不法投棄と耕作放棄地を前にして、私にできること ――耕作放棄地と「誰の責任でもない土地」
投稿No:10529
地方創生が進まない本当の理由 ――耕作放棄地と「誰の責任でもない土地」
不法投棄と耕作放棄地を前にして、私にできること

淡路市岩屋に、長く放置された棚田がありました。
急斜面で道も狭く、
住宅地としての利用は現実的ではありません。
こうした土地は全国各地に存在し、
いつの間にか「使われない土地」から
「誰のものでもない場所」へと変わっていきます。
結果として起こるのが、不法投棄です。
ゴミが捨てられ、雑草が生い茂り、
イノシシなどの獣の棲家になる。
一度そうなってしまうと、
近づく人もいなくなり、荒廃は加速します。
この土地も、まさにその状態でした。
見て見ぬふりをすることもできましたが、
このまま荒れていく環境を放置するのは違うと感じました。
そこで地主の方に農地転用をしてもらい、
私自身が買い取る決断をしました。
最初に取りかかったのは草刈りと、

不法投棄された産業廃棄物の撤去です。
時間も労力もかかりますし、
正直、採算が合う話ではありません。
それでも「誰かが手を入れなければ、
この土地は永遠に荒れたままになる」
という現実があります。

軽トラックが入れるように道路を整備し、

重機が入れる環境を整えました。
急斜面は少しずつ削り、
元棚田の地形を活かしながら平地をつくっていきます。
こうした作業は、行政や制度だけでは
なかなか進まない領域です。
地方創生という言葉は、
もう何年も前から使われ続けています。
しかし地方の風景を見渡すと、
現実はあまり変わっていません。
空き家、耕作放棄地、不法投棄。
問題は分かっているのに、なぜ解決しないのか。
淡路市岩屋にある、
元棚田の土地もその一つでした。
急斜面で道が狭く、住宅用地にはならない。
農業としても採算が取れず、
結果として「使い道のない土地」になっていました。
こうした土地は、制度上は誰かの所有物です。
しかし実態としては、
誰も手を入れず、誰も責任を持たない土地になっていきます。

その空白を埋めるように起きるのが、
不法投棄や獣害です。
行政は規制や補助制度を整えますが、
現場では「手を入れる人がいない」
という一点で止まってしまいます。
補助金があっても、実際に草を刈り、
ゴミを片付け、重機を入れる人がいなければ、
土地は再生しません。
私はこの土地を、
地主の方に農地転用してもらい、
自ら買い取りました。
経済合理性だけで見れば、

決して良い投資ではありません。
整地には工務店と重機が必要で、
道路も整備しなければならない。
採算を考えるなら、
最初から手を出さないのが正解でしょう。
それでも、荒れていく土地を前にして
「誰かがやらなければ、
何も始まらない」と思いました。
草を刈り、不法投棄された産業廃棄物を撤去し、
少しずつ人の手を入れていきます。
元棚田だった土地は、水に恵まれていました。
浅い井戸を掘るだけで、水は確保できます。
軽トラックが出入りできるように
コンクリート道路を造り、
重機も入れるようになりました。
斜面は重機で少しずつ削り、
平地になるよう地形を整えていきます。

その作業をしていると、
子供の頃に砂場で泥んこ遊びをしていた時のような、
何とも言えない充実感を覚えます。
工務店にお願いして整地しているので、
正直お金はかかりますが、
それ以上に童心に帰ったような楽しさがあります。
傾斜のきつい場所は上り下りが大変なので、
工事用の仮設階段を設置しました。
階段があるだけで、
果樹への水やりもずいぶん楽になります。

水は井戸を掘って確保しています。
元は棚田だったため、
浅い井戸でも十分な水量が得られました。
階段を上りきると、
明石海峡大橋がすぐ近くに見えます。

この景色を見ると、
「ここまでやってよかったな」と思わされます。
歳はとりましたが、
土をいじって満足感を覚える気持ちは、
子供の頃と何も変わりません。
少しずつ自分の庭が形になっていくのが、
何よりの楽しみです。
これからは果樹園にしたり、
花の咲く木をたくさん植えたりしながら、
ゆっくり育てていくつもりです。
斜面には仮設階段を設け、

管理や水やりができる環境を整えました。
階段を上ると、明石海峡大橋が間近に見えます。

地方創生というと、
大規模開発や観光誘致が語られがちです。
しかし、こうした土地は
観光資源にも宅地にもなりません。
それでも放置すれば、
地域の景観や治安、環境に悪影響を及ぼします。
本当に必要なのは、
「収益化できない土地をどう扱うか」という視点です。
耕作放棄地の多くは、
利益を生まないからこそ放置されます。
しかし放置のコスト――荒廃、獣害、不法投棄――は、
確実に地域全体が負担しています。
私にとってこの取り組みは、

半分は趣味の土いじりです。
子供の頃に砂場で遊んでいた
感覚に近いものがあります。
しかし同時に、
「人の手が入ることで土地は再び価値を持つ」
という実証でもあります。

果樹を植え、花の咲く木を増やしていけば、
この場所はやがて「荒れ地」ではなく
「管理された土地」になります。

それだけで、不法投棄も獣害も大きく減ります。
地方創生は、派手な成功事例から始まるものではありません。
こうした小さな土地に、誰かが責任を持つこと。
それを積み重ねていく以外に、
現実的な道はないのだと思います。

