甘柿渋柿 甘柿は日本のみ生まれ発達してきたのです。甘柿の代表品種は、富有柿です。淡路景観園芸学校 受講記(56)マスターコース①
投稿No:9148
甘柿渋柿 淡路景観園芸学校 受講記(56)マスターコース① 園芸学校マスターコース①
マスターコースの講義の始まりは、園芸の科学(渋柿と甘柿)です。
講師は、札埜高志講師です。
講義の内容は、身近な柿の話です。
柿の原産地は、中国南部か日本といわれ、
確定はしていない様です。
6500万年前から、柿は日本にありました。
日本の食用の柿の主産地は
和歌山、奈良、福岡、岐阜、新潟です。
柿の販売量は,段々と人気が下がっています。
若い人たちに人気がないようです。
その原因は、購入後すぐに熟して、
柔らかくなるからと言われています。
甘柿の種類
柿には、およそ1000を超す在来種があります。
大別すれば、甘いか、渋いかに大別されます。
歴史的には、甘柿は日本のみ生まれ、発達してきたのです。
カキは甘渋と種子から出る脱渋物質の量により、
以下の4種類に分類される
1.完全甘ガキ(PCNA)
2.完全渋ガキ(PCA)
3.不完全甘ガキ(PVNA)
4.不完全渋ガキ(PVA)
1.完全甘ガキ 富有(ふゆう) PCNA:Pollination Constant Non Astringency
種子の有無とは関係なく樹上で渋が抜ける柿です。
脱渋には夏・秋季に温度の高いことが必要なので、
完全脱渋するのは暖地のみになります。
斑(ゴマ斑)がわずかに果肉にできます。
甘柿の代表品種は、富有柿です。
原産は岐阜で、1857年から栽培されました。
生産量が日本で一番多い品種です。
果肉は柔らかくて果汁も多く、甘みが強いのが特徴です。
主産地は福岡、岐阜、奈良、和歌山などです。
2.完全渋ガキ PCA:Pollination Constant Astringency
種子から渋を抜く揮発性物質(アセトアルデヒドやエチルアルコール)
が果肉に出ない
種子の有無とは無関係に果実着色期に果肉全体が常に渋い
果肉にはゴマ斑は生じない。
品種は西条、横野、愛宕などです。
3.不完全甘ガキ PVNA:Pollination Variant Non Astringency
種子から脱渋物質が生じて果肉に広がる。
果肉に多量のゴマ斑を生じる。
樹上で自然に渋が抜ける。
褐斑のために不完全甘ガキの肉質は粗い
4.不完全渋柿 平核無 PVA:Pollination Variant Astringency
種子から不完全甘ガキのような脱渋物質を出します。
一般に種子のまわりのわずかな部分にだけ褐斑が生じます。
通常の状態では果肉全体が渋の抜けた果実にならない品種を指します。
新潟県原産です。渋柿の代表的な品種です。
生産量は”富有”に次いで2番目で、
糖度はあまり高くないが、肉質は緻密、
極めて柔軟、多汁で、食味は非常に優れている
渋柿なので、出荷前には脱渋処理を行います。
主産地は山形、和歌山、新潟、奈良んどです。
柿の養分
柿には、栄養分が多く、
100gで成人に十分なビタミンCがあります。
柿は、糖分が多いので、
糖分の獲り過ぎには注意が必要です。
柿の渋のもと
柿の渋みの原因は、タンニンです。
タンニンを不溶液化させると渋みは無くなります。
タンニンを抜くと、固い柿のままで食べられます。
そこで、市販の柿はほとんど渋抜き処理をしています。
甘柿と渋柿
カキは果実着色期に収穫した果実に渋みがあるかないかで、
渋ガキと甘ガキに大別できます。
甘ガキは日本で独自に発生し、品種分化しました。
1982年、中華人民共和国湖北省光岡市羅田県で
甘ガキ(羅田甜柿 Luo Tian Tian Shi)が発見された
羅田甜柿は、日本以外で初めて発見された甘ガキ
羅田甜柿は、日本の甘ガキとは
遺伝的に異なることが分かっている
日本の甘ガキと羅田甜柿の遺伝子発現を比較すると、
タンニン蓄積に関わる遺伝子群の
発現様式に差異があることが分かりました。
渋み物質ータンニン(tannin)
植物由来の物質です。植物界に普遍的に存在します。
タンパク質、アルカロイド、
金属イオンと強く結合して難溶性の
塩を形成する水溶性フェノール化合物の総称です。
タンニンという名称は「革を鞣(なめ)す」
という意味の英語であるtanに由来しています。
口に入れると強い渋みを感じさせます。
これは、舌や口腔粘膜のタンパク質
と結合して変性させることによるタンニンによる粘膜の
タンパク質変性作用を収斂作用です。
渋味は厳密には味覚の一種というよりも、
このたんぱく変性によって生じる痛みに近い感覚なのです。
タンニンが唾液に溶けると、渋味を感じる
縮合タンニンが重合して不溶化すると、
舌が渋味を感じなくなります。
脱渋とは、このタンニンの不溶化による渋みの消失を
人為的に起こす技術です。
言い換えると、脱渋とは、
人為的にタンニンを縮合させ、不溶化させる技術のことです。
カキタンニン
柿渋と呼ばれる、渋柿には、1~2%程度の可用性タンニン
(カキタンニン)が含まれています。
カキタンニンは強烈な渋味を示すのです。
カキタンニンはタンニン細胞という
特殊な細胞内に存在しています。
カキタンニンは協力が蛋白質凝固作用を持ち、
清酒清澄(せいちょう)剤、
防腐剤などに利用されています。
渋柿の脱渋方法
1.樹上脱渋
木に着いたままの果実をポリ袋で密閉する
ポリ袋の中に固形アルコールを入れる
2.追熱脱渋
収穫適期になっても果実を収穫しない、塾渋にすることです。
3.アルコール脱渋
果肉がまろやかで、風味が良くなる
4.二酸化炭素脱渋、ドライアイス脱渋
果肉が硬め、味は淡泊だが、日持ちがする
5.CTSD脱渋(炭酸ガスを用いた恒温短期脱渋)
(Constant Temperature Short Duration)
大量の果実を短時間(2~3日)で脱渋可能
アルコール脱渋法
利点は、風味が最も優れていることです。
欠点は、大量に処理できないことです。
日持ちが悪く、軟化しやすく、果皮黒変する場合があります。
今日の演習は、実際に渋柿の渋を抜く実習です。
講義用の柿の試食
実際に、タンニンを抜いて甘くした渋柿をみんなで試食しました。
丁寧に皮を剥いて、カットした柿をいただいてみました。
食べてみると、本当に甘い柿でした。
柿の渋を抜く実習
理論を学んだあとは、実践です。
渋柿の渋を、アルコールを使って抜く実習です。
生徒一人に、8個か9個ほどの、
沢山の渋柿を用意していました。
渋柿のヘタに、紙にアルコールをしませて、
ヘタにもアルコールをかけて、
新聞紙に包み、その上からビニール袋に包んで
空気を抜いて、密封します。
これで、3日程20℃以上の場所に置いておきます。
温度は大切です。
2021年10月17日(日)