人間国宝 鶴賀若狭掾 新内の世界 Part3
人間国宝 鶴賀若狭掾 新内の世界 Part3-名刺は周る-
とっても驚く話がありました。
今年の春、四国のこんぴら歌舞伎に行った時のことですが、枡席にご一緒した花川梅蝶師匠のことはホームページにも記載しましたが、梅蝶師匠が東京の神楽坂の古典芸能を愛する人たちの飲み会に参加されました。 (※ 花川梅蝶師匠について ・・・読売新聞社ホームページより)
その梅蝶師匠のすぐ隣の席に若狭掾師匠の外弟子である、伊勢松葉 こと 松葉博雄の姉がたまたま、偶然に相席しました。二人は初対面で面識はありませんでした。
梅蝶師匠は懐の名刺入れから名刺を取り出し、今年讃岐のこんぴら歌舞伎に行った時、こんな面白い人とたまたまご一緒しました、と、松葉博雄の名刺を私の姉に見せました。
驚いた、驚いた、びっくり、びっくり。「それは私の弟です。なんでこんな人を知ってるんですか!」と、姉は驚きました。
一体どうして花川梅蝶師匠が松葉博雄の名刺を持っているのか、びっくり仰天し、それからの飲み会の話題は松葉博雄一色になったとの事でした。姉からは興奮した声でその夜すぐに電話がかかってきたので、この「名刺は周る」ことは先日知りました。
若狭掾師匠もその飲み会の席にいらっしゃった事なので、驚かれたようです。師匠と3代目梅蝶師匠の先代の2代目とは昵懇の間なので、世間の狭さに驚いた、ということが今夜の宴席でも話題になりました。
何気ない相席でも、古典芸能を話題にし、少しの縁でお話をしたことが後々このようなドラマを呼ぶとは思いもしなかったことですが、「袖振り合うも何かの縁」とは まさにこの事、と思います。
ビールをしっかりいただき、師匠のお勧めで焼酎もしっかりいただきましたので、顔は赤く、頭脳は白くなってしまいました。でも、まとめはこのように思いました。古典芸能は、「その当時に民衆から受けた喝采を今の時代にどのように伝えられるか」ということが問題であり、今後の課題であると思いました。
この後ホテルに戻った頃は日付が変わる12時近くになっていました。師匠と内弟子のお二人が少しくつろいだ様子で、師匠のお部屋に集まりその中に松葉博雄も「おいで、おいで」と呼ばれて、缶ビールを1缶だけ、ということで親しくお仲間に入れていただきました。
師匠は伝統文化を伝える事、残すこと、より沢山の人に聴いてわかってほしい、という意味の事を熱く私に語られました。
人間国宝と認定され、次の世代に引き継ぐ責任の重さを門外漢の松葉博雄にも伝わってきました。
今夜は多くのことを学び、ありがとうございました。
あのとき、花川梅蝶師匠に渡した松葉博雄の1枚の名刺は、その後、花川梅蝶師匠からお便りをいただくきっかけになります。
何が起きるのでしょうか?くわしくは、次の記事をご覧ください。