神戸三宮 センタープラザ地階で50年──夫婦が守り続ける「土佐料理」 土佐
神戸三宮 せんたープラザ地階 土佐料理 土佐 かつおのたたき、寄せ鍋 定食
神戸三宮センタープラザ地階で50年──土佐出身ご夫婦が守り続ける「土佐料理」という商い
神戸三宮・センタープラザ地階。
飲食店の入れ替わりが激しいこの場所で、
約50年にわたり暖簾を守り続けている店があります。
土佐料理の店「土佐」。
センタープラザが完成した当初から営業を続け、
周囲の店が何度も入れ替わる中、
変わらず同じ場所で、同じ料理を出し続けてきました。
この事実だけでも、
小さな飲食店が長く続くことの難しさを知る人には、
十分すぎる説得力があります。
家族の記憶とともにある店
思い返せば、
三人の子どもたちがまだ幼かった頃、
家族でこの店を訪れたことがありました。
店内は、いまも昔も変わらない佇まい。
派手さはありませんが、
落ち着いて食事ができる「昭和の飲食店」の空気が残っています。
変えなかったことが、
この店の最大の価値なのかもしれません。
注文は、いつも決まっている
この店に来ると、
頼む料理はほぼ決まっています。
奥さんは迷わず
寄せ鍋定食。
私は悩みながらも、
結局いつも
カツオのたたき定食に落ち着きます。
土佐料理といえば、やはりカツオ。
これは外せません。
寄せ鍋定食──「また食べたくなる」味
寄せ鍋定食は、
魚介の旨味を卵でとじた、やさしい味わい。
通常はお餅が入っていますが、
私の場合はお願いして抜いてもらっています。
こうした細かな要望に応えてくれる距離感も、
長く通いたくなる理由のひとつです。
カツオのたたき──土佐の流儀
カツオのたたきは、
玉ねぎ、ミョウガ、ネギなど
薬味たっぷりが土佐流。
豪華な盛り付けではありませんが、
「これでいい」「これがいい」と思わせる味です。
流行りに寄せず、
素材と食べ方を変えない。
それが結果として、ブレない魅力になっています。
小さな飲食店が50年続く理由とは？
この店を見ていて思うのは、
長続きする飲食店には共通点がある、ということです。
① メニューを増やさない
得意な料理に集中し、
「何でも屋」にならない。
② 背伸びをしない価格設定
高級路線でも、安売りでもない。
日常で通える価格帯を守り続ける。
③ 常連を大切にする
一度きりのお客より、
「また来る人」を大事にする。
④ 店主夫婦の人柄が店の空気を作る
派手な接客はなくても、
安心感と信頼感がある。
⑤ 店を“大きくしよう”としない
10名ほどから貸切可能。
予算は相談。
無理に拡大しない経営判断。
飲食店経営の基本は、実はとてもシンプル
流行を追いすぎない
お客に迎合しすぎない
しかし、軽んじない
自分たちが無理なく続けられる形を守る
この積み重ねが、
50年という時間を作ったのだと思います。
派手な宣伝も、
SNS映えもありません。
それでも、
今日も変わらず暖簾が出ている。
それこそが、
この土佐料理店の一番の強みなのかもしれません。
