鳩間島 ヤシガニ生態調査 抱卵のヤシガニ 鳩間島訪問記(8)
沖縄ヤシガニ 沖縄八重山地区・自然環境調査旅行記 その14
いよいよ今夜も沖縄のヤシガニ生態調査に行きます。
昨日もたくさん成果がありました。
今日は昨日以上の成果を目指して出発です。
今日は沖縄ヤシガニ研究会以外に、もう一人加治工さんの民宿に泊まっている、一人旅の女性の方が是非参加し
たいということでついれこられました。
ぐるぐるまわっているうちに、たくさんのヤシガニが見つかりました。
残念なことに大きな個体、例えば5年以上の1キロ以上のといったヤシガニは、昨日同様見つかりませんでした。
卵を抱えて今にもこぼれ落ちそうな卵の状態のメスガニを発見しました。
これは珍しいので、研究会一同、どのように取り扱うべきか考えてみました。
これまでにわかっていることは、ヤシガニは海で放卵すると言われています。
それならば、このメスも近く海に行き、海水に卵を放ち、もどってくるはずです。
それなら、このメスをじっと見張って、テントにでも寝泊りして追跡調査をすれば、かなり詳しい生態がわかるはずです。
NHKテレビの取材班なら、きっとテントに寝泊りして生態をカメラで追っかけるはずですが、悲しいかな、私た
ちの研究メンバーは予算と時間のゆとりがありません。
そこで、せっかく見つけたメスヤシガニは自然のまま置いておきました。
ここではまだ発表できませんが、たくさんの生態について新しい発見がありました。
学術的な調査なので、この発表については会長とも相談の上、ルールに従って研究発表を行う予定になっています。
今夜は、月暦は新月で、星明りだけの月の光が全く無い夜でした。
ヤドカリや珊瑚などは、満月の夜に卵を海に放卵すると言われています。
今日の新月は今月の20日になれば満月になります。
この満月の夜に来て見れば、今夜とは違った生態がわかるかもしれません。
八重山毎日新聞によれば、独立行政法人水産総合研究センター八重山栽培漁業センターで
は、ヤシガニの絶滅を防ぐために本格的な生態調査に取り組んでいます。
捕獲したヤシガニに、マイクロチップタグを取り付け、再び放流しています。
このタグを付けたヤシガニを捕獲した場合は、八重山栽培漁業センターに連絡することになっています。
今夜の生態調査では、この追跡用のヤシガニを見る蹴ることはできませんでした。
暗い夜道を歩いて帰っている時、茂みの中からガサガサと音がするので、何かと思えば山羊の親子が紐に繋がれ、周りの草を自由に食べられるようにしていました。
海辺では野生の山羊のグループも見つけました。
鳩間島には家畜用と野生の山羊が行く手にときどき出てきます。
昼間だと驚かないのですが、闇夜で出会うとあらかじめ知っていないときには、かなりの驚きがありました。
宿に帰って今日の成果を報告しあいました。
二日間の成果にメンバー一同は大変興奮しています。
これまで分からなかった生態が徐々に明らかになっていき、仮説さえも立てられるような会話になっています。
研究すればするほど次の調査が必要となってきます。
次の調査では、どのような項目について調査すべきか、話がどんどん膨らんできて、明日にでも次の調査に出か
けるような盛り上がりになりました。
研究討論会が進む一方で、時間は間もなく夜の11時を回り、そろそろ皆さん眠る頃になりました。
ところが、もう一組のグループが私たちが調査に出かけていない時から、酒が進みその挙句相当酔っ払ってしま
い、なんやらろれつの回らない口調で言い合いを始めていました。
あまり良い雰囲気ではなくなったので、これで今夜はお開きということにして、お酒をやめさせることにしました。
今日は盛りだくさんの一日で、トタン屋根の暑いねぐらでバタンキューと寝てしまいました。
まとめ
鳩間島のヤシガニ生態調査は、夜の暗くなってから始めます。鳩間島には猛毒のハブがいないので、夜中に草む
らに入っても、ハブの心配はありません。しかし、ハブに守られないヤシガニは、簡単に捕獲されます。
今夜の調査では、抱卵しているヤシガニを見つけました。抱卵中のヤシガニの行動を追跡調査すれば、ヤシガニ
に産卵が確認できるところまで調査は進みました。
2005年7月6日(水)