かまととは、蒲鉾が魚のすり身からできていることを知っていながら、知らないそぶりで言った言葉です。
かまとと、という言葉を、蒲鉾を買うと思い出します。まさか、蒲鉾が海で泳いでいるわけがありません。岡山倉敷歴史の街散策(11)
かまとと、という言葉を知っていますか?松葉博雄は蒲鉾を買う度にこの、かまとと、という言葉を思い出します。
奥さんへお土産です。奥さんが喜びそうなお土産は、ダイヤモンドやエルメスのような、キラキラ光る、みんなのほしがる物だけではなく、食べて美味しいものもあります。
ボランティアガイドさんの後をついて歩いているとき、ちらっと目をつけた、蒲鉾屋さんが二軒あり、どちらに行こうか瞬間に判断します。
1つは、大店のようで、店構えがしっかりしています。創業百年という歴史も、お店の前に掲げています。もう一つの方は、誠に地域密着型の、お買い物に来た土地の人が買って帰るようなお店です。
そこで判断するのは、土産物よりは地産地消型です。地元の人が買っているお店の方が、確かに思い、「黒田蒲鉾店」こちらも、創業100年製造直売のお店です。
黒田蒲鉾店は、薄い板にすり身を盛り、遠火で焼く蒲鉾です。蒲鉾だけではなく、蒲鉾天麩羅や、カステラも売られています。
美味しそうな蒲鉾をいくつか、奥さんへのお土産に買って帰ることにしました。蒲鉾の特徴は、板がとても薄いことです。子どもの頃、蒲鉾板を貰って、何やらお遊びに使っていました。その蒲鉾板は、表札にしてもいいくらい分厚くて、幅もあり、立派でした。
だんだんと、蒲鉾板は小さくなっています。つまり、蒲鉾板は、蒲鉾の容量が小さくなるに従って、容量に合わせて板が小さくなったことになります。
お土産を買った後は、喫茶店の「カフェ エル・グレコ」で休憩することにしました。建物は、ツタで覆われ、きっと、ツタを取り除くのは、難しい段階になっているのではないかと思います。
でも、新緑のツタは、とても美しい外套のように、「エル・グレコ」の建物を包んでくれています。
「エル・グレコ」は、大原美術館の隣にあり、経営は大原美術館ではありませんが、大原美術館を鑑賞した人が立ち寄る場所になっているようです。
エル・グレコのコーヒーは、松葉博雄の奥さんと、何年前に一緒に飲んだのか、随分前なので、あのときのコーヒーの味と、今のコーヒーの味を、比べることは記憶の遠い疎にあります。
エル・グレコのお店の中には、大原美術館で見て来た、「受胎告知」の絵のコピーが、壁を飾っています。
エル・グレコの絵を見ながら、受胎告知を告げられた、マリア様は、右手をあげて、受胎告知を理解していることを、示しています。
岡山から新幹線にのって、自宅へ戻りました。奥さんへのお土産を渡すと、松葉博雄は、あまりお土産を買ってこない方なので、奥さんは薄板かまぼこに、感激してくれています。
早速ビールのアテに頂きながら、一泊二日でのあれやこれやを、奥さんに話しています。奥さんは、一日何をしていたか訪ねると、雨だったのでどこに行く事もできず、一日家事をしていたそうです。
蒲鉾は、表面によく火が通っていて、薄い皮ができていて、特に両端の方に、ご飯で言えば、お焦げのような蒲鉾おこげができています。
この蒲鉾おこげは、ちぎって食べると、ビールにとてもよく合って、他のあげものは、手でつかんで食べると、手が油にまみれるのですが、蒲鉾おこげは、つまんでいても油も残りません。
味もよく、もし松葉博雄が黒田蒲鉾店を経営するなら、ビールのつまみだけになるような、小さいチップ状のかまぼこお焦げを作れば、全国のおじさん達が喜ぶのではないかと思いました。
2011年5月12日(木)