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[播磨灘のいかなご漁 明石・垂水名物いかなごの釘炊き]〜春の香り

 関西では、この時期になると、播磨灘で捕れるイカナゴをお家で炊くことが春の季節を告げる風物詩となります。

 明石の漁港から出たいかなご船は、播磨灘の「鹿の背」で産卵をしたいかなごの稚魚を追いかけていきます。

 

 今、問題は密漁船の問題です。密漁船と言っても、魚を捕るのではなくて、「鹿の背」の海底に散らばる海砂を建設資材として、ごっそり盗んでいきます。

 いかなごは砂地に潜り、春を待ちます。そこで、いかなごが繁殖するには、砂地が必要なのです。この砂をごっそり盗られると、いかなご漁の将来に、黄信号、赤信号が灯ることになります。

 

 いかなごの体長は成長すると20cm近くにもなります。夏に向かい水温が15度を超えると砂に潜って夏眠します。水温が下がり、12〜1月になると浅瀬のきれいな底砂に産卵します。どうやら夏に向かない魚のようです。

 播磨灘に面する淡路島の西側沖の「鹿の背」や東側沖の「沖の瀬」がその産卵場所にあたります。

 2月後半に解禁となり、4月末頃までが漁期で2〜6cmが食べ頃です。

 いかなごは、捕れる時期により大きさが変わります。もちろん、早い時期には体長は小さく、骨が柔らかいので、炊いても歯ごたえが弱く感じます。

 少し成長すると、骨が硬くなり、炊くと歯ごたえが出てきます。小さいのが好きな人と、ちょっと大きくなった歯ごたえのあるいかなごの方が好きという二つのタイプに分かれてきます。

 今日は、久しぶりに奥さんがいかなごを釘炊きに挑戦しています。

 いかなごを炊き始めると、箸でつついたり、混ぜっ返してはいけません。辛抱強く、炊き込んで水分が切れるのを待ちます。「ここだ」と思う頃、寸胴を持ち上げ、よいしょとばかりに鍋を振り、いかなごをひっくり返します。このときも、箸を使いません。鍋全体でひっくり返します。なかなか、重労働です。

 炊き上がった いかなごが古釘が曲がったようなあめ色のおいしそうなつやを出しています。

さて、ちょっと指でつまんで食べてみます。不思議なことに、つまみ食いの指はたいてい自分の口で洗います。水道水や、布巾を使わないで、舐めて乾かします。

 ちょっとそばで見た人は、そのまま指を使って他の料理をしているのを見ると、ちょっと汚いなあと思うことがあります。ばれないように口で舐めて乾かしましょう。

 味付けは普通、砂糖としょうゆ、しょうがと山椒を使いますが、この山椒だけでも、こだわる人は6月から生の山椒を用意している本格的な使い方もあります。一般的には乾燥した山椒を使いますが、生の山椒の方がおいしいです。

 それぞれの家のそれぞれの味が出てきます。