加治工さんの家の前には たくさんの浮きを並べて石垣に乗せています。
とてもユーモラスな顔が並んでいます。このお家の写真は沖縄の紹介写真にもよく出るような有名な家のようです。
加治工さんのお家には、「チャチャ」というかわいい犬がいました。チャチャは室外犬で、鎖で外につながれています。よく見ると、地面を深く掘り、ねぐらを作っています。こうすると少しでも地面の熱さから逃れられるのです。
加治工さんの家の前には西表島との海峡があり、すぐ間近に西表島の島影が見えます。見通しのよいときには、海辺の建物なども見えています。
海峡の真ん中には、白い「バラス島」があります。バラス島は珊瑚の白いかけらが集まって出来た島のようです。絶好のダイビングとシュノーケリングのポイントとなっています。
広場の横には御嶽があり、御嶽のために村の人が集まるためのスペースが芝生になっています。大きな木が広く枝をはり、日陰ができていて木の下の木陰に、いつも涼しい風が通り抜けています。この大きな木と木の枝にハンモックの紐を結び、私は揺られながら昼寝をしたくなりました。
民宿「ポッポ」を追い出されるという事件でドタバタしてしまいましたので、あらためて鳩間島上陸を祝して、乾杯となりました。
木が茂っている島には、魚が集まると言われています。鳩間島には沖から見ても樹木が茂り、暑い直射日光を防いでくれています。なぜか木陰には鳥が集まり、頭上にかわいい鳴き声が聞こえてきます。
風は頭をなでで、通り過ぎていきます。3人が持っているジョッキにはなみなみとオリオンビールが注がれて、見た目に観光写真にでも出るような沖縄の風景を演出してくれています。
少し飲んだだけで、すっかり酔いは回り、心地よい風につい、ビーチサンダルを枕にして横になってしまいました。
今夜のヤシガニ観察に向けて、昼寝をしておきます。いつの間にかジョッキはカラとなり、もう一杯飲もうかどうか思案してしまいます。
しばらくの昼寝のあと、荷物を置きにマイトウゼにいきました。
マイトウゼは、母屋と宿舎が少し離れています。きっと沢山の観光客が訪れるようになったため、急ぎ増築したのだと思います。
受付や食事をする建屋は海辺にあるのですが、寝るところは、海から少し上がったところ、「ポッポ」の近くにあります。
バンガローサイズの四畳半ぐらいの広さで、トタン家根のプレハブのような部屋です。中に入ると、とっても暑いです。しかし、一度は民宿を追い出された身ですから、贅沢は言えません。
2時ぐらいになった頃、皆で泳ぎに行こうということになりました。
島を横断する道を通って浜辺に出ます。鳩間島は円形の島なので、船着場から、今から行くビーチはちょうど直径に相当するような島のど真ん中を、炎天下にあぶられながら進んでいきます。
ちょうど今は引き潮で、珊瑚礁が剥き出しになるほど出ています。この珊瑚礁を通って、沖のリーフにいくまで、私は靴下1枚の素足に近い状態で歩いていきます。
だから、珊瑚が足にあたって痛くて痛くてなかなかすっきりと歩けません。
1キロもしないところにリーフの端があり、そこからは深いクレバスのような深淵があります。
そこを覗いてみると、たくさんの珊瑚礁の魚がいました。珊瑚礁の魚は姿を見たらすぐに岩に隠れてしまいます。
仲間に目立つように、白いキャップに白いTシャツを着て海に入っています。これだと松葉さんは今どこにいるのかな?と探すときに、すぐに分かるからです。
慎重にメンバーが調査場所を分担し、珊瑚の成育状態や地球環境から受ける自然破壊の状況を目視して調べて周ります。
この浜辺には、あまり珊瑚のダメージは無いようで、調査メンバー一同にっこりと手でVの字を出し合っていました。
珊瑚が守られている理由は、一にも二にも、「人が少ない」からだと言えます。美しい自然を求めて、よりきれいな珊瑚礁を見たいという期待と、これを保護することは、実は大変な矛盾を抱いていることなのです。私たちも保護もしたいし、見て欲しいし、矛盾になります。
これから少しずつ潮が満ちてくるころです。
1時間ぐらいの調査の後、潮が満ちてきたからという理由で、蕎麦田さんの合図で引き上げることにしました。
やや物足りない時間帯ですが、珊瑚の生育状態も悪くないので、まぁ皆さんと一緒に陸にあがります。
途中、浜辺のすぐ側は海水が陽にあたり、まるで温泉のように熱い熱い状態になっています。
そこでとても気持ちがいいので、急遽温泉につかることにしました。「鳩間温泉海中風呂」です。
有田さん、蕎麦田さん、正岡さん、式さん、それに松葉の5名は、鳩間温泉海中風呂にしばし浸かりながら、今夜のヤシガニ調査について思いをめぐらしています。