炭焼き窯の見学 大阪府池田市 今西学さんの クヌギの木から 菊炭焼き
投稿No:8949
クヌギの木から 菊炭焼き 兵庫県立淡路景観園芸学校㉚ 校外学習 川西市黒川 菊炭作り 炭焼き窯の見学 今西家の今西学さんが講師です
菊炭とは
菊炭についての説明によると、
『黒炭のうち、クヌギを炭材としたものは、
切り口に菊の花のように放射状に美しい割れ目があり、
「菊炭(きくすみ)」と呼ばれ、
黒炭のなかでも最高級の炭とされている。』
とあります。
出典 菊炭 友の会
黒炭は窯の中で400~700℃で炭化し、
炭化が終わると窯を密閉して消火し、酸素を遮断します。
その後、冷却してから窯から出炭します。
日本の炭材の代表的なものはナラとクヌギです。
炭質は柔らかく、点火しやすいのが特徴で、
燃え方も早く、容易に高い燃焼温度が得られます。
特にクヌギ炭は匂いがしたり、爆ぜたりもせず、
切り口が菊の文様のように美しいことから、
茶の湯炭として重宝されてきました。
菊炭のうちでも、大阪府池田市を集散地として
全国的に有名になったのが池田炭であり、ブランド化しました。
池田炭は火持ちが良く、火力も強い、煙が出ない、
火花が飛ばない、ほのかな馥郁たる香りなどで、
古くから諸国第一の炭として名声を博し、
今も茶道では、無くてはならぬ炭となっています。
池田炭(菊炭)の本場は兵庫県川西市の北部、
一庫、国崎、黒川地区と言われています。
今もその伝統を守り炭焼を続けているのは、
僅か二軒になってしまいました。
出典 菊炭 友の会
今日は、この伝統の菊炭作りをしている二軒のうち、
今西家を見学させていただきました。
数少ない菊炭職人のひとり 今西学さん
炭焼きの炭焼き窯を前にして、
淡路景観園芸学校非常勤講師の今西学さんから
木炭づくりについてお話を聞きました。
木炭を作るのには10日ほどかかるので、実習はありません。
木炭には黒炭と白炭があります。
ここでは、お茶席で使われる菊炭の作り方について説明を聞きました。
菊炭は、炭の切り口が菊の模様のように仕上がるので、
菊炭と呼ばれています。
材料はクヌギです。
松茸と同じ様に、クヌギの木の伐採は入札制度があります。
たとえ自分の山であっても、
クヌギを切るには入札に参加して、
落札する必要があります。
クヌギの木を根元から切るのではなく、
一定以上の高さを残した上の部分のみを切り取ります。
根っこを残しておくと、
クヌギはまた新しい枝が伸びてきます。
水分をたっぷり含んでいる原木ほど、良質な原木です。
茶道に使うお茶炭は、
10年から15年のクヌギを使います。
太いクヌギは炭に使えないので、椎茸の原木に回ります。
窯の中に台車7台分ほどのクヌギの木のかたまりを
縦にしてびっしり詰め込みます。
炭作りの窯
炭窯は温度が冷めると
もう一度温度を上げるのが大変なので、
炭焼きが終わって炭を取り出した後は、
すぐに次のクヌギの木を入れていきます。
炭窯の中は、90度以上の温度で、
この中に入って原木を並べるのはとても熱く、危険な仕事です。
炭窯の大きさは、奥行き4m、幅4m、高さ2mで、
一度に約4tの原木を隙間なく入れて、
火をつけるのに1日、空気を遮断して3日ほど炭火焼をして、
温度を下げるのに4日ほど要します。
これを1年間続けて、作業をしているそうです。
窯は2つあるので、
2つで年間90回ほど炭を焼いていることになります。
お茶席での炭の組み方と寸法
お茶席で使う炭は、
部屋の炉で炊かれるので、煙が出てはいけません。
炭の寸法や並べ方にも決まりがあるようです。
炭の並べ方、組み方は、表千家と裏千家、さらに流派によって
違うそうです。
寸法を調べてみると、
『「胴炭」は、一番大きな炭で、太い丸太形で、
長さは炉用で5寸(約15㎝)、4寸(約12cm)です。
「丸ぎっちょ」は丸太型、
「割ぎっちょ」は丸太を半分に割った半円形で、
いずれも長さは胴炭の半分です。
「丸管」は丸太型、「割管」は半円型で、
長さは胴炭と同じですが、
直径は半分程度の細い炭です。
「添炭」は、丸太型の細い炭で、
胴炭の半分の長さです。
「枝炭」は、ツツジなどの細い枝で作られ、
白い石灰を塗ってあります。』
茶の湯では、炭ひとつとっても色々な決まりがあり、
形式美の最たるものと言っても過言ではないかもしれません。
その茶席になくてはならないのが、菊炭です。
今、兵庫県では、菊炭を焼ける職人は、2人しかいません。
全国でも、少数になっているようです。
炭火焼の中で難しい菊炭を焼けるようになるには、
20年か30年かかるそうなので、後継者の問題が深刻です。
2021年3月25日(木)