インド巡礼記:インドの言葉がわからない、日本人旅行者へ勝手なことを言っている現地ガイドの身の上話と自慢話を聞く 第21話

インド巡礼記:真理を求めて インドに、インドに真理を求めて、インド巡礼に行きたい、こう思ったのも、家庭を築き、仕事に精を出し、人生も順調に歩んでる時、ふと心の中に、「これで良いのかな?何か大事な事を忘れていないかな?成る程と腑に落ちる様な真理を理解できてるのかな?」このように、ふとした疑問がどんどん膨らんできたからです。インド巡礼は、真理を求める巡礼の旅になるはずです。 【その21】

サルナートの博物館と、サリーを作る工場見学の後は、ホテルに戻って一休みです。アーナンダが「散歩をしよう」と誘いにやって来て、自分の住んでいるアパートに、松葉博雄を案内するというので、奥山氏と二人でアーナンダについていきました。

インド巡礼記

アパートに行くために、今日サルナート見学に使ったバスに乗りました。この観光に使っているバスは、アーナンダが、自分の所有するバスだと言います。

この人、どこまでほんとか分からないところがあります。現地のツアー会社に寄って顔を見せて、近くの酒屋でラム酒を買って、ラム酒を口のみして飲み、何軒かのお店を冷やかして周り、知り合いの男と声をかけあい、この辺では自分がいい顔だということを自慢しているようです。

彼のアパートは3階の屋上の部分の一部屋で、8畳から10畳ぐらいの広さです。

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このあたりの生活水準から比べると、格段に良いように思います。部屋にはベッドがあり、机と本棚があるぐらいですが、机の上には、日本の本がずらりと並んでいます。日本のことをよく勉強しているようです。

彼の写真のアルバムを見せてくれました。日本へアーナンダが行った時の写真です。写真の中には、特に親しくしている家族がいるようで、その人に日本の各地を案内してもらっているようです。

嘘か真か分かりませんが、日本人のお嬢さんと来年結婚する予定だと言っています。

京都の岡崎の方に、彼女のご両親が住んでいます。お父さんはお医者さんで、病院を経営している人だそうです。写真を見ると、どこか世間慣れした感じの、世渡り上手の印象を受ける女性でした。

アーナンダは、自分はこの辺りのインドの地方豪族である王族の出身である、アーナンダの親とは今、意見があわず、親とは別居していると言っています。

観光ガイドでコミッションをもらって仕事をするのは、自分としては嫌だが、これはサイドビジネスであり、本職は貿易業だと言っています。奥山君はほとんど本気にしていません。私も、もうアーナンダのはったりだと判断しました。

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自主映画、『インドの大地に魂を』という映画を日本人が撮影し、その完成講演会の席で、ネクタイをしめてスピーチをしている写真が、読売新聞に載ったと、アーナンダはいいます。

このあたりの人たちとは、『インドの大地に魂を』の撮影の時に、地元の人たちにアーナンダが通訳として撮影を手伝った縁で、サルナート郊外の街に住むようになったのだと、言っています。

彼のアパートからの帰りは力車でした。帰り道では、また彼の勤める会社へ寄り、社長室でインド人の社長と挨拶をしました。

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ホテルに戻ると、一服して、今夜は食事の後で新年会を別の部屋でやるということになりました。

食事はあまりおいしくないバイキングです。私は持ってきたお米を温めて、バイキングに出ているサラダぐらいを頂いてすませました。

新年会は会議室みたいな部屋に、コの字形に椅子を並べ、ビールと果物だけの安っぽいパーティでした。

この新年会の席で、今回の旅行で知り合った同行者の人たちが、それぞれの自己紹介をしました。

私の自己紹介は、「私は神戸の松葉博雄です。インドに来た今回の目的は、ブッダの足跡を訪ねることにあります…」などと、自己紹介をしました。

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皆さん方の自己紹介を聞いているうちに、インドに来た訳は、いろいろな理由があることがわかってきました。

1.お正月の親戚との交流を避けて、インドに逃避した(中年婦人グループ)

2.家にいると、あれこれと親がうるさいので、インドに逃避した(独身女性社会人)

3.インドの神秘的な魅力を求めて、インドにやって来た(写真同好グループ)

4.真理を求めて(松葉博雄)

おおまかに分けると、だいたいこんな具合の自己紹介となりました。日本社会にとって、お正月は、かなり面倒な、気を遣う、できたら避けたい時期であることがわかりました。