阪神・淡路大震災から30年 走る人・支える人・祈る街が一つになる『神戸マラソン2025』
阪神・淡路大震災から30年 神戸の街を駆け抜ける神戸マラソン

阪神・淡路大震災から30年——
2025年11月16日、神戸マラソンが開催されました。
今年は阪神・淡路大震災から30年の節目。
「走る大会」ではなく、
“神戸の記憶と未来をつなぐ一日”となりました。

◆ 神戸マラソンは「走る」だけではない

神戸マラソンは、ただのスポーツイベントではありません。
毎年エントリーは抽選倍率3~5倍になる人気大会。
走れること自体が“選ばれた人の特別な体験”。
そして今年のテーマは 「感謝と友情」。
震災で支えてくれた全国・世界の人たちへの「ありがとう」を、
ランナーが一歩一歩刻む大会です。
◆ スタート地点を黄色に染めた「ヒマワリ」
スタート地点の神戸市役所前。
ランナー2万人が一斉に黄色い手袋を掲げる瞬間——
会場はまるでヒマワリ畑のようでした。
ヒマワリは、神戸の“復興の象徴”。
そしてスタートの直前には、
震災で犠牲になった方々への黙とう。
走者の表情は引き締まり、
「ただのレースとは違う日」
であることを物語っていました。
◆ ランナーの胸にある想い

・震災で家族を亡くした人
・あの日の神戸を知らない20代の若者
・健康の回復を願って走る人
・友人との絆を深めるために走る人
42.195キロは、誰にとっても長い旅。
沿道から届けられる「がんばれ!」の声に、
走者の目に涙が浮かぶ瞬間も珍しくありません。
◆ 応援する家族の熱意がすごい
神戸マラソンが
“温かい大会”といわれる理由のひとつが、
家族・友人の応援の熱量です。
・子どもが手作りした応援ボード
・お揃いのTシャツを着て走者を待つ家族
・遠方から深夜バスで応援に来る両親
ランナーが笑顔になるのは、
こうした「伴走者たちの愛情」があるからこそです。
◆ 明石海峡大橋を望む絶景コース
神戸市役所前をスタートし、
須磨〜舞子を抜け、
明石海峡大橋と淡路島を真正面に見ながら折り返す
国内屈指の景観コース。
フィニッシュはハーバーランド。
神戸らしさがギュッと詰まった42.195kmです。
◆ 神戸マラソンEXPOと「震災を忘れない」取り組み

大会前の2日間は、神戸国際展示場で
神戸マラソン EXPO 2025が開催。
企業ブースやイベントが賑わう中、
特に注目されたのが
「人と防災未来センター」ブース。
震災を知る世代にも
震災を知らない世代にも、
「伝える意義」を示す大切な機会となりました。

◆ 市民の応援がすごい。中華街から“龍”も参加

沿道応援には、地域団体・学校・企業が多数参加。
今年は中華街から龍踊りの応援も登場し、
ランナーの疲れを吹き飛ばす迫力。
神戸という街が、
ランナーを「おもてなし」する
雰囲気が全体から伝わってきました。
◆ 2025年の優勝者
・男子:エリシャ・ロティッチ(ケニア)
・女子:ジャクリン・チェラル(ケニア)
力強い走りで会場を沸かせました。
◆ 神戸マラソンの意義
神戸マラソンは、
震災の記憶を未来へつなぐ装置でもあります。
・祈り
・感謝
・友情
・街の賑わい
・コミュニティの再生
これらすべてが凝縮された一日。
「走るだけではない」大会が、神戸マラソンです。
◆ 神戸マラソンの課題
どれだけ素晴らしい大会でも、改善点はあります。
抽選倍率が高く、走りたい人が走れない
交通規制が広範囲に及び、市民生活に影響
気温変動が激しく、体調管理が難しい
ボランティア不足の年も
観光客の集中による混雑
それでも多くの市民が支え、
改善を繰り返しながら、
より良い大会へ進化しています。
◆ 最後に
30年という時間が経っても、
あの日の記憶は色あせることはありません。
神戸マラソンは、
「走る人」「支える人」「祈る人」——
すべてが一つになる日。
来年もまた、
この街を走る多くのランナーと応援の声が、
神戸を温かく包むことでしょう。