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沖縄県沖縄八重山地区・自然環境調査旅行記 その11「ヤシガニ観察」
会長の蕎麦田さんとは、このたび初めてお目にかかりました。なかなかの芸術家です。
それはどうして感じたかといえば、まずヤシガニ研究会の会員証のデザイン、ヤシガニ研究会公認のTシャツ、オニダルマオコゼのTシャツなどのデザインは、全て蕎麦田会長が自ら描いて、彩色しています。
オコゼやヤシガニの愛嬌のあるデザインは、見る人にかわいいという感じを抱かせ、好きになってしまいそうな特徴をとらえています。
夕暮れ時、絵になるような風景がありました。恋にやつれた若い娘が、恋しい人を慕いながら、夕暮れの浜辺に向かって、恋の歌を三線で爪弾いているのです。
誰が見てもこれは恋に憑かれた若い女性のように見えました。しかも、きっと失恋です。
こういうときには、寅さんのように、さりげなく声をかけ、「姐さん、どうしたんだい。やけに寂しそうじゃないか、辛いことがあったんなら何でも話しちまいな。」と言いながら身の上話を聞いて、人生の機微に関わる話しに進むところです。
そのように頭の中ではちゃんとシナリオができて、声をかけてみれば、「練習しているだけです」と、あっさりしたものでした。
西の島の夕方は、遅くなってもまだ明るく、暮れそうで暮れません。
今夜の食事は7時ということで、加治工さんのところとマイトウゼではすぐ近くですが、食事はヤシガニ会の人たちとは、別々になりました。
マイトウゼの食事の場所は、海が見えるテーブルに各自が食事を運んで、そしていただきます。
一緒に食べるのも何かの縁で、どんな人がいるのかと、見回してみると、11名の今日の宿泊者がいます。
ほとんどの方が色の白い方ばかりです。この土地かな〜と思われるような方はいません。そのうち追々声をかけていきます。
食事の後、加治工さんのお店に再び集合します。
いよいよ本来のヤシガニ研究会の活動を控え、段々緊張感がみなぎっています。
時間もほどよい頃になり、ぼちぼちヤシガニが石垣から出てくる頃合いとなってきました。
研究会の正しい出動態勢は、行く手を照らすヘッドランプを頭に装着し、手に手袋をはめ、かまれても指が切られないようにして、出発です。
私は手ぬぐいを手袋の代わりに持っていきます。
だんだんと暗闇に入って、しばし行動を止め、音を潜めて周りの音に耳を傾けてみれば、確かにヤシガニがいます。さすがに会長さん、蕎麦田さんは次から次へとヤシガニを見つけています。
暗闇に目が慣れてくると「あ、ここにもいる」「ここにもいる」という声が聞こえてきました。
あまり1キロ以上の大きなものはいません。ほとんどが小さなものです。
もちろん私たちは見るだけで、獲っても放してやります。
大きなヤシガニがいないということは、こんな離島でさえ、かってのような1キロ級の大きなヤシガニはめったにいなくなっています。
これは、島で食べるだけでなく、島の外に販売用に捕獲して持ち出す人が増えたからです。現に、那覇の牧志の市場では今でも箱に入れて縛られて売られています。
1キロの大きさに育つには、およそ10年の歳月がかかり、小さなサイズが大きくなるまで、だんだんと捕獲対象が小さくなっていくことが心配です。
もう10匹以上見つけました。大きいのはいません。
ヤシガニの生態はまだ分からないことばかりです。何を食べているのか、そして、どのように交尾をするのか、海に入ってまた陸にあがってくる時のルートなどもまだわかっていません。もちろん寿命もまだ分かりません。
今日は月の光もなく、星空だけのとても暗いお天気でした。おかげで、星がとてもきれいに見えました。
北斗七星がどこにあるのか、北極星がどこにあるのかということもすぐに分かりました。神戸では味わえないような満天の星空です。天の川も出ています。
調査の結果は、沢山のヤシガニを発見することができ、少しでもれまでわからなかった生態についても、手がかりがつかめました。
一同、研究成果に大満足で、加治工さんの宿に戻って祝杯をあげました。もうすでに時間は12時をまわっていました。
ヤシガニを見て、これだけ喜ぶ人がいるなんて、世間の人は信じてくれるでしょうか。明日の夜もまた行きます。
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