アルコンとの経営戦略の商談 「戦略には唯一の正解はなく 多様な視点を理解することが重要である」
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アルコンと商談 「戦略には唯一の正解はなく 多様な視点を理解することが重要である」 ヘンリー・ミンツバーグの戦略サファリ
アルコンより、
キム ジェウン部長と
兒島 弘文さんが来社しました。
アルコンの新システム、
マルロについての話し合いは
まだまだ続いています。
ビジネスの世界では、
「戦略」という言葉が頻繁に使われます。
企業の成長や競争優位を確立するために、
どのような戦略を選択するかは極めて重要です。
しかし、戦略とは
一つの明確な方法があるわけではなく、
目的や状況に応じて、
さまざまな手法が求められます。
経営学者のヘンリー・ミンツバーグは、
戦略とは事前に計画されるものではなく、
実際にビジネスを進めて顧客の反応を知り、
現場の声を聞き、試行錯誤の上に
わき上がってくるものだと主張しています。
ヘンリー・ミンツバーグの代表作である
『戦略サファリ』は、
企業の戦略形成に関する
10の異なる学派(スクール)を整理し、
それぞれの特徴や限界を明らかにした書籍です。
戦略サファリでは、戦略論を
「10の学派(スクール)」に分類して、
それぞれの特徴や利点、
限界を明らかにしています。
単に一つの学派に固執するのではなく、
戦略を形成する際には
多様な視点を持つことが
重要であることを強調しています。
そして、各学派を
異なる動物にたとえることで、
それぞれの特徴を視覚的に
理解しやすくしています。
美味しいお茶をいただきながら、
一息つきながら、話を進めて行きます。
今回のお茶は「焙茶noma」です。
炒り豆のような芳しい香りの
釜炒り茶の焙じ茶です。
たねやの最中も一緒にいただきます。
1.デザイン・スクール コンセプト構想プロセスとしての戦略形成
動物:クモ/主体:CEO
デザイン・スクールは、
フィリップ・セルズニック著
「組織とリーダーシップ」(1957)と
アルフレッド・チャンドラー著
「組織は戦略に従う」(1962)を起源としています。
クモが自分の巣を作るように、経営者(CEO)は、
事業の戦略を設計しているという
コンセプトです。
企業が持つ強みを活かしながら
市場での優位性を
確立しようとする考え方です。
クモが綿密に網を張り、計画的に獲物を
捕らえる姿にたとえられます。
2.プランニング・スクール 形式的策定プロセスとしての戦略形成
動物:リス/主体:プランナー
このスクールで最も強い影響力を持つのは、
アンゾフの「企業戦略論」(1965)です。
戦略は詳細な計画によって
決定されるべきであるとする考え方です。
分析と計画に重点を置き、
長期的な視点で企業の方向性を決定します。
冬に備えて食料を蓄えるリスのように、
細かく計画を立て、
組織的に行動することが求められます。
3.ポジショニング・スクール 分析プロセスとしての戦略形成
動物:水牛/主体:プランナー
ポーターの「競争の戦略」
「競争優位の戦略」によって注目されたスクールです。
戦略は市場の競争環境に基づいて
決定されるとする考え方です。
マイケル・ポーターの「競争戦略」や
「5フォース分析」などが代表的で、
企業が競争優位を確立するための
ポジションを特定することに焦点を当てます。
水牛のように、群れを形成しながらも、
自らの位置を確保し、
環境や競争相手に適応しながら
生き抜く戦略が求められます。
4.アントレプレナー・スクール ビジョン創造プロセスとしての戦略形成
動物:狼/主体:アントレプレナー
シュンペーターの「創造的破壊」
(「資本主義・社会主義・民主主義」)にまで遡ります。
リーダーのビジョンや直感が戦略の形成に
大きな影響を与えるとする考え方です。
カリスマ的な起業家や経営者が、
企業の方向性を決める重要な役割を果たします。
群れを率いながらも、リーダーの判断によって
柔軟に動く狼のような行動が求められます。
5.コグニティブ・スクール 認知プロセスとしての戦略形成
動物:フクロウ/主体:アントレプレナー
このスクールは、1960年代初頭に
リンドブロムが唱えた
「非連結的漸進主義」から
「論理的漸進主義」「戦略ベンチャリング」
「創発的戦略」に続き、
ピーター・センゲ等の「組織学習」、
野中郁次郎と竹内弘高による「知識創造」、
プラハラードとハルメルによる「コア・コンピタンス」や
「カオス理論」などが影響しているそうです。
認知心理学をベースにした戦略研究です。
「コグニティブ」とは認知(認知心理学)のことです。
戦略は意思決定者の認知プロセスや
思考パターンに影響を受けるとする学派です。
フクロウのように知的で慎重な思考を重視し、
洞察力を持って戦略を
形成することが求められます。
6.ラーニング・スクール 創発的学習プロセスとしての戦略形成
動物:サル/主体:従業員たち
戦略は試行錯誤の積み重ねを通じて
形作られるとする考え方です。
環境の変化に適応しながら学習を重ね、
柔軟に戦略を修正していく必要があります。
猿が道具を使い、試行錯誤を重ねながら
学習し成長するように、
企業も経験を活かしながら
進化することが求められます。
7.パワー・スクール 交渉プロセスとしての戦略形成
動物-ライオン/主体:力
パワー・スクールは、
パワー(影響力)を行使して、
いかに戦略を実現しやすい状況を自ら作り出すのか、
を研究するスクールです。
戦略は組織内の政治的な力関係や
交渉によって決定されるとする学派です。
企業内の派閥争いや利害調整が
戦略の方向性を左右することを
考慮しなければなりません。
ライオンの群れのように、
強いリーダーシップと権力のバランスが重要です。
8.カルチャー・スクール 集合的プロセスとしての戦略形成
動物:クジャク/主体:文化
カルチャーは、1980年代の日本企業の成功によって、
戦略マネジメントの分野で発見され、
その重要さゆえに脚光を浴びるようになりました。
企業の戦略は、その組織の文化や
価値観によって形成されるとする考え方です。
クジャクが鮮やかな羽を広げて自己を表現し、
独自の存在感を示すように、
企業文化も組織のアイデンティティを形作り、
その方向性を決定する重要な要素となります。
9.エンバイロメント・スクール 環境への反応プロセスとしての戦略形成
動物-ワニ/主体:環境
このスクールでは、
進化論のような「条件適応理論」に基づいています。
企業の戦略は外部環境の影響を受け、
企業は環境に
適応するしかないとする学派です。
市場の変動や規制の変化などに
敏感に対応する必要があります。
ワニのように、長い時間をかけて環境に適応し、
必要な時に素早く行動を
起こす柔軟性が求められます。
10.コンフィギュレーション・スクール 変革プロセスとしての戦略形成
動物:カメレオン/主体:不明
このスクールは、前述のすべてのスクールの考え方を、
適切な状況に応じて使い分けることを提示しています。
企業の成長段階や変革期に応じて
戦略のあり方は異なるとする学派です。
カメレオンのように、
環境の変化に応じて姿を変えながら適応し、
企業の成長段階や変革期に応じて
柔軟に戦略を切り替えることが求められます。
参考文献 ミンツバーグの「戦略サファリ(第2版)」
『戦略サファリ』の
最大のメッセージは、
「一つの戦略理論に固執するのではなく、
状況に応じて多様な手法を
柔軟に組み合わせることが重要である」
という点です。
企業の置かれた状況や業界の特性によって、
適切な戦略のあり方は異なります。
少し前に奥さんが誕生日だったので
アルコンのKimさんが奥さんに
お誕生日のお祝いにと、
「TOKYO TULIP ROSE」の
手土産をいただきました。
ミシュランシェフ御用達の
ブルターニュ産発酵バターを使用した
ラングドシャ生地が
花びらのようになっています。
お気遣いいただき、
どうもありがとうございました。