの、よく似た事件内容の裁判の判例です。
そして、データとして、無実であるという証拠や、証人などを示して論述します。
仮説の、「この人は犯人ではない」を資料で証明して検証すれば、
この人は犯人ではない、という結果に導くことになります。
このように、主張したいこと、言いたいこと、
明らかにしたいことを、はっきりとさせることです。
これが決まらないと、ゼミで発表して、講評をいただいた後、
コメントに対して主張がずれたり、言いたいことがぶれて、
発表ごとに内容が変わって、時間がどんどん過ぎてしまいます。
裁判の例に例えて、相手側の検察官から、犯人だと追究されても、
犯人ではないと、言いたいことを主張しなければ、期待する判決は得られません。
査読付き投稿論文の書き方 4.仮設の検証 意見,指摘に振り回されれ、問題意識が変わってはいけません
ゼミや、発表報告では、色々な立場から、色々な意見をいただいて、
いただいた意見を取り入れようと、サービス精神に振り回され、
結局何が言いたいのか、くるくる変わることがあります。
これが、研究テーマです。研究テーマの基軸を、ころころ変えると、
聞く度に違った論文構想発表になってしまいます。
査読付き投稿論文の書き方 論文作成の進め方も注意すべきこと 家を建てる例であれば
博士論文作成の進め方も注意すべきです。
家を建てる例に例えていえば順序があります。
まずは、土地を整地して、基礎工事をして、設計図面に基づいた墨出しをして、
設計図にもとづいた建物を建てていきます。
ゼミの報告では、今回の報告の範囲は、建築工事でいえば、
この部分だと範囲を明確に絞って進めていかなければ、
いきなり完成した建物を示せば、広い分野から足りていないところを指摘されます。
ついつい、お節介な論文の書き方を話しているうちに、
時間が遅くなってしまいました。
大阪市の地下街を通れば、孫のU君の好きな、
ライオンキングのポスターがありました。
阪急百貨店のショウウィンドウは、すっかりクリスマスバージョンに変わっていました。
かなりビールを飲んで、家に着いたときは、もう夜の11時半です。
奥さんにお願いして、お茶漬けをいただいて、すぐに寝てしまいました。
査読付き投稿論文採択の戦略 まとめ
客員研究員は発言権が狭く、積極的な発言はできません。
教授、准教授と序列があります。自分だったら、こういう場合は、
こうするといった研究の方法を述べることは、教室を出て、
飲み会のような非公式な場所になります。
博士号を獲得するのは、研究方法の戦略を持つ必要があります。
戦略を考えるのは、実務家に向いています。
2015年11月30日(月)