インド巡礼記:ブッタ真理の言葉を求めて 1982年のカルカッタ 第5話

インド巡礼記:ブッタ真理の言葉を求めて カルカッタの街には仏教の面影は全くありません。 【第5話】

ブッタ真理の言葉を求めて 1982年当時のカルカッタの街の風景

カルカッタはインドの4大都市のなかでも、最もインド的な混沌とした大都

会と言われています。

カルカッタの街には、かっては栄えていた仏教の面影は全くありません。

街は喧騒に覆われ、街の空気も透明ではありません。

街角で時折、目に触れるのはヒンズー教の神々の像です。

なにか、仏教断片でもないかと、探し求めても街角には何もありませんでした。

カルカッタで仏教遺跡が残っているのは、インド国立博物館の中です。

 

インド巡礼記

ブッタ真理の言葉を求めて カルチャーショックの始まり

■12月29日(木)

深夜にホテルのロビーでチェックインを受け、それぞれの指定された部屋に

やっとたどり着くと、もう旅の疲れはどっと出てしまいます。

かねて用意のウイスキーを昨夜は飲み、ぐっすりと眠られるようにして寝ました。

あらためて室内を見れば、相部屋なのでもう一人の人がいました。

その同室の男の人は、豊中から来た奥山さん(仮名)という若い人でした。

奥山さんは、昨年はスリランカに行ったそうです。

この奥山さんは、今回のツアーでたまたま飛行機の席がお隣で、飛行機の中

で親しくしていた女性は、連れの人と思っていましたが、実は偶然前回のツ

アーで一緒だったそうです。

昨年に続いて、今年の年末もまさかと思った前回の女性が隣に座っていたの

で、びっくりしてあんなにいちゃいちゃしてたそうです(ほんとかな?)。

見た目に背も175センチくらいで高く、鼻筋もとおり、いい男なので、女の

娘のほうが追っかけているように見えました。

その辺の事情については、徐々に明らかになってきます。

インド巡礼記

 

 

今、何時かわからないまま、少し早く目が覚めたようなので、することもな

く、旅の疲れを流すために風呂に入りました。

風呂から上がり、ゆっくりとくつろいだ気持ちで外を見回してみると、ここ

はやはりインドだなぁと思ったのは、素足の人がたくさんいることです。

その中に、白い上下の服をまとった男の人が少し寒いのかマフラーを巻いて

いる人がいました。

日中はうだるような暑さの中で、夕方、夜、そして早朝には、寒さが身に染

むようでマフラーを巻いているのでしょうか。

ずいぶんと寒暖の差が大きいことがうかがえます。

そうこうしているうちに、8時半になり、モーニングコールがありました。

これから9時にみなさんとの朝食です。

インド巡礼記

 

飛行場で岡山弁のきつい一行の人たちは、やはり岡山の人で、写真が大好きな様子でした。

もうここまでの行程ですでにフィルムはもう5本も撮ったそうです。

朝、興奮が抑えられず、もう街中に出て行き、被写体を探し、シャッターを

押しまくり、カルカッタの雑踏を写したとのことです。

朝食テーブルはポジショニング争い

朝食のテーブルに奥山氏が座ると、すぐに話題の女性がその後を追うように

隣に座ってきました。

朝食会場に全員が揃ったようで、ぐるりとメンバーを見回してみれば、女性

は、もう1つのグループと思われる5人の若い娘たちが、どこに座ろうかと

思案げにあたりを見回しています。

このようなシチュエーションでは、まず、その人が座る場所によってその人

が今自分をどこに置こうかと考えていることが少しながら予想がつきます。

きっと、この5人のお嬢さんたちは、できるだけ自分たちと同じ世代の若い

男の人の近くに座ると視ていました。

やはり、案の定、ここしか席が無かったの…と言い訳がつきそうな感じなが

らも、自分で奥山氏の周りを取り囲むように、娘さんご一行がドッドッドと

席をとってきました。

これは、ポジショニングであり、碁であれば、最初の一手の席です。

インド巡礼記

 

さて、彼をめぐって、若い5人の女性たちに、どのようなことが起きるので

しょうか。これからが楽しみです。

果たして、今一つのグループに見える5人の女性たちは、一つのグループな

のか、またはバラバラなのか、現時点ではまだわかりません。

朝食のときに、私は体質的にあまり変わったものは食べられないので、神戸

から持ってきたインスタント食品の「どん兵衛」を食べることになりました。

ブッタ真理の言葉を求めて カルカッタで食べる「どん兵衛」

どん兵衛には、お湯が必要です。ホテルでお湯のことを、ホット・ウォーターと言って注文してもダメです。

なぜダメなのかといえば、ホット・ウォーターの場合は、ぬるま湯を持ってきます。

飲むためではなくて、どん兵衛を食べられる状態にするためには、ヒート・

ウォーターでなければダメです。

そこで、私は、ボーイを呼んで、ヒート・ウォーターを欲しいと言いました。

銀色のサーバーに入れて、私のヒート・ウォーターがしばらくして届きました。

このヒート・ウォーターをどん兵衛のふたを開けて注ぐこと3分、

やっと私の朝食が整いました。

ヒート・ウォーターは味噌汁にも使いました。

これが私の日本式の正しい朝食となります。

子供の水筒を借りて持ってきているので、

水筒にお湯を入れてもらって、日本茶のティーパックを入れ、

お茶を作り、これをゆっくりと飲みました。

これを見ている周りの人はみな感心していました。

とても用意周到だなということです。

食事が終わって、一人でホテルを出てカルカッタの街を歩いてみました。

初めての街なので少し怖々と歩いたのですが、カメラを持ってインドを写し

てみたいと思います。

インド巡礼記

 

ブッタ真理の言葉を求めて カルカッタの街を写す

気が付くことは、カルカッタの街ではたいへんたくさんの人がいるというこ

とで、とにかく人が多いと思いました。

どこからこんなに湧いてくるのかとうほどの人です。

東京に行ったときは、人の多さに驚いたことがありますが、カルカッタの街

はそんなものではありません。

周辺からあてもなく集まった人口は、路上にも溢れるほどの人口となり、狭

い地域ですでに400万人を突破したのではないかとガイドさんは言っていました。

どんな写真を撮ろうかと、周りをゆっくり見てみると、急いでいる人、当て

もなくゆっくり歩く人、人がすることをじっと見ている人など、いろんな人がいます。

インド巡礼記

 

スリランカに行ったときのコロンボの街と同じように、小さな店がビルの前

にへばりついているように、店が付いてそこで商売をしています。

路上に並ぶたくさんの食べ物を扱っている屋台で食事を済ませば、いったい

1日いくらで済むのでしょうか。

きっと、1日の最低賃金で、1日の食費はまかなえると思います。

インド巡礼記 ブッタの真理の言葉 アーカイブ

第4話に戻る

第6話に進む