淡路市岩屋 記録的猛暑が教えてくれた「水の重み」と土地再生の現実
花と緑は人のためならず ――記録的猛暑が教えてくれた「水の重み」と土地再生の現実 淡路島は水不足
「花と緑は人のためならず」

この言葉を胸に、
かつてゴミ捨て場と化していた荒れ地を、少しずつ整地し、
果樹を植え、花を植え、
土地を“生き返らせる”作業を続けてきました。

自分のためではなく、
近隣の環境のために。
振り返れば、整備は遅々とした歩みですが、
それでも2025年を迎える頃には、
確実に緑が根付き始めていました。
2025年夏、淡路島を襲った記録的猛暑と日照り

2025年夏は、日本全土を襲った
記録的な猛暑と深刻な少雨(日照り)の年でした。
淡路島でも、
梅雨明けの異常な早さ
8月まで続いた降雨量不足
連日の猛暑日
が重なり、島全体が深刻な水不足に直面しました。
棚田や畑、果樹園――
「水があること」を前提にしていた環境が、
一気に脆さを露呈した夏でした。
「少し掘れば水は出る」──井戸づくりの始まり

開墾した傾斜地に植林を進めるため、
最大の課題は水やりでした。
広い土地。
しかも傾斜地。
ホースでは限界があり、
そこで工務店に依頼し、井戸を掘ることにしました。
この場所は、もともと水田だった土地です。
「ここは、少し掘れば水は湧きますよ」
以前、工務店の社長さんがそう教えてくれていました。
重機を使って約3メートル掘り下げると、
言葉どおり、すぐに湧水が現れました。
井戸ができ、水が循環し始めた土地
砕石を敷き、
コンクリート製の井戸枠を三段重ね、
周囲を砕石で埋めて自然ろ過する構造に。
掘削直後は、水量も十分で、
自宅の庭
家庭菜園
メダカの池
と、さまざまな場所で活躍しました。
さらに、
湧水を無駄にしないよう、
井戸の隣には小さな貯水池も整備。
水は循環し、
土地と緑が確実に息を吹き返していく――
そんな手応えがありました。
しかし、猛暑は想像を超えていた
ところが。
2025年の記録的猛暑と日照りは、
この小さな成功を簡単に打ち砕きました。
降らない雨。
下がり続ける地下水位。
気づけば、
井戸はほぼ枯れた状態に。
このままでは、
植えた木々が枯れてしまう。
井戸を「壊して、もう一度掘る」という決断

そこで下した決断が、
井戸を一度解体し、さらに深く掘り直す
という再工事でした。

既存の井戸枠をすべて撤去
重機で前回の3メートルを超えて掘削
貯水量を増やす構造へ再設計
「作ったものを壊す」決断は簡単ではありません。
しかし、
自然相手の仕事は、
思い通りにならないからこそ、
現実に合わせて作り直す必要があります。
2026年2月現在──水は“当たり前”ではない

現在は2026年2月。
昨夏の経験を経て、
淡路島内では、次のような動きが強まっています。

溜池の再評価と再整備
老朽化した溜池を改修し、貯水容量を増やす取り組み省水型農業の導入
点滴灌漑(てんてきかんがい)など、水を最小限に使う技術防災・減災意識の変化
「水は常にあるものではない」という共通認識

土地を整えることは、
自然と向き合い直すこと。
井戸を掘り直す作業は、
単なる設備工事ではなく、
水の価値を体で学び直す時間でもありました。

花と緑は、人のためならず
それでも、
花を植え、
木を植え、
水を守る。
それは、
結果として人の暮らしを支えることにつながる。
遠回りに見えるこの作業こそ、
次の世代に残せる
「土地の記憶」なのかもしれません。

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