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沖縄県本部町伊豆味ユートピア牧場のエスカルゴ夫妻を尋ねて その3
〜ヤンバルの森にブルドーザーがヘゴヤシを倒す〜
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【番外編】
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来る時と帰る時に見たことで、驚いたことがあります。それは、自然環今日見たことは、是非本土の皆様にも知っていただきたいことです。
日本の数少ない亜熱帯地域の環境保全は、なんとか次世代に引き継ぐべき遺産だと思います。
それが沖縄でも開発が優先されることがあります。沖縄には環境庁と沖縄開発庁とが、正反対の立場にあります。片方は自然環境を守る、生態系を維持することを呼びかけています。
他方では、予算を取り、道路、橋、農道、工業団地、土地改良、砂防ダム、護岸工事などの公共工事の名の下に自然を掘り返し、赤土を海に流出させています。境破壊です。
このような自然と共存する考えは、以前から本で読んで知っていたのですが、目の当たりに現実としてブルドーザーが亜熱帯の森林を抉り取っている姿を見て、胸を痛めるほど疼きました。
静かなやんばるの林がブルドーザーで破壊され、赤土がむき出しになり、雨が降ろうものなら表土は水に押し流される環境破壊が起きていました。
何に使うために森林を破壊しているのかと調べてみると、たんかんの木の苗を植林していました。
保水能力のない急ごしらえのみかん畑が沖縄の真夏の直射日光を受けて、耐えられるかどうか疑問です。
もし日照りが続けばみかんの木はきっと枯れて、あとには赤土の荒野が残るかもしれません。
そうなったときには二次災害が起きてきます。周りの森が枯れてくるのです。一箇所に空いた自然破壊のポイントは周囲を荒野にしてしまった事例は、東南アジアや、アフリカ、南米にたくさんあります。
たんかんが実れば収穫につながり、農業経営としては良いのかもしれませんが、一度森林をブルドーザーで壊してしまうと、生態系が元に戻るには気の遠くなるほどの時間が必要となります。
この森に依存していた昆虫、昆虫を食べる小鳥、小動物の餌は食物連鎖としてつながっているからです。
一度壊れた生態系はそれが引き金となって次の新たな破壊をもたらしてしまいます。
沖縄の海岸部を潜ってみればわかります。かって海洋博覧会が沖縄で開催されました。その時に飛行場から那覇を経由して本部を通り、海洋博会場まで国道と高速道路などの公共工事として本島の海岸線に沿って開発されました。
このとき、大量の赤土が海岸部に流れ込み、ほとんどのサンゴが死滅したそうです。さらに護岸工事が繰り返されました。恩納村ではリゾート開発が進み、ホテルがたくさん海のそばに作られました。これだけ揃うと珊瑚の環境にはとどめを刺したようなものです。
何も知らない頃は、沖縄に行けばどこの海も珊瑚があふれ熱帯魚が泳いでいると信じていました。しかし、かなり人里はなれた場所でも珊瑚が自然に観察できる場所は少なくなりました。
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死滅した珊瑚 |
ポツンとさみしそうな生き残った珊瑚 |
珊瑚の海が死滅し、もはや回復不能な状態にまでダメージを受けているのを見ました。
珊瑚礁の死滅は珊瑚の海に育つ藻、小魚がいなくなることになります。それを食べる中魚、大魚も食料を失ってしまいます。従って漁師は珊瑚礁を越えて遠くの海まで出かけなければ魚は採れなくなりました。
このことを考えると、ヘゴヤシの樹が風にそよぎ、野鳥が飛び交うやんばるの森が少しずつ破壊されていく様子に胸が痛みます。
残ったヘゴヤシがあります。ヘゴヤシは水が必要で、日陰も必要ですが、単独で孤立した状態ではきっと枯れると思います。
また次の機会には佐々木ご夫妻を訪ねて、このやんばるの山を通る日があるかもしれませんが、その時にはこのやんばるの森はどのように変わっているでしょうか。大変気になります。