松葉博雄の社長研究室
松葉博雄のインド巡礼記
出発(離陸編):インド巡礼記 第2話
12月28日(水)晴れ、午後3時55分伊丹発インド航空のカウンター前に集合しました。当然、出発の1時間前には集まって欲しいという注意書きが日の出旅行社(仮名)から要請がありましたので、時間とともに少しずつツアーメンバーが揃いつつありました。
どんな人たちが集まってくるのか、ときめきの時間です。誰もが期待するのは、楽しい人、美しい人、気前のよい人、常識のある人が望まれます。さて、今回はどんな人が集まってくるのでしょうか。それは、これから追々とお話しを進めていきます。
最初に目立ったグループは、岡山弁で大きな声でしゃべってる4人のグループでした。「いけん、いけん」とか、「でえれぇなぁ」とか、かなりはっきりとした岡山弁なのできっと岡山の人だと思いました。話の内容からしてたぶんお医者さんのようです。
4人のメンバーは写真の趣味の仲間のようで、プロの写真家が持つようなストラップを首から吊るし、一眼レフカメラを手に持ち、やる気満々の雰囲気を持っています。
少し時間があったので、さっそく家に電話して、奥さんにこのグループは誰なのか概略を話し、尋ねてみました。前後の話から、「その人やったらきっと外科の東山先生(仮名)ではないか」ということでした。さっそく一人、身元が分かりました。
出発前にもう一度家族に電話をしてみると、一番末の子は私が出かけた後は少し元気がなくなり、しょんぼりしている様子のようでした。この頃が一番かわいいのです。
少しずつメンバーが揃うと、切符を受け取り出国手続きが始まりました。
EDカード(今はなくなりました)に署名をして外国製品の申告をするように促されましたが、今持っている物のなかに、わざわざ申告するほどの外国製品と言えるようなものはありませんでした。
今日の搭乗便は東京発のインド航空ボーイング746便です。座席は33Aで左側の翼の窓側でした。
隣の席には、若い男女が並んで座り、隣の席で聞いていても話す内容は大変親しい仲のようで、耳が痛くなるほどぺちゃぺちゃと話が始まりました。どちらかというと女性のほうが積極的な話し方でした。
飛行機は荷物の積み込みのため予定より30分遅れて、4時25分に離陸しました。
いよいよ私のインド巡礼記〜真理を求めて〜の旅は、ここから始まりました。
ところで、ジャンボ機はこんなに大きいのにどうして落ちないのでしょうか。
まだハッキリとした理論が私の頭の中に出来ていないので、今日も機内に重い荷物を入れているのを見ると、ひょっとすると余分な荷物が多すぎて失速しないものかと、やや不安が頭をよぎりました。
今回の旅行のコンダクターは、日の出旅行社の岡田清(仮名)という若い男性でした。初めて見た印象は、旅行社のような人を相手とするサービス業よりも、銀行で金利の計算をしているような、堅い職業に向きそうな感じでした。
これからのツアーが楽しいツアーとなるか、苦いツアーとなるか、彼がその鍵を握っているのですが、このときにはまだ、彼のこれから始まるドラマは知るすべもありませんでした。
年末の早い時間の夕日を受けて、飛行機は大阪空港を飛び立ち、堺の沖を通過し、淡路島上空を飛行していきました。
出発時に坂を上るように傾いていた飛行機は、30分もすると水平飛行に移り、さっそく機内サービスが始まりました。
隣の2人は、男性のほうが女性の耳元に口をつけ、耳打ちをするようなヒソヒソ話をし始め、そのうち2人が噴出すような仕草をして大笑いをしていました。ここからドラマが始まるとは、このときには予想をしていませんでしたが、ドラマは既に進行していたのです。
私のことを笑っているように聞こえ、私としては決して楽しいわけでもなく、この2人を無視しながら、出てきた機内サービスをいただきました。
しかし、隣に座っているからには、きっとツアーメンバーだから、いつの時から自己紹介をして口をきくようになるのか、その機会を考えながら、頭の中では少し迷走状態で食事をしていました。
周りを見渡せば機内はほぼ満席です。
これが国内便だと、同じような顔をした日本人ばかりとなるのですが、それが今日は多様な国籍の人たちが乗り合わせています。
私もなぜか国際ビジネスマンになったような気持ちになり、何か言われたときには英語ではどう答えようかと思いをめぐらし、インターナショナルな感じを十分に受けました。すでに頭の中は、海外に行っています。
食事の後は、飛行機の窓を閉めて機内を暗くし映画が始まりました。各国の飛行機にはその国の雰囲気を表す機内の内装があります。
エアーインディアの場合は、インド風の美人の描かれたクロス張りがしてありました。当然スチュワーデスはインド人で、顔の真ん中、眉間の部分に赤い点を塗り付けています。
私から見ると、出発直後の頃はスチュワーデスさんの顔がみな同じように見えましたが、時間が経つと少しずつ、あれはAさんこれはBさんと区別がつくようになります。