アメリカ発金融不安の原因について、兵庫県立大学経営学部教授安室憲一先生が、「世界金融恐慌下の中国経済と企業経営」のテーマで、大阪倶楽部で講演がありました

大阪倶楽部で、第2698回の定例午餐会が開催されました。

安室憲一先生は、松葉博雄が神戸商大の時代、2000年に、神戸商大経営学研究科に入学し、社会人大学院生のスタートをした時の、国際経営学の担当教授でした。安室憲一先生の研究会にも、多く参加しています。以来、これまで、研究会や飲み会を通じて、親しくして頂いています。そこで、松葉博雄は、安室憲一先生の講演会に一番前の席を確保し、熱心に聞きました。

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今回のテーマは、事前に予定していたテーマから変っています。何しろ、日経新聞だけでなく、朝日、毎日、読売、産経新聞でも、トップニュースとなったのが、アメリカ発の金融不安です。この金融不安のテーマに、安室憲一先生は応えて、今、経営者にとって、最大の関心事である、世界的な金融不安について、講演となりました。

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「“世界金融恐慌下の中国経済と企業経営”-日本企業はどう生き残りを果たすか-」で、兵庫県立大学経営学部教授の安室憲一先生がお話しされました。

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1時間ぐらいの講演を聞き、松葉博雄自身が自問自答していることは、
①なぜ、アメリカ発の金融不安が起きたのか?
②なぜ、アメリカは、世界中からお金を借りる体質になっているのか?
③なぜ、中国、日本などの国は、アメリカの国債を持ち続けるのか?

この3つの「なぜ」の答えを、安室憲一先生の講演の中から、探しています。

安室憲一先生によれば、アメリカ発金融恐慌の原因は、国家、企業、家計における外国依存の借金体質にあります。2004年からは、ドル債権の94%が外国人買いで、全面的に外国から借金をしています。

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アメリカの住宅ローンの残高は1200兆円で、そのうちの50%が住宅金融公社の債権です。銀行は、住宅ローンを即座に証券会社に売却し、証券会社はRMBS証券として販売したり、その債券と合わせて合成証券にして販売しています。その結果、サブプライムローンなどが増えています。

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2006年頃から低所得者にセールスを拡大し、サブプライムローンによる購入が増えて、消費者ローンの返済に困窮した低所得者は、ホームエクイティーローンの魅力に飛びつき、銀行や住宅ローン会社は、所得も調べずにお金を貸しました。その結果、破産する低所得者が年々増えました。

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例えて言えば、松葉博雄が、上場会社の株式を銀行でお金を借りて購入したとします。購入した株式を、別の銀行に担保に入れて、また、借りたお金で株式を購入します。その株をまた、次の銀行に持って行き、新たな融資を受け、また株を買います。このように、繰り返し繰り返し、借りては株を買い、買っては担保にして、繰り返していけば、予想に反して、株価が下がれば、たちまち担保不足となり、銀行から追加担保か、返済を迫られます。

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この場合、借りた松葉博雄が悪いのか、貸した銀行が悪いのか、問われることになります。借り手の松葉博雄を救済すれば、モラルハザードの問題となります。貸し手の銀行を救済するのは、税金を使うことになります。個人の問題が、世界の問題になると、これは深刻な問題となります。

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モラルハザードが事態をさらに悪化させるので、マクロの金融問題というよりも、道徳心の崩壊が根本的な原因なので、破産した人々を救済すべきではないのです。最近では、リーマン・ブラザーズが破綻したことがニュースで大きく取り上げられましたが、次に危険だと言われているAIGに、18.5兆円もの投資をしたのでは、「焼け石に水」であり、一般投資家の株はゼロ円になるというのは、ひどすぎる話です。

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アメリカ経済は長期で低迷することが予想され、その影響は、ヨーロッパや中国にまで広がると思われます。

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定例午餐会なので、昼食を頂きます。今日の昼食は、「花外楼」の幕の内弁当でした。近くの席の方から、お弁当に対するぼやきがありました。

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普段、美味しいものを食べ慣れている経営者の方の意見では、やや驚きのあるお弁当を期待しているようです。

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お弁当が終わると、カーテンが閉められ、少し暗くなります。安室憲一先生が、壇上に登場する前、松葉博雄の席にやってきて、「松葉さん、ここの会員ですか?」と、驚きの様子でした。そうなんです。

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松葉博雄は、大阪倶楽部に入会し、時々は、講演を聴きに来ています。安室憲一先生は、話すだけでなく、ちゃんとレジュメを用意してくれています。パワーポイントにぎっしりと文字が詰まっています。

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中国は、市場と資源を求めて、アフリカなどの途上国に傾斜せざるを得ないのですが、人権問題など、西欧諸国との確執を増幅することにもなりかねません。物の流れや人の流れともに、亜細亜が欧米を上回る時代に、突然のアメリカ発金融恐慌は、中国経済にどのような影響をもたらすのでしょうか?

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日中関係をどのようにマネージするかが、日本の政治課題となります。

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労賃高騰での倒産が激増したり、労働諸法規が強化されたり、経済成長を支えてきたものに限界が生じ、低賃金を利用した「労働集約型産業」では、経済成長を維持することは出来なくなってきています。

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罰則を強化すれば、外資だけでなく、地場企業も海外逃避しますが、社会経済の高度化には、避けては通れない道でもあります。

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中国では、1979年の「改革開放」に匹敵する大改革が必要となってきています。上海万博のある2010年頃がターニングポイントになり、中国が体制を含めて大きく改革し、再び安定成長軌道に乗せられるかが重要です。

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迫り来る大不況の中で、抜本的な政治改革を遂行できるかが、未来を占う試金石となります。

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講演を聴く前に、自問自答した3つの設問、「なぜ?」が、よく理解出来ました。さすが、国際経営学の専門家は、分かりやすく分析してくれました。今日、一番気持ちの中で面白かったのは、安室憲一先生が、松葉博雄がいることに気が付いた、驚きの表情でした。

2008年10月1日(水)