パナマ文書が示す教訓/英エコノミスト誌より
パナマ文書が示す教訓として、英エコノミスト誌の記事を、日本経済新聞社が掲載しています。 社長ブログ神戸/日本経済新聞/パナマ文書
『パナマ文書が示す教訓』と題して、英エコノミスト誌の記事が日本経済新聞の2016年4月12日付で掲載されていました。
新聞の第八面の下の方に、あまり目立たない記事でしたが、この先日本にも大きな影響がありそうなので、注意して読んでみました。
パナマ文書とは
パナマ文書とは、パナマの法律事務所モサック・フォンセカから流出した、顧客データです。
タックスヘイブン(租税回避地)を求めて、自国の金融資産を海外の租税の軽いところへ移す、租税回避行為のデータです。
企業でも、団体でも、個人でも、誰でも課税される税金を軽くしたいという気持ちはあると思います。
パナマ文書の示す教訓
それが、ルールを超えた行為であれば、節税から脱税へと発展してきます。
今回のパナマ文書の示す教訓は、
①作られた金融資産が、国境をまたいで比較的課税の緩やかなところへ移されている。
②資産形成の一部には、政治的な立場を利用した、汚職の疑惑のある資産が含まれている。
③政治的リーダーや国家元首のような、市民に納税を求める立場の有力者の氏名が挙がっている。
これでは、その国の一般市民から強い抗議が出るのも当然です。
何故問題になっているのか
英エコノミストが指摘する問題点は、
①腐敗は世界を貧しくし、格差を広げる
②政治家が公金を利用すれば、道路や学校の建設、補修に使われるお金は減る
③親しい友人が有利な条件で契約できるようにすることは、納税者をだまし、企業に自国への投資を思いとどまらせることを意味する
④これら全てが経済成長を阻害する
汚職撲滅の一般的責任は、各国政府にあります。
タックスヘイブンを一掃しても、汚職はなくなりません。
汚職で蓄財した資産を海外に移し、国民の目から隠す事は、そんな事が出来ないようにするしかありません。
政治家や、関係者などがそう簡単に財産を隠せなくなれば、事態は改善するだろうと指摘しています。
だから、企業の匿名性を厳しく取り締まり、不正に得たお金を洗浄するのを手助けする業者を取り締まるために、グローバル協調が必要だと主張しています。
ペーパーカンパニーの実態とその対策
法律事務所にも、規制の強化を呼びかけています。
パナマ文書に書かれている案件では、多くの場合「お雇い名義人」の影に隠れ、真の所有者が表に出てこない正体不明のペーパーカンパニーが絡んでいます。
こうしたペーパーカンパニーは、脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)に手を染めている人や、不正を働いた政府機関者の「逃走車」のような役割を果たしています。
逃走車の窓ガラスは、中が見えないように着色しています。
実質所有者の中央登録機関のようなものを創設し、税務機関や司法当局はもちろん、一般市民にも公開する事で、着色した窓ガラスを無色透明にしなければならない。
虚偽の会社登録に対する罰則規定も厳しくする必要があると主張しています。
仲介する法律事務所や、その他の仲介業者にも規制をかけなければなりません。
法律事務所などは本来、顧客の素性を把握し、怪しければ排除することになっています。
しかし現実は、袖の下を渡され、詮索してくる人間から顧客を守る緩衝材のような役目を果たしている法律事務所や業者があまりにも多いと指摘しています。
このような状況は変えなければなりません。
政府は第三者が脱税を可能にするような行為をしたら、刑事罰に問えるようにすることが求められています。
このように、英エコノミスト誌はパナマ文書が示す教訓を記事として掲載してました。
読めば読むほど、その通りだと思います。
記事が出た2016年4月12日現在では、まだ日本の企業や日本人の名前は出ていません。
もし、分析が進んで、日本に関する企業や氏名がパナマ文書に含まれていれば、大きな問題になりそうです。
2016年4月12日(火)